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<連載> ひとことブックレビュー

中村哲さんの言葉を複雑化する現代社会への警鐘としてずっと心に刻んでおきたい

「哲さんの声が聞こえる 中村哲医師が見たアフガンの光」を読んで/連載・ひとことブックレビュー

2022.03.31

 読者会議メンバーからブックレビューを募る企画に、「哲さんの声が聞こえる 中村哲医師が見たアフガンの光」を読んだ感想が届きました。。アフガニスタンに生涯をかけた哲さんが凶弾にたおれて2年余り。読者のみなさんは、哲さんがのこした言葉を心に刻み、そして、励みにもされたようです。

  • 哲さんの声が聞こえる
  • 加藤登紀子(著)
    出版社:合同出版

     「アフガンから世界が見える」と言った中村哲さん。命がけで遺(のこ)したのは、今の地球が大きな異変にさらされていることへの警告でした。この未来を光へと導く生き方は何か、それをアフガンで探し続けたのです。激しい政局の混乱の中でも、目の前の人の命を救うことに邁進(まいしん)し、砂漠を自らの手で緑に変え、60万人もの人々を救ったのです。本書は哲さんと長年交流のあった加藤登紀子さんが、彼の遺した思いを皆さんと共にできたらと願ってつづりました。与えられた時間を素晴らしく生きたいと願うあなたに贈る一冊です。

深く考えさせられた「正義・不正義とは、明確な二分法で分けられるものではない」という言葉

 中村医師が個人的な葛藤を乗り越え、他人の命や苦しみを救おうとしてきた姿に深い感銘を受けました。本当に惜しい人をなくしたと思います。
 読後に深く考えさせられたのは、彼の残した言葉「正義・不正義とは、明確な二分法で分けられるものではない」です。これは、問題が起きた際にはとても大切な視点です。
 アフガンの今の状況だけでなく、紛争の多くが一方的な価値観をもって正義をかざしたことに由来するからです。かつての太平洋戦争もそうでした。米国との戦争を正義だとして「この戦争は正しい」としたところから始まったのですから。
 今の日本人は、相変わらず物事を深く考えない思考停止状態にあります。中村医師のこの言葉は、「正義か不正義かの判断だけでなく、すべてのことを多面的に捉え、よく考えて判断せよ。それでも白黒つけられないこともたくさんある」と言っているようで、複雑化する現代社会への警鐘としてずっと心に刻んでおきたいと思います。
(富山県 宝田順一さん 60代)

目の前の人を助けるためにできることは何か? と考えながら、まだまだ働きたい

 中村哲先生は、「アフガン人の・アフガン人による・アフガン人のための仕事」を鉄則に、命をかけてアフガニスタンで活動しました。農業は人の生命の源になることから、荒れた地に水路を建設し、開拓して、肥沃な土地に人が住めるようになりました。医師として、医療に向き合い、人を愛し続けたのに、殺されるとは残念でショックでした。
 私は、退職後、老人ホームで介護職として働いて9年になります。介護現場は職員の平均給与が全産業の平均より安いです。休みの問題や職場での人間関係などの理由でも、早くに退職する人がいます。
 介護職は、中村先生も言っているように、「目の前の人を助けるためにできることは何か? 」という仕事だと思っています。介護で苦しんでいる、介護職、利用者、家族に向き合いながら、介護職の地位向上に向けて、まだまだ働きます。
(茨城県 渡邊利彦さん 70代)

  • 加藤登紀子
  • 加藤 登紀子(かとう・ときこ)

    歌手・女優

    1943年生まれ。「ひとり寝の子守唄」「百万本のバラ」「知床旅情」などのヒット曲で知られる。女優として映画「居酒屋兆治」のほか、声優としてアニメ「紅の豚」にも出演。今後のコンサートは、5月22日(日)クアーズテック秦野カルチャーホール(秦野市文化会館、神奈川県)、6月5日(日)東ソーアリーナ(山形県)、6月18日(土) Bunkamuraオーチャードホール(東京都)で開催予定。

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