<連載> ワクチン接種Q&A

オミクロン株BA.5 潜伏期間、症状、抗原検査で感染チェック

疑問・質問「コロナとワクチン」(25)オミクロン株の感染者、濃厚接触者になったら<上>

2022.07.28

 新規感染者数の爆発的な増加を引き起こした新型コロナウイルスのオミクロン株BA.5は、感染してから症状が出るまでの潜伏期間はどれぐらいで、どのような症状が出るのでしょうか? 感染が疑わしいのに発熱外来の予約が取れない場合、どうすればいいのでしょうか。

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咳をするマスクをした女性

【質問一覧 オミクロン株BA.5の感染者、濃厚接触者になったら(上)】

  • Q.6:感染者がウイルスを排出して他の人に感染させる可能性があるのは何日ぐらい?
  • Q.7:重症化しやすいのはどんな人?
  • Q.8:オミクロン株に感染し、入院が必要になるなど重症化する人はどれぐらいいるの?
  • Q.9:重症化を防ぐ薬があるそうですが、使えるのはどのような人?

Q.1:オミクロン株に感染するとどのような症状が出るの?

A:のどの痛みや鼻づまり、鼻水、せき、くしゃみといった呼吸器の症状や、頭痛や倦怠(けんたい)感(疲労感)、発熱などの全身症状が起きます。筋肉痛や、味覚や嗅覚の異常が生じることもあります。感染者全員にこれらの症状がすべて起こるわけではありません。症状だけで、インフルエンザや通常の風邪などほかの呼吸器感染症と区別するのは困難です。

 オミクロン株が登場するまでは、新型コロナウイルス感染症の症状は、発熱、咳などの呼吸器の症状、疲労感、頭痛などインフルエンザなどと共通したものに加え、嗅覚異常や味覚異常が起こることがあるのが特徴とされてきました。逆に、インフルエンザや風邪でよくみられる、鼻づまりや鼻水は比較的少ないとみられていました。

 しかし、ウイルスが鼻やのどなど上気道で増殖しやすいオミクロン株に置き換わり、従来よりも、のどの痛みや鼻づまり、鼻水といった通常の風邪でよくみられる症状が増えてきました。一方で、従来みられた嗅覚や味覚の異常は減る傾向にあります。

 スマホのアプリで感染者から症状を自己申告してもらう英国のキングズ・カレッジ・ロンドンなどが行っている「ZOE COVID App」を使った調査によると、性別や年齢、ワクチン接種状況をそろえた上で、デルタ株が主流だった2021年6月1日~11月27日までに症状を報告した4990人と、オミクロン株が主流だった同12月20日~2022年1月17日までに報告した4990人を比較したところ、嗅覚異常の起きた人の割合はデルタ期には52.7%いたのがオミクロン期には16.7%に減少した一方、のどの痛みはデルタ期に60.8%だったのがオミクロン期には70.5%に増えました。詳細は医学誌「ランセット」で報告されました。

オミクロン株の症状の特徴

 英インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが、英国政府が継続的に実施している新型コロナウイルスの感染や症状などについての調査「REACT―1」の2020年5月~2022年3月までの約154万2500人分のデータを解析し、新型コロナウイルスの変異株別に症状を比較しました。比較したのはアルファ、デルタ、オミクロンです。

 その結果、オミクロン株では、のどの痛みや鼻水、発熱など、インフルエンザや風邪と共通した症状が出る人の割合が高くなっている一方、嗅覚や味覚の異常といった新型コロナウイルス特有とみられていた症状の出る人の比率は減っていました。詳細は、専門家による評価がまだ終わっていない論文を発表するサイトに掲載されています。

 いずれの研究も、オミクロン株はBA.1やBA.2についてですが、これまでのところBA.5でも、症状に大きな変化はないとみられています。

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Q.2: オミクロン株の潜伏期間は?

A: 潜伏期間の中央値は約3日間で、従来よりも短くなっています。

 厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第8.0版」によると、オミクロン株以前のウイルスでは、潜伏期間は約5日、最長で14日間とされてきました。しかし、オミクロン株になって、潜伏期間は中央値が2.9日、99%の人は10日目までに発症するとされています。

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Q.3:感染した疑いがある時はどうすればいいの?

A: 政府も自治体もこれまで、発熱やのどの痛みなど、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状のある人は、予約をした上で、かかりつけ医や身近な医療機関、発熱外来を受診するよう呼びかけてきました。しかし実際には、第7波による感染者の爆発的な増加により、医療機関も発熱外来も混雑していて、予約が取りづらい状況になっています。このため政府は、重症化リスクの低い人には、自分で検査ができる、抗原検査キットをもっと普及させるとしています。抗原検査キットについてはQ.4を参照して下さい。 

新型コロナの症状
東京都の「自覚症状」のチェックリスト(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/soudan/checklist.html)から抜粋

 医療機関や発熱外来で検査を受ける必要性には個人差があります。どのような症状があり、重症化リスクがどれぐらい高いのかによって必要性は変わってきます。重症化リスクの高い人は、Q.7に挙げるような人です。こういった人は、重症化を防ぐ薬の投与対象になっており、薬を使える可能性があります。薬は発症から5日目までにのみ始めることになっているため、検査を受け、早めに確定診断をつけてもらった方がいいと考えられます。

受診先紹介サイト(東京都)
感染が疑われる場合の受診先を紹介する東京都のサイト(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/soudan/hatsunetsugairai.html)

 一方、息苦しさなどの重い症状がなく、軽い症状だけで、しかも持病がなく、年齢も比較的若く、重症化リスクの低い人は、必ずしも検査を受ける必要が無い場合もあります。感染がわかっても、解熱剤など症状を緩和する薬をのむ以外に、特別な治療はなく、自宅で静養していれば、治る場合が多いからです。自宅療養の注意点はQ.10を参照して下さい。

 英国では今春から、重症化リスクの高い人以外に対しては、公費による検査を中止しました。人口あたりの新規感染者数が日本と同じぐらい多いシンガポールは、症状が軽く、リスクの低い人は自分で抗原検査をし、陽性なら、そのまま自宅で療養するよう呼びかけています。医療機関がパンクするのを防ぐためです。政府が抗原検査キットを各世帯に無料で配ったほか、市中の薬局で、日本よりもかなり安価に購入できます。

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Q.4:抗原検査とはどのような検査ですか?

A:鼻水などの体液の中に、ウイルスのたんぱく質(抗原)があるかどうかを調べる検査です。薬局などで主に販売しているのは、検査に特別な機器が必要無い、「抗原定性検査キット」です。自分で感染の有無を調べることができます。

 ウイルスの遺伝子があるかどうかを調べるPCR検査に対し、抗原検査は、ウイルスのたんぱく質があるかどうかを調べます。抗原検査には、より少ないウイルスのタンパク質量を検出できる、特殊な分析機器で測定する抗原定量検査と、特殊な機器の必要ない抗原定性検査があります。薬局などで主に販売しているのは、抗原定性検査のキットです。

 この抗原定性検査キットには、厚労省が「体外診断用医薬品」として承認し、検査結果について一定の質が保証されているキットと、承認を受けていない「研究用」があります。政府や自治体は、自分で感染の有無を調べる際には、「体外診断用医薬品」を使うよう、呼びかけています。箱などに「体外診断用医薬品」と明記されているかチェックしましょう。

抗原検査キット
抗原検査キットに関する消費者庁のお知らせ(https://www.caa.go.jp/notice/entry/025912/)の資料から抜粋

 細長い綿棒などを自分で鼻の奥に入れ、鼻腔内の体液を採取して、薬剤とまぜ、数滴、キットにたらします。そうすると、感染していない場合には1本、感染している場合には2本、線が浮かびあがってきます。約15~30分で結果がわかります。PCR検査に比べると、精度は低いので、政府は確定診断にはPCR検査が必要だとしてきましたが、感染拡大を受け、対応が変更になる可能性があります。

 承認されたキットの一覧は、下記の厚労省のサイトに載っています。
・新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品(検査キット)の承認情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11331.html

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Q.5:感染しても症状が出ない「無症候感染者」はどれぐらいいるの?

A:厚労省の「診療の手引き」によると、症状の出ない、無症候感染者は20~40%と考えられています。

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 新型コロナウイルスやコロナワクチンに関するReライフ読者会議メンバーの疑問や質問に、新型コロナ関連の著書がある科学医療ジャーナリストの大岩ゆりさんが、専門家・研究者らに取材・解説します。

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  • 大岩 ゆり
  • 大岩 ゆり(おおいわ・ゆり)

    科学医療ジャーナリスト・翻訳家

    朝日新聞社科学医療部専門記者(医療担当)などとして医療と生命科学を中心に取材・執筆し、2020年4月からフリーランスに。同社在籍中には英オックスフォード大学客員研究員や京都大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師を兼任。主な著書に『最後の砦となれ~新型コロナから災害医療へ』、主な訳書にエリック・カンデル著『芸術・無意識・脳』(共訳)がある。

  • この連載について / ワクチン接種Q&A

    高齢者を対象にした新型コロナワクチンの4回目接種が本格化しています。感染・重症化予防の有効性は? 副反応への対処の仕方は? 今後のスケジュールは? 読者の疑問・質問に答えます。

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