【専門家が監修】筋トレでアンチエイジング 若さと美しさを保つには

人生100年時代を生きるキーワード・筋トレでアンチエイジング

2022.04.11
人生100年時代のキーワード・筋トレ

 以前は、何の問題もなく駆け上がれた駅の階段。いつの間にか「しんどいな。」と感じるようになって、近ごろでは「次の電車でもいいか…。」と駆け上がることすら諦めてしまう。いつまでも若々しく元気に過ごしたいとは、誰もが望むことですが、なにもせずに過ごしていると身体はどんどん動かなくなってしまいます。
 一方で、筋トレには「老化を食い止める効果」があることがわかっています。そこで今回は、アンチエイジングに特化したおすすめのトレーニング方法をご紹介します。いずれも家で簡単にできるものですので、気軽に始めてみてください。

<目次>

筋トレとアンチエイジングの深い関係

 筋トレとアンチエイジングは切り離せないほどお互いに作用しているといえます。まず、アンチエイジングと筋トレについて簡単に説明します。

アンチエイジングとは

 アンチエイジングを一言で表すと、「老化を食い止めるための行為」の総称です。加齢や老化に対抗するという意味があります。
 しみやしわの予防など美容面だけでなく、若々しく長生きするという健康・医療の側面からも注目されています。

筋トレの必要性

 筋肉は体を動かすために不可欠なものです。さらに、「外部の衝撃から鎧(よろい)のように内臓や骨を守る」「体温を維持する」「エネルギーを消費する」「血液の循環を助ける」といった重要な役割もあります。
 しかし、なにもせずに放置すると筋肉量はどんどん減少していきます。運動をしない人であれば、20代をピークに減りはじめ、40代以降は10年ごとに約10%というスピードで減っていきます。筋肉量の減少は今や全年代で危惧される問題。筋肉が減少すると、立ちあがって歩くといった日常動作にも支障をきたすおそれがあります。
 また、若々しく美しい姿勢や引き締まったボディーラインを維持するためにも筋肉が不可欠。筋肉量が減少し基礎代謝が減ってしまうと、消費するカロリーが少なくなるため、痩せにくく太りやすい身体になってしまいます。
 筋肉量は「指輪っかテスト」で手軽にチェックすることができます。筋トレをすることで、筋肉量の減少を食い止め、若々しい身体と健康を維持していきましょう。

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筋トレによるアンチエイジング効果

 筋トレがどのようにアンチエイジング効果をもたらしてくれるのかを説明します。

<血流が良くなる>
 下半身の筋肉量が増えると、血流が良くなります。肌や髪など全身の細胞の再生には、栄養がしっかりと体の隅々にまで行き届くことが重要です。この栄養は、毛細血管を通って運ばれるため、毛細血管が多く血流が良いほど肌や髪などのアンチエイジング効果が高くなります。

<活性酸素への適応能力があがる>
 免疫機能や感染防御の役割を担う活性酸素。これがストレス、飲酒、喫煙、紫外線などにより増えすぎると、体の中のあらゆるものを酸化させてさび付かせ、老化の原因になってしまいます。しかし運動により、抗酸化酵素など活性酸素を除去する機能が活性化されます。そのため、適度な運動を継続することで、活性酸素を除去する能力があがることが期待できます。

<脳の活性化>
 筋トレをして身体を動かすときは、脳が身体へ「動かしなさい」という指令を伝達しています。そのため、筋トレは必然的に脳の活動を活性化させる役割があります。
 さらに、脳の血管を新しく作ったり、脳の神経細胞を増やしたり、といった効果が期待できるほか、神経細胞が生きていく上で栄養になり、成長や修復などを促すとされるたんぱく質・BDNFを増加させるため、長期的に継続することで脳の認知機能の維持にも役立つといわれています。

<美しい姿勢を保つ>
 姿勢が美しい人は、いつまでも若々しくみえるものです。美しい姿勢は、背中やおなか、お尻などにある「抗重力筋」がバランス良く働くことで保たれています。

アンチエイジングにつながる筋トレメニュー

 では効果的な筋トレの方法をご紹介します。体の約70%の筋肉が集まっている下半身を鍛えるのがおすすめです。筋トレを継続するためには、繰り返し行って「少しきつい」と感じるくらいのレベルにするのがポイントです。無理にやり続けるのではなく、ご自身のちょうどいい「きつさ」で行うようにしてください。

筋トレ方法

 下半身の筋トレメニューを中心に、そのやり方やポイントを紹介します。すべてを一度にやる必要はありませんので、ご自身のレベルに合わせ、可能な範囲で行ってください。

<スクワット>

スクワット

  • ①足を肩幅に開き、おなかに力を入れ、つま先は30度くらいに開きます
  • ②足裏の真ん中に重心を持ってきます
  • ③椅子に座り込むイメージでゆっくりしゃがみます
  • ④太ももが地面と平行になったらゆっくり立ちあがります
  • [ポイント]
    負荷を感じながら、ゆっくりと動作を行うことがポイント。10回×3セットを目安に行いましょう。難しいようであれば1日5回から始めてみましょう。

<つま先立ち>

人生100年時代のキーワード

  • ①椅子につかまります
  • ②親指のつけ根に体重を乗せ、ゆっくりとかかとを上げ、ゆっくり下ろします
  • [ポイント]
    最後に力を抜き切らずに1秒止めてみましょう。筋肉に負荷が加わることで成長ホルモンの分泌を促し、効果的なトレーニングになります。

<レッグエクステンション>

人生100年時代のキーワード

  • ①椅子に浅く座って座面を持ち、脚をそろえます
  • ②腹筋でバランスをとりながら、両ひざを胸に近づけます
  • ③足が床につかないよう注意しながら、脚をそろえたままゆっくりと伸ばします
  • [ポイント]
    背筋を伸ばし、息を止めずにゆっくり呼吸しながら行いましょう。また、つらい場合は両脚でなく片脚ずつでも構いません。

<腕立て伏せ>

人生100年時代のキーワード

  • ①うつぶせになり肩幅よりも少し大きめに手を開きます
  • ②頭から足まで一直線になっていることをイメージして体を床から押し離します
     (初心者の方は床にひざをついた状態で行いましょう)
  • ③肘(ひじ)が開きすぎないように注意しながら体をゆっくりおろします
  • ④胸が地面に着くくらいまでおりたら、②から繰り返します
  • [ポイント]
    フォームは、肘が開き過ぎ・閉じ過ぎないようにしましょう。

アンチエイジングに効果的な筋トレ以外の運動

 アンチエイジングの効果は有酸素運動やストレッチでも引き出すことができます。

・有酸素運動
 ジョギングやウォーキング、サイクリングや水泳などといった有酸素運動には、脂肪燃焼の効果や脳の働きを活発にする効果があります。生活習慣病の改善にも有効と言われています。

・ストレッチ
 筋肉をほぐし、こりの緩和になり血流が良くなります。姿勢の改善にもつながります。

 筋トレも有酸素運動も「運動」の一種ですが、筋肉が減ると有酸素運動での脂肪燃焼に必要な基礎代謝も減ってしまいます。筋トレをしない普通の生活では、年齢を重ねるごとに筋肉の量は減っていきます。そのため、より高いアンチエイジング効果を期待するのであれば、筋トレと有酸素運動を組み合わせることをおすすめします。

運動が苦手な人はウォーキングから

 運動自体が苦手で抵抗がある方は、手軽なウォーキングから始めてみてはいかがでしょうか。アンチエイジングの効果を期待するなら1日20分を目安にしてみてください。
 なお、効果は食前でも食後でも変わりません。ご自身がやりやすいタイミングで始めてみてください。

アンチエイジングのための筋トレで注意すること

 ここまでは、筋トレの良い面をご紹介してきましたが、やみくもに筋トレをすればよいというわけではありません。ここでは、筋トレを行う上で注意しなければならないことを説明します。

3食しっかり食べる

 筋トレの効果を上げるには食事のとり方も大切です。朝は睡眠中に消費されたエネルギーや栄養素を補給しようとするため、食事を抜いてしまうと逆に間食の回数が増えて栄養の偏った食生活になってしまいます。また、朝食を抜くとたんぱく質不足の時間が続くことで筋肉の分解が始まってしまいます。そのため、毎日決まったタイミングで3食きちんと食べるようにしましょう。

たんぱく質を適切な量でとる

 たんぱく質は筋肉の維持に必要で、筋トレで効率良く筋肉を増やすためには欠かせない栄養素です。
 1日に必要なたんぱく質の量は成人の場合体重1キロあたり0.9g(高齢者の場合1.06g)が目安で、たとえば体重60キロの人は54g(高齢者の場合63.6g)ということになります。しかし、食べ物に含まれるたんぱく質の量は牛もも肉100gで21.2g、牛乳コップ1杯(200ml)で6.8gと、1食で摂取するのはほぼ不可能です。
 また、一度にまとめてとるよりも、1食当たり20gを目安に3食すべてでとったほうが、筋肉量が多くなることもわかってきました。そのため、十分な量を毎食摂取できるよう、意識することが大切です。

 たんぱく質は筋肉の合成を高める働きがありますが、筋トレをした後24~48時間の間に摂取することでより効果が見込めます。そのため、筋トレをしていない日であってもしっかりたんぱく質を摂取することは重要です。
 食事で足りない分を、プロテインで補うこともできます。食事で摂取することが理想ですが、プロテインであればパウダーやドリンクなどで簡単に摂取できますので、食事だけでは難しい場合におすすめです。

 なお、たんぱく質の過度な摂取は腎臓に負担をかけてしまうおそれもあります。自分に必要な摂取量を確認しておきましょう。

無理のない筋トレで効率良くアンチエイジングを

 筋トレをすることはアンチエイジングにおいてとても大切です。特に、年齢を重ねるごとにその重要性は高くなります。最近では、筋肉量が増えることで顔の印象が若くなることもわかってきました。
 筋トレは週1回でも効果が得られますが、週2~3回実施できればより高い効果が期待できます。たんぱく質の摂取や3食しっかり食べるなど食生活にも気を配りながら、無理をせず、自分にあった筋トレでアンチエイジングの効果を高めていきましょう。

(取材・文 原幸代)

監修:藤田聡

  • 藤田聡
  • 藤田 聡(ふじた・さとし)

    立命館大学 スポーツ健康科学部 教授

    博士(運動生理学)。2002年南カリフォルニア大学大学院博士号修了。2006年テキサス大学医学部内科講師、2007年東京大学大学院新領域創成科学研究科特任助教を経て、2009年より立命館大学。米国生理学会(APS)や米国栄養学会(ASN)より学会賞を受賞。専門は運動生理学、特に運動や栄養摂取による骨格筋の代謝応答。監修本に『タンパク質まるわかりBOOK』、共著に『体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学』など。

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