<読者ブログ>

<連載> 美術館探訪(アート部)

フランスの海、空、木々、小川……戸外の風を感じて

読者会議メンバーが見た「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり」展

2021.10.14

 19世紀の巨匠たちによる風景画の歴史をたどる「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」展(2021年6月25日~9月12日)が、SOMPO美術館で開かれました。チケットプレゼントに当選され、鑑賞したReライフプロジェクト読者会議メンバーの感想を紹介します。

読者会議メンバーが訪れた企画展

  • ランス美術館展チラシ表 640
  • 「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」展
    SOMPO美術館

     フランス北東部、シャンパーニュ地方の古都ランス。その中心に建つランス美術館は、19世紀の絵画、なかでも風景画のコレクションが充実しています。今回は、有数の所蔵数を誇るコローをはじめ、ブーダン、ベルタン、クールベ、ルノワール、モネ、シスレー、ピサロといった巨匠たちや、バルビゾン派のコレクション、そして個人蔵も含め全80点ほどが集いました。

ランス美術館展外観
 

展覧会名どおり 章立ても系統立てて分かりやすく

 「風景画のはじまり コローから印象派へ」の展覧会名どおり、戸外制作の先駆者であるコロー作品16点、バルビゾン派の作品、「空の王者」ブーダンの作品7点、そしてルノワール、モネ、ピサロなど印象派の作品と、章立ても系統立てて分かりやすかった。
 以下、気に入った3作品を列挙。
 アトリエ船で制作をしたドービニー「森の中の小川」。木々が小川に映り込み、木々と葉っぱ、小川が点描のような手法で一体化していた。ブーダン「水飲み場の牛の群れ」。本展にも展示のある動物画が得意なトロワイヨンかと思うような牛の絵。よく見るとトロワイヨンのような牛の毛の細かい描写はなく、嵐の前触れの空模様と牛との自然の関係が良く現れていた。そして、モネの「べリールの岩礁」。波、岩礁、岸壁を多彩と巧みな筆致で荒々しさや日の光の柔らかさを実感できた。
 予約制で来館者も限られストレスなく、ゆったりと郊外の風景を見る散歩気分で風景画を鑑賞できた。
(東京都 北沢庸一さん 70代)

好みの風景画ばかり ゆっくり鑑賞でき至福の時間

 日にちと時間の予約制でしたので混雑が無くゆっくり鑑賞できてとても良かったです。展示してある絵画も好みの風景画ばかりで至福の時間を過ごせた。
(東京都 高岡美縫さん 70代)

ランス美術館展コロー
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー(1796-1875)の作品の展示風景

モネ 年をとるにしたがい見えたように、感じたように

 本展覧会の会場であるSOMPO美術館。リニューアル後初めて訪れました。展示室が3フロアあり、移動は基本的には階段なのでちょっと疲れました。リニューアル前のほうが鑑賞しやすかったような気がします。
 さて、本題の展示内容です。まずはコロー。印象派前の時代の風景画っぽい構図を感じました。そして気になったのは画の暗さ。汚れなのか絵の具の変質なのか本来はもっと明るい画だったのではないでしょうか。
 数年前から興味を持ったのがブーダン。ブーダンらしい題材でしばらく見入ってしまいました。
 そして印象派。モネの作品は若い頃のものでよく見知っている作品に比べて見たままを描いている印象でした。年をとるにしたがって、見えたように、そして感じたようにという描き方に変化してゆく原点をみたような気がします。
(埼玉県 松浦芳春さん 60代)

ラヴィエの「平原の老木」など特にお気に入りに

コローは好きな画家ですがこれほどまとまって作品を見るのは初めて、人物が繊細かつ緻密(ちみつ)に描かれているのに風景に溶け込んで描くことができる稀有(けう)な画家だと思います。私が好きなのは木々の間にほんのりオレンジ色が差し込む空が描かれている風景です。
 今回の展覧会では初めて出会う画家たちがいました。特に気に入った作品はフランソワ=オーギュスト・ラヴィエの「平原の老木」。ナルシス・ディアズ・ド・ラ・ぺーニャの「森の中の小さな沼」。全体が木立と沼に映っている木立のみの小品ですが神秘的なオーラのある作品です。アンリ=ジョゼフ・アルピニーという画家の3作品にもとてもひかれました。自分が絵の中に入っていきたいと思わされるような絵なのです。
 3章の版画もどれも素敵でした。コローの版画は初めてですが版画も良いですね。
 最後はなんと言ってもクロード・モネの「ベリールの岩礁」。モネの色彩が岩礁と海に集約されていて、すっかり見いってしまいました。
(東京都 井出桂子さん 60代)

ランス美術館展岩礁
クロード・モネ(1840-1926) 《ベリールの岩礁》 1886年

若きルノワールの風景画 最後まで目に焼きつけて

 絵画の世界は“光と風”へ広がっていく。たゆまなく変化する自然を題材にするには、画材の開発や描法の工夫に加え、戸外行動する画家に強靭(きょうじん)な体力も要求されたことと思われる。
 若い画家たちを風景画の魅力に引き寄せた先駆者のひとりブーダン。構図は大胆で、対象物をキャンバスの下部に配した画家の目線は高く、「主題は大空だ! 」と主張しています。ルノワールは若い時期、風景画にも挑戦していたのですね。「風景」には木々の合間にルノワール特有の朱色が見え隠れし、「ノルマンディーの海景」はバラ色から青色に至るまで、まるでルノワールが人物画で駆使した色彩の色見本のよう。私はいつもの習慣で、退室の前に最も魅了された一点を再度鑑賞します。ルノワールの作品の前にたたずみ、目に焼き付けて会場を後にしました。
 入場数をコントロールした会場は整然とし、人の肩越しに背伸びして鑑賞することもなく快適でした。
(東京都 市川恭さん 80代)

50年前ファンになったコローと再会 携帯の壁紙に

 初めてコローを知ったのは、50年前に放映されていた「冬の雲」という番組のタイトルバックだった。田村正和さんが出演しており、以来、コローの絵と共にファンになった。10年後の展覧会で、実物を見ることができ、風と光を感じる独特の銀灰色の叙情的な画風に魅了された。今回、コロナ禍だったが、4月に亡くなった田村さんをしのび、また新しくできたSOMPO美術館にも興味があり、足を運んだ。
 バルビゾン派から印象派までの特徴が出ている作品が多く、鑑賞しやすかった。 印象に残ったことは、ランス市のビデオ紹介。美しいノートルダム大聖堂やジャンヌダルク像があり、藤田嗣治埋葬の地であった。パリの郊外で余生を送り、礼拝堂を作ったことは知っていたが、眠るのがかの地であることは記憶になかった。帰宅後、ランス市を旅したいと思い、調べたほどだった。今は、携帯の壁紙を撮影可のコロー「イタリアのダンス」に変更し、鑑賞の余韻に浸っている。
(神奈川県 志波郁子さん 60代)

ランス美術館展館内
「バルビゾン派」の作品の展示風景

絵の対象が庶民に フランス革命を経た事実が裏打ちされ

 SOMPO美術館へは、30年以上前の安田火災東郷青児美術館時代に東郷青児展を鑑賞して以来の再訪でした。ゴッホの《ひまわり》を見たことも覚えています。その時は離婚した妻と行きました。今回は、7月初旬に結婚した妻、75歳の日曜画家と74歳の私、とで横浜市磯子区から最終日近くにはせ参じました。
 当時、チューブ入り絵の具が発明され、屋外での作業が可能になり、コローをはじめ、後の印象派を輩出した端緒になったことが、私には印象深いことです。当初、コロー時代は暗い感じの絵が多かったのですが、南フランスが作業場の印象派になると、明るい光線を取り込んだ画風になり、鑑賞者になじんだものに進化していると私には思えました。森、川や海の水場、広い空の雲に農民?漁師などの庶民が絵の中に散見されます。絵の対象が、以前の王公貴族から庶民となって、フランス革命を経たという歴史的事実が裏打ちされていると思いました。
  フランスの山水画を見た思いでした。
(神奈川県 下山良太さん 70代)

「空の王者」ブーダン 時間とともに変化するニュアンス見事

 「秋思」となると、何かもの寂しい感じになるが、今の時期、空を見上げていると、雲のかたちや動きが面白く見とれてしまうのは私だけだろうか。
 今回見たこの展覧会のタイトルは「風景画のはじまり コローから印象派へ」である。19世紀になると、チューブ入りの絵の具が発明され、戸外での油絵による写生が可能になり、画家たちは浮き浮きしながら出かけたことだろう。
 会場内を見渡してみると、コローとブーダンの展覧会ともいえる内容であった。ランス美術館は国内でルーブルに次いで、コローの作品を多く収蔵するという。19点来ているが、チラシに使われているコローの作品などが光っている。そのコローが「空の王者」と評したといわれるブーダンの風景画7点は時間とともに変化していく微妙なニュアンスが見事で、印象に残った。
 紙幅がないが、会場で配られた関連地図は画家たちの動きを見るのに役立ったことを付記しておきたい。
(東京都 蓑輪典子さん 60代)

  • この連載について / 美術館探訪(アート部)

    Reライフ読者会議では、登録メンバーを展覧会に招待し、作品を鑑賞した感想を投稿してもらう企画を不定期で開催しています。作品の感じ方は十人十色。アートに正解はありません。そんなアート好きのReライフ世代の感想を集めました。

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