【読者会議】「知りません」とは言えなくて

<Reライフアンケート>知ったかぶりをしたことはありますか?

2022.06.05

 知ったかぶりをした思い出はありますか。会話の流れを止めたくなかったから。バレて冷や汗をかいた……。一方、「しない」という人も。多くの体験談が寄せられました。

上司につられ 和気あいあい

 20年ほど前の昼下がり。東京都内のあるオフィスで、カラオケ好きの陽気な上司は、その日もいつものように鼻歌まじりで仕事をしていた。
 よく聞くと、歌詞も口ずさんでいる。
 「あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ…」
 すると、そばにいた若手社員が「ちょっとメロディー違いますよ」とツッコミを入れた。上司の「何かを信じてこれたかなぁ…」が少し違うようだった。
 上司は「じゃ、こうかな? 」と再び口ずさんだが、また「ちょっと違います」とダメ出し。
 でも、どこかうれしそうな上司は、「あ、そう? 」とまた歌い出すも、「まだ違います」。
 「じゃ、こんなかな? 」と何度も口ずさむが、そのたびに若手社員からは「違います」。
 そのうち、他の社員もひとり、ふたりと、仕事を止めて、上司の机の周りに集まり始めた。
 歌ってはツッコミが入る。2人の掛け合いに、周りの社員も面白がって、「なんか違うよね」と、気づけば笑いの渦ができていた。

部長のプレート
オフィスで管理職の机を示すプレート=東京都内(記事の内容とは関係ありません)

 あれから、およそ20年。
 「ごめんなさい、実は、私が知ったかぶりでした」
 そう話すのは、後から上司を囲んだ社員の一人、埼玉県の小島英樹さん(66)だ。
 当時は上司の近くで首をかしげながら、同僚たちと「うん。なんか違うよね」と笑っていた。
 しかし実は、「夜空ノムコウ」も、SMAPのことも知らなかった。後日、偶然見たテレビの歌番組で、ようやく上司の歌と一致したほどだ。
 あのときは何の曲かを尋ねることもなく「つい面白そうで。和気あいあいとした同僚の輪に私も入りたかっただけでした」。
 ただ、ついつい知ったかぶりをしても、それが具体的に何だったのかは忘れがちだ。
 記者が「何で20年も覚えていたんですか」と聞くと、小島さんは「いつもニコニコ笑顔で、上から目線で物を言わない人でした」と、上司の人となりから教えてくれた。
 「もしかしたら上司もあえてそうしていたのかもしれない」と思いをはせつつ、「明るい職場の雰囲気を作ってくれたのが印象に残っていた。私がその後に管理職になったとき、思い浮かべたのはこの上司の姿だったんです」。
 その上司のように「歌を口ずさむことはありませんでしたが」、小島さん自身も「上司だからといって権威的には振る舞わず」、ほかの社員の話をまずは受け止めてから提案してみるなど、「一人ひとりの持ち味を大事にできる職場の雰囲気や人間関係づくりを心がけました」。
 コロナ禍もあり、今は「目の前の効率ばかりが優先されてしまったりする空気」も社会で感じることがあるという。
 かつての職場での「夜空ノムコウ」の思い出は、「もしかしたら仕事とは関係の無い無駄な時間だったかもしれない」。
 「でも、実はああいう時間も職場の雰囲気には大切だったんじゃないか、そういうことを大事にされる上司だったんじゃないかと今になって思うんです」

(滝沢卓)

読者会議アンケート)知ったかぶりをしたことはありますか?

正解話すお坊さんの横で

 仏像鑑賞が趣味。春に妻と京都のお寺を訪れ、目の前にある仏像のことを妻に説明したら、別の人を案内していたお坊さんが横で、私の説明とは違う、おそらく正解の内容を話し始めました。妻も聞こえていたはずですが、一言も言わず。私は内心、「やらかした。私の説明は違う仏像のことだった」と冷や汗。妻より唯一詳しいことがあえなくついえましたが、不確かなことはいけない、という仏のご慈悲と感じました。
(福岡県 本村秀男さん 71歳)

聞こえにくいマスク越し

 自分の周りが「そうなのよねえ」「うんうん」と言っていると、「知らないのは私だけ? 」と思って、つい知ったかぶりをしてしまいます。親しい間柄なら「それって何のこと? 」と聞けるかもしれないけど、会話に水を差したくないからなのか、年齢相応の知識は持っていたいと思うからなのか、実際は取り繕ってしまって難しい。コロナ禍のマスク生活で相手の話が聞き取りづらく、そのまま流してしまうこともあります。
(東京都 女性 69歳)

信じた夫は職場で赤っ恥

 サッカーJリーグの鹿島アントラーズの前身は住友金属工業蹴球団。しかしあまり詳しくなく、Jリーグ発足当初、夫との会話で別の企業が前身だと言ってしまい、それを信じた夫は職場で赤っ恥。夫から「確認して言ってよ」と言われ、恥ずかしさのあまり謝らずに「そっちこそ」と返したら、くだらない夫婦げんかになりました。鹿島の名選手だったアルシンド選手の活躍を見るたびに思い出し、少し心がチクチクしました。
(千葉県 女性 50代)

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