なぜあんなに腹が立ったのだろう。親のささいなことが気にさわったあの頃。親になれば子どもの視線も気になる。親子の機微にとどまらない反抗期について、エピソードが寄せられました。
すぐキレる父 避けてきたが
元格闘家の父とは、ほとんど口もきかなかった。まず臭いがダメ。父が使ったタオルは、たとえ洗濯済みでも嫌な臭いがした。汗くさいというわけでもなく、加齢臭なのか、何ともいえない独特の臭いだった……。
山梨県の40代女性は、中学、高校生の頃を振り返ると、父を避けていた記憶しかないという。
小学生の頃、おそらく高学年だったか。庭でヒマワリの鉢植えに支柱を立てていると、ヒマワリの茎と支柱を結ぶリボンの輪が大きかったのを、父が見とがめた。「なんだこれは」とげんこつで頭をゴツン。こんなことで殴るの? と理不尽さを感じた。
ちょっとしたことですぐキレる父。原因は記憶にないがレンゲを投げつけられたこともある。
とりわけ嫌だったのは、すぐに大声で怒鳴ること。母に怒鳴るのを見るのはつらかった。元格闘家だからか、手を出したことはない。そこは自制していたようだが、その分、よく怒鳴った。
理不尽さが積み重なり、できるだけ父と顔を合わせないように自分の部屋にこもるようになった。
女性は「父の存在自体が許せませんでした」と話す。
大学進学を機に家を離れた。そのまま就職し、結婚。離れてみるとなぜか父のことが気にならなくなった。帰省しても父と話せた。
だが離婚し、十数年前に長男を連れて家に戻ると、また関係はぎくしゃくした。
実家で再び同居しなかったら、父とはうまくやっていたと思う。反抗期がぶり返した気分だ。
母の日はプレゼントをするが、父の日はなし。誕生日の贈り物は、直接渡すのが嫌なので、高校生の長男に持っていってもらう。
自分も親になったいま、その長男が気がかりだ。自分はこんなに反抗的なのに、長男は一向に反抗してこないのだ。
陸上に打ち込み、頭のいい優しい子。反抗期がないのもかえって不安で、複雑な心境だ。
子が親から独立するには反抗期が必要かもしれない。長男には、自分で人生を切り開けるようになってほしい。
思えば、家族だから支えてもらって当たり前、との考えが無意識にあり、父はそれが気に入らないのかも。父は大学進学を経済的に支えてくれた。母が体調を崩したときは父が支えた。尊敬できる時もある。それも反抗期を経たからなのか。反抗期は「私にとって必要だった」と思う。
(井上充昌)

大学生で「でき婚」を決行
一番の反抗は、大学生のときに「できちゃった婚」を決行したこと。いまで言う授かり婚だが、三十数年前はメジャーではなかったし、田舎だったので親にずいぶん心配と苦労をかけた。でも、最初に授かった子はどんな状況でも産もうと思っていた。父は臨月近くになっても出産を懸念していたが、いざ生まれてみると目の中に入れても痛くないほどかわいがってくれた。生活費を支援し、子どもの面倒も見てくれた。
(徳島県 渡辺美恵さん 56歳)
母を悪者に 自分でも驚き
小学低学年の頃。家庭訪問に来た姉の担任が「朝ごはんは大切ですよ」と話されたとき、「母さんの起きるのが遅いんだよね」と言ってしまった。自分でもびっくりした。どうしてあんなことを言ったのか今も分からない。実際には母は早起きで、朝ごはんが用意されていない日なんてなかった。私は4人きょうだいの2番目で忙しい母に構ってもらいたかったのか。一生懸命育ててくれた母をおとしめて申し訳なく思っている。
(岡山県 作田智恵子さん 58歳)
先生の不手際 許せなくて
中1の頃、陸上部の駅伝大会で優勝したが、アンカーの私が表彰されなかった。本来走る予定だった選手が誤って壇上に呼ばれたからだ。顧問の先生が変更用紙を出さなかったことが原因だった。職員室に行き、おかしいでしょ? と「反抗」したが、謝罪もなかった。教育委員会に電話をしたところ、3週間すべての部活が活動停止に。汚い大人のやり方だ、と思った。自分がミスしたら、きちんと謝罪するようにしている。
(奈良県 福田大輔さん 40歳)
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