<連載> べんの博士のウンチ講座

第7回 腸内細菌のバランスが崩れると、病気の危険性が高まります

いま知りたい! 腸活のための基礎知識 / 大腸と病気の深い関係

2022.04.15

 腸内細菌と健康は深く結びついています。ウンチに含まれる菌や有害物質、細菌毒素などを調べて、腸内細菌の機能を解明することは、病気予防や老化防止に役立ちます。腸内にすてきな環境を作ることは、健康の第一歩です。ウンチ博士として知られる一般財団法人辨野腸内フローラ研究所理事長の辨野義己博士が、エキサイティングなウンチと腸の世界を紹介します。

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べんの博士のウンチ講座

ヒトのおなかには1.5キロもの腸内細菌が

 20世紀初頭、腸内には大腸菌や腸球菌など数種類の細菌しか存在しないと思われていました。しかし、現在は「分子生物学的手法」つまりDNA解析によって、ウンチに含まれる細菌の種類を細かく識別することができるようになりました。その結果、ヒトの腸内には500~1000種類、数にすると乾燥したウンチ1g当たり、およそ1兆個の細菌がいることがわかっています。腸内にいる細菌の総重量は、1人あたりなんと1~1.5キロにもなります。

 わたしたちの体の中で、一番病気の種類が多いのはどの部分でしょうか?

 その答えは「大腸」です。

 意外に思われるかもしれませんが、病気の原因の多くは、腸内環境にあるのです。大腸と言えば、ウンチを作る臓器とお思いの方は多いのではないでしょうか。しかし、この大腸こそが、様々な病気の発信源なのです。食生活や生活環境、ストレスなど様々な原因で、腸内細菌のバランスが崩れるためです。

がん、肥満、アレルギーなども腸内細菌が関与?

 便秘や感染症、大腸がん、大腸ポリープなどさまざまな腸疾患のほか、認知症、肥満、メタボリックシンドローム、アレルギーとも深い関係があるという報告が増えています。多くの病気が大腸の関与なしには語れないほど、腸内細菌は重要な存在としてクローズアップされているのです。

 大腸がんのメカニズムの全容はわかっていませんが、高脂肪・高たんぱく質の食事を続けた結果、腸内環境が悪化して悪玉菌が増え、これらが発がん性物質を作り出したり、がん化を促す物質を作ったりして、大腸がん発生のリスクを高めると考えられています。

 いまや腸内細菌の研究は現代医療のトップランナーになっているのです。

 次回は食べ物と腸内環境の関係の話です。

辨野博士の本

  • 辨野先生の本
  • 「腸内細菌」が健康寿命を決める
    出版社:集英社インターナショナル

    著者の研究秘話とともに、腸内細菌に関する最新知識を解説。腸内細菌がいかに健康・美容と深くかかわっているのか、理想のウンチの作り方から研究の最前線まで、楽しみながら健康知識をウンと高められるオモシロウンチエッセイ!

  • 辨野義己
  • 辨野 義己(べんの・よしみ)

    一般財団法人辨野腸内フローラ研究所理事長 国立研究開発法人理化学研究所名誉研究員

    1948年、大阪生まれ。酪農学園大学獣医学科卒、東京農工大学大学院獣医学専攻をへて理化学研究所へ。同研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長、同研究所辨野特別研究室特別招聘研究員などを歴任して現職。半世紀にわたって腸内環境学・微生物分類学の研究に取り組んでいる。「『腸内細菌』が健康寿命を決める」(集英社インターナショナル)、「大便力」(朝日新聞出版)、「大便革命」(幻冬舎新書)、「長寿菌まで育てる最高の腸活」(宝島社)など著書多数。

  • この連載について / べんの博士のウンチ講座

    腸内にすてきな環境を作ることは、健康の第一歩です。ウンチ博士として知られる一般財団法人辨野腸内フローラ研究所理事長の辨野義己博士が、エキサイティングなウンチと腸の世界を紹介します。

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