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<連載> 腸戦者に訊く

順天堂大寄付講座でビフィズス菌研究

順天堂大学名誉教授の佐藤信紘さん・森永乳業研究本部基礎研究所フロンティア研究室副室長の勝又紀子さん ハッピー・エイジング編

2021.11.27

 順天堂大学と森永乳業の共同研究で、ビフィズス菌のさまざまな作用が解明されつつあります。同大名誉教授で研究の指揮を執る佐藤信紘さんと、ともに研究を進める森永乳業研究本部基礎研究所フロンティア研究室副室長の勝又紀子さんに、高齢者とビフィズス菌にかかわる研究の最前線を伺いました。(全3回)

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森永乳業 佐藤名誉教授と勝又さんツーショット③

おなかの働きが健康を左右

――佐藤先生は「ジェロントロジー(老年学)」の研究をされています。どのような研究ですか。

佐藤 高齢者の健康と幸せを研究する学問です。私はおなかの専門医ですが、同時に生命科学についての研究も続けてきました。順天堂大学で消化器内科の主任教授を退いた後は、改めて生命とは何か、誕生から成長、加齢、老化、死という道筋を生命科学的に解き明かしたいと思っていました。そんなとき、ある企業から高齢者施設を運営するにあたり、「人が健康を享受し、幸せに人生を全うする生き方についてアドバイスをいただきたい」とお声がけいただきました。そこで、約6年前に順天堂大学に「ジェロントロジー:医学・健康学応用講座」という寄付講座を設立しました。今年になって、大学が「ジェロントロジー研究センター」に格上げし、現在5学部の先生の共同研究施設として高齢者の健康や幸せについて研究を続けています。

――高齢者が幸せに生きていくためには何が必要でしょうか?

佐藤 なんといっても健康が第一です。医師は患者さんにまず「食欲は? 」「お通じは? 」「よく眠れていますか? 」と聞くことが多いですよね。生きることの原点だからです。さらに幸せに老いるために大事なのは「動き、楽しみ、喜ばせる」ことです。「ジェロントロジー講座」もこの標語のもとに活動しています。動き、楽しみ、喜ばせるためには栄養バランスの優れた食事を楽しみ、体を動かすことが大切です。

 特に私は消化器内科医ということもあり、おなかの働きが健康を左右し、「何歳になっても、おいしく食べられ、お通じがよく、十分眠れる」ことが大事だと思っています。毎日歩いて体を動かすとよく眠れますし、食事を楽しむと消化がよくなります。そして人に喜ばれるような利他的な生き方が満足感を生み、「ハッピー・エイジング」をもたらすのです。

森永乳業 佐藤名誉教授①

ビフィズス菌で疾病予防を研究

――森永乳業は2017年、順天堂大学大学院医学研究科に寄付講座「腸内フローラ研究講座」を設置しました。佐藤先生は大草敏史特任教授とともに、この講座を担当されています。

佐藤 腸内細菌研究分野で世界的権威の大草教授を迎え、森永乳業の研究の中心であるビフィズス菌の、疾病の発症予防、進展防止に関する研究を進めることになりました。ビフィズス菌の面白さは離乳前の赤ちゃんの腸内に多量に存在し、加齢により著しく減ることで日本人高齢者の腸内環境を変化させることに大きく関与していることです。

勝又 森永乳業にとって初めての寄付講座です。森永乳業は50年以上、腸内細菌の一つであるビフィズス菌の研究に取り組んでいますが、国内有数の医学研究機関である順天堂大学の寄付講座を通じて、ビフィズス菌をはじめとする腸内フローラ(※)研究を促進し、さまざまな病気の原因解明や予防に貢献したいと考えました。

森永乳業 勝又さん③

――どんなことが分かってきましたか。

佐藤 ビフィズス菌は食物繊維を餌として短鎖脂肪酸である酢酸を腸内で作ります。研究の中で見えてきたのは、これが腸管だけでなく全身にある受容体を介して脳や体のエネルギー代謝に関与するとともに、免疫神経細胞に働きかけて、脳神経細胞や血管内皮細胞を含めて全身の炎症を抑える作用をもたらしているということです。

勝又 さまざまな分野の医師のみなさんに興味をもっていただき、多くの研究が進んでいます。「順天堂大学東京江東高齢者医療センター」では、高齢者の慢性便秘症患者へのビフィズス菌摂取による改善作用のほか、MCI(軽度認知障害)の方に特定のビフィズス菌をとっていただいたところ、認知機能を含め有益な結果を得ることができました。これらの研究成果はビフィズス菌の保健機能をサポートするエビデンスとして期待しています。

腸内フローラ 腸内にすみついている多種多様な細菌が、群れをなして生息している様子が花畑(フローラ)に似ていることから、こう呼ばれる。

◇次回は、脳と腸が密接に関係していることについてのお話です。

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  • 佐藤信紘
  • 佐藤 信紘(さとう・のぶひろ)

    順天堂大学名誉教授

    順天堂大学医学部消化器内科学主任教授、同大医学部附属練、大阪警察病院院長などを経て、現職。学校法人順天堂理事、順天堂大学特任教授、同大ジェロントロジー研究センターセンター長。専門分野は人体の生命機能、消化器内科学、統合医学など。

  • 勝又紀子
  • 勝又 紀子(かつまた・のりこ)

    森永乳業研究本部基礎研究所フロンティア研究室副室長

    1983年森永乳業入社。生物科学研究所、食品基盤研究所を経て、現職。本年6月第10回日本認知症予防学会にて、優秀演題賞である浦上賞受賞。

  • この連載について / 腸戦者に訊く

    ビフィズス菌は1500万年にわたって人類と共存してきました。ヒト由来のビフィズス菌に50年以上にわたって向き合い、研究の成果を人々の暮らしに役立ててきた森永乳業の研究者たちに挑戦の軌跡を訊(き)きました。

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