朝食にもち麦、腸内細菌の種類増加傾向 兵庫県加東市などが共同研究

市職員60人が毎朝70グラム摂取の結果

2022.02.16

 蒸したもち麦製品を朝食に毎日食べて2カ月、腸内細菌の種類が増えた――。そんな傾向が、兵庫県加東市と医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪)、もち麦製品を製造している「マルヤナギ小倉屋」(本社・神戸市)の共同研究で分かった。3者が加東市役所で報告した。

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加東市での麦踏み
麦踏みをする加東市立滝野南小学校の児童と社高校生活科学科の生徒=兵庫県加東市

 報告によると、男女30人ずつ計60人の同市職員に、2020年10月から2カ月、朝食に同社の蒸しもち麦製品をご飯茶わん1杯分の70グラム食べ続けてもらい、食べ始める前と2カ月後の、腸内細菌の種類数や食物繊維の摂取量などを調べた。

 職員60人の腸内細菌の種類数は、実食前は平均約770で、同研究所が収集している全国平均値とさほど変わらなかった。ただ、1千以上ある人は全国平均の12%に対し、市職員は3%でやや少ない傾向だった。

 それがもち麦を2カ月食べ続けた後では、種類が1千以上の人が17%に増加。1500を超える人も4人出た。平均は約880になった。

 食物繊維の摂取量は、食べ始める前が1日平均1人9.4グラムだったが、2カ月後には12.9グラムに増えた。もち麦以外、穀物や野菜、豆類などの摂取量に大きな変化はなく、増加はもち麦によると結論づけた。

 便通の改善にも効果をもたらしたとみられ、便の量が増えたという人が多かった。排便後、「爽快感がある」という人が増え、「残便感がある」と答えた人が減った。

もち麦研究の報告会
加東市役所で行われた研究内容の報告会

 一方、腸内細菌の種類数が減った職員もいる。報告した同研究所の国沢純さんは「腸内細菌の種類が増えたのは非常に興味深いし、予想以上に個人差があった。その違いを生んだものは何か、どうしたらいいのかを考え、種類が増えなかった人の腸内環境に合わせた食事を提供するのが次の課題だ」と話した。

 昨年度、加東市内では営農組合を中心に100ヘクタールの畑でもち麦が栽培され、200トンが収穫された。全量、マルヤナギ小倉屋が買い取る契約栽培。市側は「ぜひ加東の特産にしたい」と力を込める。

 同社の柳本一郎社長は「もち麦は味が米や小麦に及ばないと言われていたが、加東のもち麦はおいしいと評価されている。健康価値を増加させるため、広がりが期待できる」と話している。

(朝日新聞姫路支局長 滝川直広)

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