21世紀、遺伝子解析の手法を使い、腸内細菌の全容が明らかになりつつあります。それと同時に、健康分野での利用方法が広がる可能性があります。腸内にすてきな環境を作ることは、健康の第一歩です。ウンチ博士として知られる一般財団法人辨野腸内フローラ研究所理事長の辨野義己博士が、エキサイティングなウンチと腸の世界を紹介します。

病気関連データベースの構築に期待
DNAの塩基配列パターンを系統的に分類することで、腸内細菌の種類の違いなどがわかるようになってきました。その結果、人間の顔や指紋がそれぞれ違うように、一人ひとりの腸内細菌の構成も違うことがわかってきたのです。
腸内細菌のデータを集め、病気との関連を分析したデータベースを作ることに期待が寄せられています。腸内細菌の分析から、ある種の腸内細菌が多い人は、特定の病気、たとえば、「大腸がんになりやすい」とか、「この腸内フローラの人は健康だ」といったパターン化ができるのです。自分の腸内細菌を調べて、自分がどのような病気になりやすい腸内環境なのか、病気の進行具合はどうかなどの情報も知ることができるはずです。
さらに、毎年のデータを蓄積していけば、腸内環境がどのように変化しているか、変化した際の食生活やストレス、運動など、その時々のライフスタイルとの関係、健康・病気と腸内環境との関連などがわかるようになるでしょう。あなたの腸内細菌パターンから将来、健康が維持されていくのか、あるいは今の食事でいいのか、など様々な情報を得ることができるでしょう。
2010年~2017年に、全国から健康な日本人約2万人から大便の提供と生活特性アンケートに協力して頂き、それらを解析してみると、年齢差、性差、排便状況、地域差などにより、特有な腸内細菌の構成や食習慣、運動習慣、精神的・心理的な状態との関係が明らかになってきました。今後、この腸内環境データベースを駆使して、一人ひとりの健康管理について新しい提案が可能となるでしょう。
腸内細菌の解明が、健康のあり方を変える
最後に、腸はただ単に栄養や水分を吸収するだけの臓器ではなく、ヒトの健康に関して重要なカギを握る臓器です。「腸内細菌解析による健康管理法の確立・疾病予防」は、人々の健康に結びつく研究という意味では「知る」という科学の営みを超えた研究分野といえるでしょう。腸内細菌の構成と機能の解明は、新たな研究領域に拍車をかけ、人々の健康の有り様さえも変えうる力になる。それができるかどうか、今が分岐点にあるのです。
辨野博士の本
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「腸内細菌」が健康寿命を決める
著者の研究秘話とともに、腸内細菌に関する最新知識を解説。腸内細菌がいかに健康・美容と深くかかわっているのか、理想のウンチの作り方から研究の最前線まで、楽しみながら健康知識をウンと高められるオモシロウンチエッセイ!
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