<連載> べんの博士のウンチ講座

第4回 ヨーグルトを食べると腸内細菌の構成に変化が

いま知りたい! 腸活のための基礎知識 /「便秘とヨーグルトの関係」

2022.03.25

 ひどい便秘の人がヨーグルトを食べるようになると、便秘が改善することがあります。その理由は、腸内細菌が変化することにあるようです。ウンチ博士として知られる一般財団法人辨野腸内フローラ研究所理事長の辨野義己博士が、エキサイティングなウンチと腸の世界を紹介します。腸内にすてきな環境を作ることは、健康の第一歩です。

べんの博士のウンチ講座

 下剤を使っても、2週間に1度しかウンチが出なかった女性たちに、毎日ヨーグルトを300グラム以上食べてもらったところ、ほとんどが1週間程度でウンチが出るようになったのです。便通だけでなく、腸内細菌の構成も大幅に変化し、善玉菌のビフィズス菌が増えました。

 排便を促す腸のぜん動運動は、1日に1~2回程度しか起こらないのですが、せっかく便意が起こっても、そのときにウンチをしなければ、次第に直腸は便意を伝えなくなり、便意がない状態になってしまいます。

 また、十分な水分も必要です。力まずに出る健康なウンチなら、水分は80%。しかし、コロコロウンチは水分が70%以下です。通常なら、1日か2日で大腸を通過するウンチが、何日も大腸内にとどまっていたら、どんどん水分が体内に吸収されてしまい、ウンチは硬くなってしまうのです。

 しかしヨーグルトや乳酸菌飲料を摂ると、腸内細菌の構成を変化させ、特にビフィズス菌や乳酸菌がつくる酢酸や乳酸が腸を刺激してぜん動運動を活発にし、便通がよくなるというわけです。

 便秘が深刻なのは、若い世代ばかりではなく、高齢者にとっても同じです。特に寝たきりの高齢者は、内臓器官の衰えで便秘が習慣化してしまいます。一度便秘になると食欲不振になり、出るウンチそのものがなくなる悪循環に陥ってしまいます。

 そこで便秘の解消に、ヨーグルトや乳酸菌飲料、食物繊維が豊富な食べ物の積極的な摂取が薦められるのです。 

 埼玉県のある老人ホームでは、便秘のために自力で排便が困難な高齢者に、やむなく下剤を使っていたのですが、下剤を使うと下痢状態になってしまい、1日10回以上排便してしまいました。そこで、下剤と併用して1日に250グラムのヨーグルトを20日続けて食べてもらったところ、10人中6人は排便の回数が減り、そのうち2人は半減するという結果が出たそうです。さらに、普通の硬さまではいかないものの、全員、下痢が緩和されました。

 高齢者の便秘は深刻ですので、どうしても下剤に頼りがちです。しかし、ビフィズス菌や乳酸菌の生菌製剤などをもっと利用すれば、ご本人も介護者も、もっと快適でつらさの少ない毎日を送れるものと思います。

 高齢化社会のわが国では、便秘の課題は深刻です。下剤だけに頼るのではなく、ヨーグルトや生菌製剤などを利用して腸内環境の改善で、課題に立ち向かう必要があります。

 次回は「腸内細菌はどこから来るの」という話です。

辨野博士の本

  • 辨野先生の本
  • 「腸内細菌」が健康寿命を決める
    出版社:集英社インターナショナル

    著者の研究秘話とともに、腸内細菌に関する最新知識を解説。腸内細菌がいかに健康・美容と深くかかわっているのか、理想のウンチの作り方から研究の最前線まで、楽しみながら健康知識をウンと高められるオモシロウンチエッセイ!

  • 辨野義己
  • 辨野 義己(べんの・よしみ)

    一般財団法人辨野腸内フローラ研究所理事長 国立研究開発法人理化学研究所名誉研究員

    1948年、大阪生まれ。酪農学園大学獣医学科卒、東京農工大学大学院獣医学専攻をへて理化学研究所へ。同研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長、同研究所辨野特別研究室特別招聘研究員などを歴任して現職。半世紀にわたって腸内環境学・微生物分類学の研究に取り組んでいる。「『腸内細菌』が健康寿命を決める」(集英社インターナショナル)、「大便力」(朝日新聞出版)、「大便革命」(幻冬舎新書)、「長寿菌まで育てる最高の腸活」(宝島社)など著書多数。

  • この連載について / べんの博士のウンチ講座

    腸内にすてきな環境を作ることは、健康の第一歩です。ウンチ博士として知られる一般財団法人辨野腸内フローラ研究所理事長の辨野義己博士が、エキサイティングなウンチと腸の世界を紹介します。

関連記事

あわせて読みたい

おすすめ記事

PAGE TOP