<読者ブログ>

上野千鶴子さんが語る「おひとりさま」の悩み解決法 「年寄りは自由に生きましょう」

【ReライフFESTIVAL@home2021秋】読者会議メンバー視聴リポート

2021.10.21

 2021年9月にオンラインで開催したReライフフェスティバル@home。公募で選ばれた読者会議メンバーから上野千鶴子さんによる「悩めるおひとりさまに答えます」のプログラムを視聴した感想が届きました。

上野千鶴子さん

「可哀想な人」の概念打ち消す

 9月18日、Reライフフェスティバルに上野千鶴子さんが出演された。
 上野さんが、2007年、「おひとりさまの老後」を書いた頃、世間では「おひとりさま」は可哀想な人、という考えが多くあったが、そんな概念を打ち消す、この本が出版されると、ベストセラーになった。
 読者も一人暮らしに共感を持ったのであろうか。長い間、家族を気遣い、家庭を守ることに徹してきた主婦など、夫亡き後の一人暮らしを思い、その時に子供たちの助けは受けられないと、覚悟しているであろう。しかし人は健康であれば、自宅で一人暮らしができるが、その後年を重ねると、どうなるだろうか?
 上野さんは、人は自宅に住み続け、自宅で死ぬべきだとおっしゃる。最近の年配者は持ち家を持っている人が多く、家賃を払う必要はない。年金も入る。健康保険も使える。介護認定を受ければ、介護保険による様々なサービスを受けることも可能だ。
それでも、人はもっと老いれば施設に入るしかないのではなかろうか。すると上野さんは、私たちの不安を消し去るようにおっしゃった。老人は、慣れ親しんだ自宅で暮らしたいものだ。子供の家に引き取られるのも、しかり。施設で他人に気を使いながら暮らすのは面倒だ。
 上野さんは、老人が自宅でプロに介護されて死ぬのが理想であると、おっしゃった。老人は家族に自分の介護を負担させるのは好まないし、家族も親の介護はできなくなっている。本人が望めば自宅で気兼ねなく死ぬことができるとは、すばらしいと思った。
(千葉県 松宗美帆さん 70代)

年齢重ねることへの期待が膨らむ

 上野千鶴子さんの透明感のある声はとても素敵だ。抑揚の少ない落ち着いた語り口は、私に疑念を抱かせない。往生が年齢順であれば、年上の夫と暮らす私も「シングルアゲイン様」予備軍だ。そうなっても「おかえんなさい」と上野先生が迎えてくれるそうなので、「ただいま」とのんきに仲間入りすれば良いだけのこと。まんざらでもなさそうだと思わせてくれた。
 興味深かったのは、進行役・室田さんのお義母様の話だった。認知症ながら、介護の世話を受けることで、一人暮らしを全うしたという。“認知症ならば施設へ”の私の思い込みこそ、上野先生の言う「刷り込み」なのだと気が付いた。ただ、介護の支援体制に関しては地域性があるようだ。私は自分の暮らす地域介護サービスの内容について無知であることに気が付いた。
 残念だったのは、関連してつながったトーク「介護保険が危ない」が短かったことだ。「これをやってのけているのが、今の政権ですからね」の、ことさらゆっくりした口調に上野先生の戦闘モードを感じ、画面に向かって身を乗り出したところで、進行役が話題を変えた。舌鋒(ぜっぽう)鋭く、歯にきぬ着せぬご意見も拝聴したかった。
 締めくくりに、「年を取れば取るほど自由になる。年寄りは自由に生きましょう」と、視聴者に呼びかけた。年齢を重ねることへの不安が抑えられ、期待が膨らんだ。アドバイスに従って、生きていく知恵やスキルを磨き、健康のメンテナンスに気を付けて、IQより愛嬌(あいきょう)をアピールし、時には弱音を吐く「シングルアゲイン様」を目指したい。
(埼玉県 丸岡芙蓉さん 50代)

「在宅ひとり死」は大切な権利

 「住み慣れた家を離れて子どもの側に行って、子どもが何をしてくれる? 」
 一人の老後を不安に思う読者の声に対して向けられた上野さんの一言。
 わかっていても現実に目をそらしてきた人は多いのではないかと思いました。
 「自分の慣れ親しんだ環境はかけがえのない財産」
 「集団生活に慣れていない時代の人が、年をとってから集団生活を始めるなんて」
 実は私自身も子どもの時から個室を与えられた、核家族の多かった世代です。
 年をとってから施設に入所することを自分事で考えると、ストレスが多いのではないか、認知能力が一気に低下するのでは、と考えてしまいます。
 自分が好きな時に食べ、寝て、起き、他者に遠慮せずに自由に暮らす。
 実はこんな当たり前のもっている権利を捨ててまでも、「孤独死」に対する偏見、不安から施設に入所することを自分から選択せざるを得なかったり、子どもたちから促されたりと、日本の高齢者は自己決定する権利を奪われていたのか? と考えてしまいました。
 今の70代・80代は介護保険もなく、子どもたちに依存する考えが根強く、さらには女たちに介護を無償労働させていた時代に生きてきた人たちです。孤独死は惨めな死、これらの偏見や不安を年を経てから拭い去ることは大変な作業です。けれども今は介護保険の時代。そして介護保険が始まってから20年が経ちました。上野さんが話されていたように、介護保険をフルに利用していく、あるいはNPO法人の各種制度を自費で利用したり、後見人制度を利用したり、地域資源を利用する、使える時からどんどん使って意見を言っていかないと、資源は枯渇していきます。まずは私も自分の老後を、上野さんが話されていた大切なことの一つ、「自由であること」そして「健康で可能な限り働く」「おひとり様同士(大切な友人)と助け合い生活する」「幸せだと感じられる最期にする」と自分でデザインしました。
 昔は「孤独死」しかしこれからは「在宅ひとり死」のために自分で自己決定をしていく。
 上野さんのお話を聞いて、「在宅ひとり死」は寂しい老後ではなく、最後まで自立した自分らしい生活を送るために人それぞれに与えられた大切な権利だと思いました。
(山梨県 小関香里さん 50代)

重要なのは「金持ちより人持ち」

 Reライフイベントで初めてリポートを書かせていただくことになった。二十年近く男女共同参画関係の仕事をしてきて、上野さんは憧れの人、リポートできるのはうれしい。
 コロナ禍のせいでオンライン講座を自宅で受講できるようになり、学びと自己啓発の時間が増えたことは感謝である。
 人はいずれ一人になるわけで、その時に備えて必要な経済面の知識、介護保険の内容など情報を把握し、あらかじめ準備をしておくことがとても大切。加えて老いて重要なのは「金持ちより人持ち」であること! 思わずひざを打った。一人娘は東京住まい、急に駆けつけるには遠いという自分の状況の中で、周りの人との関係がいかに大切かは常日頃から実感している。
 人との付き合いが苦手であっても最低限どの介護サービスが受けられるか、自分の老後に関心を持つことは重要だ。「人持ち」でも日ごろ付き合う友人が介護もしてくれるわけではないのだから、受けられるサービスに関して知っておく必要がある。一人になった時に娘に世話になるか現在の家で暮らし続けるかは遠くない将来の選択である。しかし彼女は努力しても子どもに恵まれなかったので、次々世代のない我々がまず考えるべきは墓じまいかもしれない。
 早朝のウォーキングで気がつくと近所に空き家がどんどん増えている。施設に入られたか子ども世帯との同居に踏み切られたか、どちらかだと思う。荒れ果てた庭と塗料のはげた家を見ると老いることの現実を突きつけられているようだ。
 願わくは介護保険が今より後退することなく一人ひとり、弱者の「おひとりさま」をしっかり支えてくれるものであり続けてほしいものだ。
(大阪府 大平弘子さん 70代)

 本記事は、2021年9月18・19日(一部を除き9月30日まで見逃し配信)に行われた「朝日新聞ReライフFESTIVAL@home」に参加した読者会議メンバーから寄せられた感想を掲載しています。

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