便は、体が必要な栄養素を吸収した後の食べ物の「残りかす」で、本来は体の外に排出されるべきものです。便が十分量かつ快適に排出されず体の中にたまってしまう状態を便秘と言い、具体的には3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態とされています。

便秘で腸内環境が悪化すると、善玉腸内細菌の減少やガスの発生・貯留につながり、おなかが張って痛くなったり、においのきついおならが出たりします。また、便が硬くなって排便時に肛門(こうもん)を傷つけ出血や脱肛(だっこう)、痔(じ)を引き起こすほか、便がたまって食欲低下を招くこともあります。
便秘は子どもにも多く、慢性的な便秘から尿路感染や夜尿といった尿の問題が起こることもあります。腸の中で硬くなった便の上に軟らかい便がたまり、固まった便の周囲から漏れ出して下着に付着する便失禁は、実際には便秘なのに、子どもが下痢をしていると思ってしまうこともあるので、親御さんは注意が必要です。
子どもの便秘の原因には、水分量や食物繊維の不足からくる食事面の問題と、姉妹・兄弟間のストレスやトイレトレーニングへの抵抗からくる行動面の問題があります。これらを「機能性便秘」と呼びます。一方で腸管に関連する神経の機能障害や肛門の異常などが関与する「器質的便秘」もあり、こちらも念頭に置く必要があります。
子どもは排便時の痛みが強いと便を我慢することがあり、悪循環に陥る可能性もあります。
便秘にならないための対策として、次のようなことが挙げられます。
(1)毎日朝食をとりましょう。朝食は胃腸の動きを刺激し便意を促すきっかけとなります。
(2)食事内容に注意しましょう。食物繊維の多い食品をとり、便の量を増やすことも重要です。
(3)水分をしっかりとりましょう。
(4)適度な運動をしましょう。腸に刺激が与えられて排便が促されます。
(5)規則正しい生活を送りましょう。毎日決まった時間にトイレに行くように心がけるとよいです。
便秘が起こった時は、便秘薬や整腸剤を使用しましょう。緩やかに効く「非刺激性下剤」、刺激を与えて出す「刺激性下剤」などがありますが、市販の薬を使用するときは対象年齢や用量・用法をよく確認してください。また、薬の効果があるからといって安易に使わず、繰り返し便秘が起こるような場合は、器質的原因がないかを調べてもらうために、病院を受診されることをお勧めします。病院によっては「子どもの便秘外来」など専門の外来を設けているところもあります。
排便の回数が少ない(3日以上出ない)、便が硬い、排便に痛みを伴う場合、便秘を繰り返す場合は医師に相談しましょう。生活指導だけで治らない場合は、薬物治療もあわせて行うことがあります。薬がクセになることを心配される方がいらっしゃいますが、そのようなことはないのでご安心ください。中途半端に薬を使用して「便をため込むクセ」から抜け出せない方が問題ですので、薬は指示された通りきちんと使用してください。
(朝日新聞「医の手帳」から=長野版、新潟版に掲載)
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