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母の遺品整理の最中です……ほんとうに主人公の気持ちがわかります

「姑の遺品整理は、迷惑です」を読んで/連載・ひとことブックレビュー

2021.11.04

 読者会議メンバーからブックレビューを募る企画に、「姑の遺品整理は、迷惑です」を読んだ感想が届きました。みなさん、主人公にすっかり感情移入して読んだようです。

  • 姑の遺品整理は、迷惑です
  • 垣谷美雨(著)
    出版社:双葉社

     姑(しゅうとめ)が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった。業者に頼むと高くつくからと、嫁である望登子はなんとか自分で遺品整理をしようとするが、あまりの物の多さに立ちすくむばかり。「安物買いの銭失い」だった姑を恨めしく思いながら、仕方なく片づけを始める。夫も手伝うようになったが、さすが親子、彼も捨てられないタイプで、望登子の負担は増えるばかりである。誰もが経験するであろう、遺品整理をユーモアとペーソスあふれる筆致で描く長編小説。6月に開催したReライフ・ビブリオバトルのチャンプ本です。

まるで私のこと……片づけで成長し解放されたすべての人の幸せを祈りたい

 読み始めからデジャブ=既視感があった。まるで私のことを書かれているのではないかという、奇妙な思いで読み進めた。
 どうしてこんなにそっくりな状態が展開していくのか? この小説の中に横たわったミステリーのような思いで、めまいがした。
 主人公の義母と実母の対比から、嫁だから早くスッキリさせたい焦燥感と、実家を始末される側から見るさみしさと。
 老齢や死滅によって手放すことは、誰の身にも起こる哀(かな)しいあきらめの手放しだと思えた。それはまだ人生の先がある人の卒業的な片づけと違う。私にとって心がぎゅっとつかまれるような情景だった。
 しかし気づけば高齢の親の世話に我が家も雑然として、自分たちの生活を放棄しすぎていた。捨てたい、片づけたくても、捨てる手間に私も途方に暮れる。私も同じではないか。
 片づけて、最後に見つけた人の愛(いと)おしさに涙が出た。片づけによって成長と解放を手に入れたすべての人のその後の幸せを祈りたい。
(神奈川県 山本智美さん 50代)

きれいにしすぎても残された人はさびしいのかもと初めて思いました

 母の遺品整理の最中です。母のものでも何から手をつけていいのかわかりません。少しずつやるとなかなか進まないし、思い出につかまると身動きできなくなる。本当に主人公の気持ちがわかります。
 困ったことだけど身の回りをあまりきれいにしすぎて亡くなるのも、残された人にとっては寂しいのかもしれないと初めて思いました。もちろんほどほどがいいのだけど、自分ではわかりません。
(兵庫県 宮内純子さん 60代)

片づけを通して思いがけない人々との出会いがあるのがうらやましかったです

 借りている部屋を期限付きで片づけて明け渡さなきゃならないとなると本当に大変だろうなあと、フィクションとはいえ主人公に感情移入しながら読み始めました。
 私自身もここ数年、だらだらと空き家状態になった実家を片付けていて、山のような荷物を前に途方に暮れているのでひとごととは思えません。
 片づけを通して思いもかけない人々との出会いがあるのをうらやましくも思いました。片づけは迷惑と言いつつ、姑さんの残した他人とのつながりがいいものだったから出会いもあるんですよね。
 ふりかえってみるとこの30年くらいで物との付き合い方、住むということに対する考え方が変わってきています。30年前には実家の片づけが重荷になると思う人は少数派だったかもしれません。片づけに対して気力のあるうちにどんどん自分のものも処分しなきゃダメですね。
(兵庫県 隆辻江里子さん 50代)

九回裏サヨナラホームランの感 読み終えた後は爽やかな気持ちです

 団地の3DK50平方メートルの遺品整理に取り組む嫁のストーリー。私は自身が遺品整理に遭遇したように、主人公に感情移入しながら一気に読破してしまいました。
 結果的には、弱々しいとも思えた嫁が、業者に外注することなくこの一大プロジェクトを完結する。そのプロセスにおいて、前総理の言葉ではないが、自助・共助・公助を活用しながら、一生活者の視点で周囲の登場人物とも協力連携、エンパワーメントされていくところは圧巻。
 近隣住民から明かされる生前の姑の生き様から、共助の恩恵を得ていくところは見逃せない場面。最後まで処分方法に悩む期限切れ消火器と手を煩わすウサギが、人と人をつなぎ、関係性をつないでいくものに大変身したところは、九回裏サヨナラホームランの感がある。
 主人公のセルフケア方法も面白い、お気に入りのミルクティーはどんな公助よりも効果抜群だ。重苦しいテーマながら、読み終えた後は爽やかな気持ちです。
(東京都 石井良信さん 60代)

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