【読者会議】心に届いた 贈りもの

<Reライフアンケート>うれしかった贈りものは?

2021.12.05

 家族から、友人から、同僚から――。自分を思って選んでくれた贈りものに、心がポッとあたたかくなった経験はありませんか。「心に残るうれしかった贈りもの」のエピソードを尋ねました。

透析 力をくれた落語テープ

 埼玉県北本市の坂本由紀さん(64)にとっての忘れられない贈りものは、「透析の友」のラベルが貼られた、兄(67)からもらったカセットテープだ。25年ほど前、透析を受けていた坂本さんのため、兄がおすすめの落語をダビングして贈ってくれた。
 20代後半に慢性腎炎と診断され、定期的に検査を受けていたが、子育てで慌ただしい日々を送るうちに通院が後回しになってしまった。知らぬ間に腎機能が悪化し、1996年5月に入院。そのまま透析を受けることになった。
 週3回、4時間ずつの透析の間は、腕に2本の針を刺したまま、ベッドの上から動くことはできない。そんな透析生活が始まったころ、兄から落語のテープをもらった。それまで「笑点を見るぐらい」で落語になじみはなかったが、テープを聞いていると、透析中の心がふわっと軽くなった。
 「この噺(はなし)が面白かった」と兄に伝えると、さらに別のおすすめをダビングして渡してくれた。初心者も親しみやすい創作落語に始まり、いぶし銀の大御所の話芸へ……。透析の時間以外もテープを聞き込み、だんだんと落語の魅力にはまっていった。
 透析生活は、98年秋に腎臓移植手術を受けるまで続いた。ドナーは兄。「さすがにもらえない」と断っていた坂本さんに、兄は「メリットもデメリットも十分検討して、冷静に判断しよう」と言い、半年間の話し合いと数カ月にわたる検査の結果、兄家族の後押しもあって移植を受けることになった。今回取材を受けるにあたって兄に連絡したところ、兄は「腎臓をあげたことは覚えているけど、テープをあげたことは覚えてないな」と言っていたそうだ。
 透析の必要がなくなった今も、毎晩寝る前に落語を聞いている。兄のテープは、「透析を受ける時間」を「落語を聞く時間」に変えてくれた。「あのテープにどれほど救われたか。落語に出あうきっかけにもなり、自分を豊かにしてくれた宝物です」

(松本紗知)

うれしかった贈りものは?

教え子がひそかにリサーチ

 バスガイドの指導員をしていた頃、正月休み前に教え子から「母への贈りものは何がいいと思いますか」と聞かれ、「暖かいものがいいんじゃない? 年上の女性には、派手な色の方がいいよ」とアドバイスしました。数日後、最後の授業を終えると生徒たちが「1年間ありがとうございました」と、ピンクのひざかけをプレゼントしてくれました。質問は私へのリサーチだったようです。10年以上たった今も愛用しています。
(京都府 川崎しおりさん 58歳)

秋に届く母からの段ボール

 30年ほど前、愛知県の実家を離れて東京の大学に進学し、自治学生寮で70人ほどの共同生活をしていました。貧乏な学生が多く、みんな食費を節約してやりくりしていました。そんななか、毎年秋になると、実家の母が「寮のみんなでどうぞ」と、お菓子やカップ麺、大量の栗ごはんが入った段ボール箱を送ってくれました。母は22年前に他界しましたが、あのときの段ボール箱がうれしくて、今もずっと忘れられません。
(愛知県 大橋明仁さん 51歳)

出産祝いのビール券に感涙

 出産祝いはみな子ども宛てで、おもちゃや洋服などのベビー用品でしたが、同僚の奥さんは私に宛てて「頑張ったね」とビール券を贈ってくれました。出産後は赤ちゃんが主役になりますが、初めて頑張りを認められた気がしました。妊娠中は大好きなビールを控えていたので、涙が出るほどうれしかったです。それ以来、出産祝いは頑張って産んだ母親宛てに、母親自身が好きなものを贈るようにしています。
(神奈川県 和田愛さん 46歳)

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