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<連載> 腸戦者に訊く

第6回 腸内細菌が老化に及ぼす影響とは?

京都府立医科大学の内藤裕二教授・森永乳業研究本部基礎研究所の清水金忠所長 アンチエイジング編

2021.11.24

 長生きするだけではなく、心身ともに健康であり続けることは、幸せに生きるための重要な要素です。健康長寿と腸内細菌の関係について、消化器内科医として長く臨床に携わり、その中で得られた豊富な知見をもとに腸内細菌の研究に精力的に取り組んでいる京都府立医科大学教授の内藤裕二さんと、森永乳業研究本部基礎研究所長としてビフィズス菌研究の指揮をとる清水金忠さんに伺いました。

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内藤裕二先生孤影②

老化に個人差 腸内細菌にも違い

――腸内細菌は認知機能だけではなく、老化にも影響するのですか?

内藤 老化には個人差があります。私たちが長期に渡って調査を続けている京丹後市(京都府)の高齢者は長寿で知られていますが、筋肉や血管など体全体が、ほかの地域に住む高齢者と比べて若いんですね。そこで京丹後市に住む高齢者と京都市内に住む高齢者の腸内細菌を調べて比較したところ、違いがみられました。

 腸内細菌には食生活も大きく影響していると思います。京丹後市は海と山に囲まれていることもあり、主に魚や豆からたんぱく質をとっているという特徴があります。

清水 腸内細菌は加齢によって変わることが知られています。高齢者の中には年相応の腸内細菌を持つ人もいれば、実年齢よりも若い腸内細菌を持つ人もいます。動物実験では、長寿の人間の腸内細菌を移植すると長生きするという結果が出ています。

内藤 老化は単なる経年の影響だけではなく、炎症によって組織や細胞が傷つくことで進んでいくことが分かってきましたが、炎症を引き起こす要因の一つとして、腸内環境が関わるのではないかと考えています。

清水忠金所長孤影③

腸内細菌の代謝物が長寿に影響

――どのような腸内環境だと健康長寿を達成できるのでしょうか。

内藤 みなさんが知りたいのは、そこですよね。京丹後市の高齢者を対象にした調査は、20年間続けることを予定しています。まだ5年前に始まったばかりの研究なので、15年経てばどういう腸内環境の人が、健康に長生きしたのかが分かると思います。

清水 その点については森永乳業でも取り組んでいるのですが、腸内細菌だけではなく、腸内細菌が代謝する物質(代謝産物)が、非常に大事なのではないかと感じています。

――腸内細菌の可能性について、教えてください。

内藤 腸内細菌は糖尿病や肥満、精神疾患にも関わることが分かってきましたが、ほかにもさまざまな病気に関連していることが考えられます。

 実は腸内細菌の研究は、大学の農学部や畜産学科がリードしてきたんですね。研究データが蓄積されてきたことで、医学部からも注目されるようになりました。森永乳業のビフィズス菌と認知機能の関係についての研究は、より一層プロバイオティクス(※注)の研究が進むきっかけになると思います。研究者としても期待しています。

清水 ご期待いただき、ありがとうございます。ビフィズス菌は、人以外の動物から見つかった菌も含めると90種類程度あります。菌株によってさまざまな健康機能があるので、可能性はさらに広がります。

内藤先生清水所長ツーショット③

ビフィズス菌研究で社会課題解決に挑戦

内藤 目的に合わせてビフィズス菌を選ぶ、という時代がくるかもしれませんね。腸内細菌の研究については、対象者が何を食べているのか、どのようなライフスタイルを送っているのかなど、背景も含めて調べていくことが大事だと思います。

清水 私たちがビフィズス菌にこだわるのは、日本人の大腸内に多く棲(す)んでいるからでもあります。日本人の健康にはビフィズス菌が関わっていると思いますし、研究するほど、興味深いデータが出てきます。これからも社会課題に取り組み、ビフィズス菌に関する確かなデータを出していきます。

 ※プロバイオティクス 人体に良い影響を与える生きた微生物、または、それらを含む食品。 

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(企画・製作:朝日新聞Reライフプロジェクト)

  • 内藤裕二②
  • 内藤 裕二(ないとう・ゆうじ)

    京都府立医科大学教授(生体免疫栄養学)

    米国ルイジアナ州立大学医学部客員教授,京都府立医科大学准教授などを経て2021年から現職。日本酸化ストレス学会理事長。専門は消化器病学、消化器内視鏡学、抗加齢学、腸内細菌叢。

  • 清水金忠②
  • 清水 金忠(しみず・かねただ)

    森永乳業研究本部基礎研究所所長

    理化学研究所などで研究職に従事した後、1995年に森永乳業入社。栄養科学研究所、食品総合研究所、食品基盤研究所を経て2015年より現職。農学博士。

  • この連載について / 腸戦者に訊く

    ビフィズス菌は1500万年にわたって人類と共存してきました。ヒト由来のビフィズス菌に50年以上にわたって向き合い、研究の成果を人々の暮らしに役立ててきた森永乳業の研究者たちに挑戦の軌跡を訊(き)きました。

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