<連載> ワクチン接種Q&A

ワクチン接種4回目、なぜ必要? 効果は? 海外での使用実績は?

疑問・質問「コロナとワクチン」(21)4回目のワクチン<上>

2022.05.18

 新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種が早ければ2022年5月下旬にも始まる予定です。まだ3回目の接種が終わっていない人も少なくないのになぜ4回目が必要なのか。接種の対象となる人は。予想される効果や副反応、海外での実例は。Q&Aにまとめました。

 【連載「ワクチン接種Q&A」】記事一覧はこちら
 【連載「ワクチンを知ろう」】記事一覧はこちら

ワクチン4回目サムネイル画像

【質問一覧 ワクチン4回目接種とは・上】

  • Q.6:4回目接種の副反応はどの程度ですか?
  • Q.7:海外での4回目接種の実施状況は?
  • Q.8:対象を60歳以上などに限定したのはなぜ?
  • Q.9:対象外の人は打てないのですか?
  • Q.10:3回目接種完了の人は国内でどれぐらい?
  • Q.11:4回目以降もワクチンを打ち続けるの?

Q.1:4回目接種はいつから? 対象者は?

3回目接種から5カ月以上経過の60歳以上が対象

A:早ければ5月下旬にも始まる予定です。対象となるのは、3回目の接種から5カ月以上経過した60歳以上の人や、60歳未満で慢性の呼吸器の病気など基礎疾患がある人、高度に肥満の人ら重症化リスクのある人です。重症化リスクがあっても18歳未満は当面、対象外です。

 4回目の接種は早ければ5月下旬に始まります。3回目の接種は2021年12月に始まりましたので、早い時期に3回目接種を受けた4回目接種の対象者が、3回目から5カ月経過した時点で打てるようにするためだと考えられます。

新型コロナ年代別死亡者数

 対象となるのは、感染した場合に重症化するリスクの高い人です。筆頭に上げられたのは60歳以上の人です。高齢化に伴って死亡リスクが高まることがわかっています。感染していると診断された人のうち、50歳代までの死亡率は0~0.1%ですが、60代になると0.6%に上がり、70代は2.3%、80代以上は6.7%になります。

新型コロナ年代別死亡率

 また、60歳未満でも、感染した場合に重症化するリスクの高い18歳以上の人は4回目接種の対象となります。具体的には、肺や心臓、肝臓、腎臓などに慢性的な病気のある人や、抗がん剤治療などで免疫の低下している人ら基礎疾患のある人たちや、BMI30以上の肥満の人です。

60歳未満の4回目接種対象リスト

【質問一覧へ戻る】

Q.2:どこで、どのように受ければいいの?

接種は原則、住民票のある自治体の会場やクリニックで

A: 3回目までと同様、原則的に、住民票のある自治体の接種会場や接種をしているクリニックなどで打ちます。60歳以上の人には自治体から接種券が送られてきます。60歳未満の対象者については、自治体に接種券を自分で請求する、接種会場で接種券を発行するなど、複数の方法が検討されています。
 60歳未満の対象者の接種の受けやすさを考え、自治体によっては、対象外の人も含めて60歳未満で3回目接種を終えた人に一律に接種券を送るところもありそうです。60歳未満の対象者の接種法方は自治体によって異なる可能性がありますので、居住地の自治体のホームページを見たり、問い合わせたりして確かめて下さい。

4回目接種券の配布イメージ

【質問一覧へ戻る】

Q.3:なぜ4回目接種が必要なの?

低下する発症予防効果を再度、回復させるため

A: 海外のデータから、3回目接種から時間が経つと、症状が出るのを防ぐ発症予防効果が低下することがわかってきたからです。入院など重症化を防ぐ効果は、発症予防効果ほどは大きく下がっていませんが、厚生労働省は、欧米などでも一部の人を対象に4回目の接種が始まっていることなどから、重症化リスクの高い人は4回目を接種した方がいいと判断し、専門家で構成する同省のワクチン分科会も了承しました。

 英国健康安全保障庁によると、最初の2回にファイザー社製かアストラゼネカ社製ワクチンを打ち、3回目にファイザー社製かモデルナ社製を打った人の場合、3回目接種の直後にはオミクロン株に対する発症予防効果が60~75%になりますが、3回目接種から20週間以上経つと、発症予防効果はほぼゼロになりました。最初の2回にモデルナ社製を打ち、3回目に同社製かファイザー社製を打った人の場合、3回目接種直後には60~70%あった発症予防効果は、3回目接種から15~19週間経つと50%前後に低下しました。

ワクチン発症予防効果の推移1
ワクチン発症予防効果の推移2

 一方、入院が必要になるほど重症化するのを防ぐ、あるいは死亡するのを防ぐ効果は、3回目接種から時間が経っても、発症予防効果ほどは大きく低下しないようです。とくに、重症化のリスクが高い、年齢の高いグループでその傾向が顕著でした。

 英国健康安全保障庁によると、65歳以上の人が急性呼吸器疾患の症状があって病院に搬送され、2日以上入院するのを防ぐ効果は、オミクロン株に対しても、3回目接種から105日以上経っても85.3%ありました。また、入院して酸素投与を受けたり、人工呼吸器の治療や、集中治療室での治療が必要になったりするほど重症化するのを防ぐ効果は105日以上経った後でも86.8%ありました。

オミクロン株へのワクチン有効性・65歳以上

 一方、同様の効果は、18~64歳の人では、それぞれ67.4%と75.9%でした。これは、64歳以下の人たちはもともと重症化リスクが65歳以上の人よりも低いため、ワクチンの効果が低く出るからです。

オミクロン株へのワクチン有効性・64歳以下

 また、死亡を防ぐ効果は、50歳以上の人では、3回目の接種から10週間以上経った後でも87.6%でした。英国健康安全保障庁は、このデータには、新型コロナウイルス以外で死亡した人で、後から感染が判明した人も含まれているため、実際の効果よりも低い数字が出ている可能性があるとしています。

【質問一覧へ戻る】

Q.4:4回目接種の効果はどれぐらい?

イスラエルでは4回目接種で重症化防止効果3~4倍に

A:世界に先駆けて4回目接種を始めたイスラエルからの報告によると、60歳以上の4回目の接種をした人は、オミクロン株に対して、4回目接種から36~42日後では、3回接種の人に比べて重症化防止効果は4倍以上高いと推計されました。4回目接種から2カ月経っても、重症化防止効果は3回接種の人の3倍あるという報告もあります。一方、感染を防ぐ効果は4回目接種直後には2倍あったのが、50~56日経過するとほとんど差が無くなりました。50代以下の基礎疾患のある人に対する効果についてはデータがほとんどありません。

 イスラエルは世界に先駆けて3回目接種や4回目接種を始めました。政府の保健省や健康保険を担う保健組織が感染者の詳細なデータを集積していることもあり、ワクチンの3回目接種や4回目接種の効果について、イスラエルの研究チームから複数の報告が出ています。

 ワイツマン科学研究所などの研究チームが米医学誌「ジャーナル・オブ・ニュー・イングランド・メディシン」で発表した論文によると、イスラエル保健省のデータベースに登録されている約125万人の60歳以上の人を調べたところ、4回目の接種36~42日後の人は、3回接種の人と比較して、オミクロン株に対し、重症化を防ぐ効果が4.3倍高いと推計されました。厚労省の計算では、これは重症化予防効果約77%に相当するそうです。

 一方、感染を防ぐ効果は、4回目接種から22~28日後には3回目接種の人人の2倍の約50%あったのが、50~56日目には3回目接種の人の1.1倍と、約9%に低下していました。

ワクチン4回目接種の予防効果の推移

 同じ研究チームによる、専門家による評価の終わっていない論文によると、イスラエル保健省のデータベースに登録されている60歳以上の約118万人を調べたところ、4回目接種から2カ月目までの重症化リスクは、3回接種の人の3分の1以下でした。

4回目接種の重症化リスクなど

 高齢者の4回目接種の効果についてはこういったイスラエルからの報告がありますが、50代以下の基礎疾患のある人についてはまだデータがありません。ただし、免疫の低下する薬を飲んでいるなど、ワクチンを打っても体内で免疫反応が起きにくく、効果がなかなか出にくい免疫不全状態にある人は、追加接種により多少、ワクチンの効果が上がると期待されており、世界的に追加接種が推奨されています。

【質問一覧へ戻る】  

Q.5:どのワクチンを接種? 交互接種は?

ファイザー製かモデルナ製を接種、交互接種も可能

A: 4回目接種に使われるワクチンは当面、ファイザー社製とモデルナ社製です。3回目接種までとは異なるワクチンを打つ「交互接種」も可能とされています。

 欧米やイスラエルなどでは、3回目接種は、より効果の高いとされるm(メッセンジャー)RNAワクチンが望ましいとされています。4回目接種についても、欧米では、アレルギーがあるなど特殊な場合を除いては、mRNAワクチンを推奨している国が多いです。国内で承認されているmRNAワクチンは、ファイザー社製とモデルナ社製です。厚労省は海外の動向を参照し、4回目接種には当面、ファイザー社製かモデルナ社製のワクチンを使うとしています。

【質問一覧へ戻る】

 新型コロナウイルスやコロナワクチンに関するReライフ読者会議:メンバーの疑問や質問に、新型コロナ関連の著書がある科学医療ジャーナリストの大岩ゆりさんが、専門家・研究者らに取材・解説します。

※Reライフプロジェクトでは、読者会議メンバーの皆さんを対象に「ポストコロナ(コロナ後)」の健康管理に関するアンケートを実施中です。ぜひ、ご参加ください。
「ポストコロナ」の健康管理、どうする? 何に気をつけたいですか?

<関連記事>

  • 大岩 ゆり
  • 大岩 ゆり(おおいわ・ゆり)

    科学医療ジャーナリスト・翻訳家

    朝日新聞社科学医療部専門記者(医療担当)などとして医療と生命科学を中心に取材・執筆し、2020年4月からフリーランスに。同社在籍中には英オックスフォード大学客員研究員や京都大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師を兼任。主な著書に『最後の砦となれ~新型コロナから災害医療へ』、主な訳書にエリック・カンデル著『芸術・無意識・脳』(共訳)がある。

  • この連載について / ワクチン接種Q&A

    高齢者を対象にした新型コロナワクチンの優先接種が始まりました。感染・重症化予防の有効性は? 副反応・アナフィラキシーへの対処の仕方は? 今後のスケジュールは? 読者の疑問・質問に答えます。

関連記事

あわせて読みたい

おすすめ記事

PAGE TOP