「腸年齢」を若々しく保つ 免疫力アップ・老化防止のポイントとは

京都府立医科大学・内藤裕二教授に聞く 腸内環境を整えて、体も心も健康にする腸活の基礎

2021.09.24

 新型コロナの流行が長期化するなか、健康管理の一環として、腸内環境を整える「腸活」への関心が高まっています。朝日新聞Reライフプロジェクトのアンケートでは、「免疫力アップ」「老化防止」が腸活目的の上位にあがりました。大腸の「腸年齢」を若々しく保ち、体と心の健康管理につなげるには、どうしたらいいか。腸内細菌とアンチエイジング(抗加齢)に詳しい京都府立医科大学の内藤裕二教授(生体免疫栄養学)に聞きました。

腸時計イメージ

新型コロナの重症化 腸内環境の乱れも関係

――そもそもなぜ腸内環境が重要なのですか。

 ヒトの寿命はどう決まるのか。アンチエイジング研究が進むにつれ、老化とは病気のような側面があり、メカニズムを解明すれば、老いの進行を抑えられるという見方が広まりました。そのなかで腸内環境が老化を左右する要素として注目を集めています。

 老化は、体が慢性的な炎症状態になり、細胞や組織が傷つくことで起こります。じつはこうした炎症は、腸内細菌と関係しており、腸内環境を整えることで炎症、ひいては老化が抑えられると考えられます。

 腸内細菌は免疫力とも密接な関わりがあります。新型コロナウイルスの感染では、腸内環境が悪いと重症化しやすいことがわかっています。腸内細菌の種類や比率から重症化を予測する研究も進んでいます。

――どんな腸内環境が望ましいですか?

 まずは腸内細菌の多様性が保たれていることです。ヒトの大腸には約1千種類ともされる腸内細菌が共生しています。国や地域、食生活で、菌の種類や割合は異なりますが、その種類や数が減り、多様性が損なわれると、健康に悪影響を及ぼします。

 日本人の腸内細菌はビフィズス菌が多いのが特徴のひとつで、日本人の長寿に関係している可能性があります。日本人は牛乳などに含まれる乳糖を自分で分解できません。乳糖分解酵素がないからです。一方、ビフィズス菌はこれが大好物。小腸で吸収されず大腸に届いた乳糖がビフィズス菌を増やすことにつながっているようです。

 ただ、こうした多様性や特徴は、環境変化の波をもろにうけます。都市化や工業化、抗菌剤などの薬剤使用、きれいすぎる環境などで、腸内細菌の多様性は乏しくなってきています。

 実際、長寿で知られる京都府の京丹後地区で、3世代の腸内細菌を調べてみると、若い人ほど多様性が失われていました。多様性の構築は長い時間が必要ですが、あっというまに失いかねないのです。

腸年齢の老いる要素と若返る要素

腸の時計を遅らせるには 若返りと老化の要因

――よい腸内環境のためどうしたらいいですか。

 血管年齢のように「あなたの腸年齢は何歳」とまではいえませんが、なにが老いる要因で、なにが若さを保たせるか、区分けすることはできます。「腸年齢」の時計を早回しさせるアクセルと、時計を止めたり逆戻りさせたりするブレーキがなにかを知れば、腸内環境を整える参考になるのではと思います。

 たとえば細菌代謝物のひとつ短鎖脂肪酸は、ビフィズス菌や酪酸産生菌が作り出し、腸内環境を弱酸性に整えて、腸年齢を若く保つ役割をしています。ビフィズス菌にはストレスを軽減する効果もあるとされ、認知機能の改善に役立つという研究もあります。

 一番の要素は食生活の改善です。たとえば地中海食は、肉よりも魚、ナッツや豆類、全粒粉やオリーブオイルを多用するのが特徴で、心臓疾患などの抑制効果が知られています。近年の研究で実際に腸内細菌を変化させていることもわかってきました。

 日本食はまだ効果検証が進んでいませんが、地中海食と同様、魚や豆類などを多く使い、様々な発酵食品がある。日本人には、地中海食以上にぴったりだと思っています。

 その逆に不健康なのが高脂肪食や高単糖食です。腸内細菌の力を借りずに、胃や小腸で消化吸収してしまうため、食物繊維などをエサとする腸内細菌の役割がなくなり、衰えていってしまいます。

 腸内環境の改善は、いまのおなかの調子を整えているだけではありません。10年後の健康維持につながっていると考えながら、取り組んで欲しいですね。

11月3日、腸活オンラインセミナー開催 - 内藤教授が解説、質問も受け付け

 Reライフプロジェクトは、11月3日(水・祝)午後2時から「腸活オンラインセミナー 大腸ケアで免疫力アップ、心と体を若返らせる」を開催します。腸内環境は免疫力だけでなく、認知症を含め全身の健康に影響を与えることがわかっています。腸内細菌研究の第一人者、京都府立医科大学の内藤裕二教授に詳しく解説してもらいます。食事と腸内細菌の関係など、具体的なアドバイスもあります。内藤さんへの事前や当日の質問も受け付けます。

先着600人まで(追加募集含む)。Zoomウェビナーでライブ配信、参加無料。
定員に達したため、応募受付は終了しました。11月中旬に見逃し配信を予定しています。

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  • 内藤裕二
  • 内藤 裕二(ないとう・ゆうじ)

    京都府立医科大学教授(生体免疫栄養学)

    1983年京都府立医科大学卒業、2001年米国ルイジアナ州立大学医学部客員教授,09年京都府立医科大学(消化器内科学)准教授などを経て21年から現職。日本酸化ストレス学会理事長、日本消化器免疫学会理事、日本抗加齢医学会理事、2025大阪・関西万博大阪パピリオンアドバイザー。専門は消化器病学、消化器内視鏡学、抗加齢学、腸内細菌叢。著書に「消化管(おなか)は泣いています」「人生を変える賢い腸のつくり方」など多数。

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