専門家に聞いた「アンチエイジングとは」 目的と方法をわかりやすく簡単に説明

人生100年時代を生きるキーワード・アンチエイジング

2022.04.11

 

人生100年時代のキーワード・アンチエイジング

 「最近顔がくすんでみえる」「こんなに深いしわがあったかしら……」

 鏡をのぞき込んでちょっとブルーになってしまったことはありませんか。見た目だけでなく、以前は軽々とできていたことができなくなったり、動くのがおっくうに感じてしまったり、身体の変化が気になることもあるかもしれません。

 誰でも年をとれば、身体に変化が現れるものですが、一方でアンチエイジングという「老化を抑えること」を意味する言葉があります。

 今回は、アンチエイジングの正しい知識についてお伝えするだけでなく、簡単にとり入れられる方法もご紹介しますので、健康のためにもぜひとり組んでみてください。

<目次>

アンチエイジングとは

「アンチエイジング」を一言で言うと老化を抑えることです

 エイジング(aging)は「加齢」や「老化」というように年をとること、アンチ(anti)は「抵抗」を表しています。つまり、アンチエイジング(anti-aging)とは「抗加齢」「抗老化」を意味する言葉です。

 「アンチエイジング」には、老化を食い止めていつまでも若々しさを維持するという意味合いが含まれています。

アンチエイジングの分野

 「アンチエイジング」と聞くとどういった分野を思い浮かべますか?
 美容の世界においてよく耳にするアンチエイジングですが、実は、健康や医療の世界に大きな関わりがあるのです。

<健康・医療>
 生活習慣病のような身近な疾病は、加齢とともに発症リスクが高くなるといわれています。そのため、アンチエイジングによってこれらの病気にかかるリスクを減らし健康長寿を目指す「アンチエイジング医学(抗加齢医学)」が提唱されています。
 アンチエイジング医学は内科、外科、皮膚科、婦人科、眼科、歯科など各領域で注目されており、病気の治療ではなく「さらなる健康」へ導く積極的予防医学ともいわれています。

<美容>
 アンチエイジングという言葉は美容の世界でいち早く使われるようになりました。しみやしわなど「見た目のエイジングを遅らせたい」というように、できる限り若々しくありたいという多くの声から用いられるようになったのです。

アンチエイジングの目的は若々しさを保つこと

 若々しい姿を保つと聞くと美容面に目が行きがちですが、健康を維持するという側面も忘れてはなりません。老化現象を軽減させたり、遅らせたりすることが目的です。
 たとえば、アンチエイジングを心がけて病気やケガの予防に努めることは、寝たきりになることを防ぎ、いつまでも健康で若々しい姿を保つことになるのです。
 最近では、体形や行動を含め若くみえる人は実際に肉体年齢が若いということがわかってきました。見た目を若々しく保つことが健康寿命につながるという科学的なデータも発表されています。

アンチエイジングのやり方

 では、実際にアンチエイジングの方法はどのようなものがあるのでしょうか。ここでは健康面と美容面に分けて説明します。

健康面

 前述のとおり、アンチエイジングと健康は大きなつながりを持っています。毎日の生活にとり入れられる簡単な方法で、アンチエイジングを行いましょう。

<運動する>
 運動によって、「若返りホルモン」と呼ばれる成長ホルモンや「幸せホルモン」とされるセロトニンの分泌を促します。また、体脂肪を分解するアドレナリンやノンアドレナリンも分泌されるため、筋肉量の維持・増加にも役立ちます。

●有酸素運動
 酸素をとり入れ、脂肪を燃焼させる運動です。心肺機能の向上・脂肪燃焼・筋肉量のアップに役立ち、血液循環が良くなることで美肌効果も期待できます。
 有酸素運動の中でも、ウォーキングは日常にもとり入れやすく簡単に始めることができる方法の一つです。
 まず、1日20分、週2回を目安に始めてみましょう。20分もまとまった時間がとれない場合は、5分を4セットでも構いません。

●筋トレ
 筋肉量を増やすことで基礎代謝量があがり、太りにくくなります。また、成長ホルモンの分泌を促すので、肌の老化防止になります。
 筋トレといっても機械を使う難しいものではなく、自宅で簡単に行えるスクワットや腕立て伏せで十分です。

●ストレッチ
 ストレッチを行うと、こりが緩和され姿勢が悪くなることを防いでくれます。また、体がほぐれるためリラックス効果があるといわれています。
 就寝前や起床時にストレッチをとり入れるのがおすすめです。時間がとれないという方は、「姿勢よく早足で歩く」「階段を使う」など、日常生活での動作を意識するだけでもアンチエイジングの効果が期待できます。

<食べ方を意識する>
 運動と同じように食べることもアンチエイジングにはとても重要です。毎日の食事のとり方を少しだけ意識してみましょう。

●規則正しいタイミングで
 不規則だと激しい血糖値のアップダウンにつながるため、1日3回決まった時間に食べましょう。特に良くないのは、朝食を抜くことです。長く空腹の時間が続いてから食事をすると、血糖値が低い状態から一気に上昇し体調不良の要因となってしまいます。また、低血糖の時間が長く続くことで、脳が飢餓状態となり食欲のコントロールがしにくくなってしまいます。

●食べる順番に注意
 炭水化物をとると血糖値があがります。血糖値が急激にあがるのを防ぐため、①食物繊維(野菜やきのこなど)、②たんぱく質(肉や魚など)、③炭水化物(ごはんやパンなど)という順番で食べるようにしましょう。

●腹八分目
 脂肪や炭水化物、塩分をとりすぎると生活習慣病のリスクも高まります。1日に必要なエネルギーは、身体活動が低い成人の場合、女性は1400〜2000 kcal、男性は2000~2400 kcalが目安です。脂肪や炭水化物の摂取を少なめにし、腹八分目の食事を心がけましょう。

<食べ物を工夫する>
 アンチエイジングに欠かせない栄養素には、体内の抗酸化力を高める作用がある、ビタミンA・C・E、イソフラボン、アントシアニン、リコピンやアスタキサンチン、筋肉や健康的な肌などを生成するたんぱく質などがあげられます。これらを踏まえ、アンチエイジングのためにとり入れたい食べ物をいくつかご紹介します。偏りなく栄養素をとり入れ、バランスのよい食事を心がけましょう。

●スーパーフード
 健康や美容に気を配る人におなじみのスーパーフードには、ビタミンやミネラル類などさまざまな栄養が含まれています。
 チアシード、キヌア、アマランサス、ザクロなどは身近なスーパーなどでも比較的手に入りやすくなってきています。上手に食事にとり入れましょう。

●大豆イソフラボン
 枝豆や納豆、豆腐など大豆製品に含まれ、ビタミンEの働きで血行促進や抗酸化作用が期待できます。また、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きがあるため、肌や髪、爪の成長をサポートし、アンチエイジングを促してくれます。

●発酵食品
 みそ、ヨーグルト、漬物などといった発酵食品は、抗酸化作用をもち、免疫力を整える効果があります。このため、アンチエイジングには最適な食べ物だといわれています。

<代謝を高める>
 若々しい体を保つために、代謝を高める方法がいくつかあります。そのひとつが「お風呂」です。
 加齢による不調の要因として、基礎代謝量や血流量の低下があると考えられています。また、美肌を保つには新陳代謝が欠かせず、そのためには血流を促進させることが大切です。
 お風呂に入ると温熱効果と浮力効果で血流促進につながります。
 なお、入浴効果を高めるためには、少しぬるめのお湯(目安は夏:39℃、冬:40℃)に20分程度つかることをおすすめします。

<十分な水分をとる>
 アンチエイジングにおいて忘れられがちなのが水分補給です。体内の水分は加齢によって減少し、老化の原因につながるといわれています。
 十分な水分量を保つよう、意識的に水分をとるように心がけましょう。

<睡眠の質を上げる>
 睡眠中は、アンチエイジングに必要な成長ホルモンが多く分泌されます。成長ホルモンは、肌の古い細胞から新しい細胞へと生まれ変わらせるためのターンオーバーを促してくれるのです。
 また、睡眠不足が続くと生活習慣病のリスクにもつながります。
 普段から上質な睡眠がとれるように、日中はしっかり日光に当たったり、就寝前のPCやスマホの見過ぎに注意したりといった生活を心がけましょう。

美容面

 美容と聞くと女性に向けたものなのかと思いがちですが、男性にとっても大切なことです。前述のとおり、見た目が若い人はそうでない人に比べ健康で長寿であるという研究結果もあります。
 肌は化粧品で「若返らせる」ということは不可能といわれています。しかし、スキンケアで「今の状態をキープ」することは可能です。どのような方法で肌の状態を保つことができるのか、アンチエイジングに効果的なスキンケア方法をご紹介します。

<スキンケアの方法>
 日々のスキンケアは大切ですが、力を入れすぎたりこすったりと肌に無用な刺激を与えないよう注意してください。肌にダメージが残ってしまいますので、やさしく行いましょう。

●紫外線対策をする
 しみやしわを引き起こすとされる紫外線の対策は、夏だけでなく一年中ケアすることが重要です。日常的に日焼け止めを使用して対策を行ってください。また、日傘や帽子を組み合わせることもおすすめです。

●保湿する
 保湿は、健康的な状態を維持するために欠かせないケアです。化粧水を使用するときは、大切に中に浸透させていくように心がけましょう。肌をこすったり、コットンや手で強くパッティングしたりするやり方は、肌の表面を傷つけてしまうかもしれませんので避けた方がよいでしょう。

●マッサージをする
 顔の血行が悪くなり老廃物が肌にたまることで、くすんでみえることがあります。また、目の周りは皮膚が薄く、血行が悪くなるとくまが出てしまうことがあります。目の周りをじんわりと温めて筋肉をゆるめてあげると血行がよくなります。さらに、マッサージをすることで老廃物が流れてすっきりするので併せて行うとよりおすすめです。

●頭皮ケアをする
 顔の皮膚とつながっている頭皮は、血行不良や代謝不足になると顔のたるみや目の下のくまにも影響を及ぼすことがあります。血流が滞りやすい頭皮のマッサージを毎日続けることで老化の進行を食い止めましょう。

人生100年時代のキーワード
  • ・手順① リラックスして呼吸を整える
  • ・手順② 頭の両サイドをほぐす
     小指を左右のこめかみにあて、5本の指で耳の上を強く押しながら指の位置はそのままで頭皮を動かすように円を描きながらマッサージします。
  • ・手順③ 頭頂部をマッサージ
     親指を左右のこめかみにあて、残りの指の腹を使って圧を加えて生え際から後頭部へ滑らすようにマッサージします。
  • ・手順④ リフトアップする
     両耳の前に親指を当て、そのほかの指を側頭部に置きます。その状態から親指を耳の上の方へ動かしていくと、少しくぼんだ部分があります。ここをやや強めに押し、指を押し当てたまま斜め上に持ち上げるようにマッサージします。これを2、3回繰り返します。
  • ・手順⑤ 後頭部をほぐす
     うなじに親指を置き、そのほかの指の腹で生え際から圧をかけて頭頂部まで移動させながらマッサージします。その後、首の後ろにある天柱や風池というツボを親指で刺激します。
人生100年時代のキーワード アンチエイジング

笑うことがアンチエイジングに

 アンチエイジングでは、「心」も老化を左右するということを知っておいた方がよいでしょう。健康や美容に気をつけることも重要ですが、ネガティブな思考やストレスで、口角が下がって老け顔になったり老化の元となる活性酸素を増やしたりと老化につながってしまうこともあります。
 ポジティブシンキングすることは、自信をもたらしストレスを緩和し、アンチエイジングに効果があるといわれています。たとえば、口角を上げ笑顔の表情をつくるだけでも、表情筋を通じて脳が刺激され「楽しい」「幸せ」というポジティブな気持ちになります。
 何かつらいことがあり落ち込んでいたとしても、ポジティブにとらえ気持ちを切り替えて笑顔で過ごし、老化の予防につなげましょう。

アンチエイジングでいつまでも健康な暮らしを

 「老いとは、あらがうものではなく受け入れるものであり、どう付き合っていくかを考えるものだ。」とアンチエイジングを否定する見方もあります。しかし、年齢を重ねると身体の機能は確実に衰え、日常生活を送ることさえままならなくなることもあります。そうなると、「老いと付き合う」と考える余裕すら持てなくなってしまう。そんな意見もあるのです。
 まだ老いる前から、若々しい心と体を維持するように努めることは、将来の自分にとって大切なことだと思います。
 アンチエイジングに必要なことは、日々の簡単な心がけがほとんどです。できることから生活の中にとり入れ、笑顔で健康長寿を目指しましょう。

(取材・文 原幸代)

監修:塩谷信幸

  • 塩谷信幸
  • 塩谷 信幸(しおや・のぶゆき)

    北里大学名誉教授 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長

    1931年東京生まれ。東大医学部卒。56年フルブライト留学生として渡米。ニューヨーク州立大オルバニー校で外科、形成外科の専門医資格を取得。帰国後は東大形成外科を経て、73年北里大形成外科教授。日本抗加齢医学会顧問。退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事。

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