<連載> ワクチン接種Q&A

自宅療養時の感染拡大リスクは? 重症化しやすい人、入院が必要な人

疑問・質問「コロナとワクチン」(26)オミクロン株の感染者、濃厚接触者になったら<中>

2022.07.29

 新型コロナ感染の爆発的な再拡大で、感染者の大半は自宅療養となります。では、その療養期間中に、他の人に感染させる可能性があるのは何日ぐらいなのでしょう。重症化しやすい人、入院が必要となる人は、どの程度いると考えられるのでしょうか。

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【質問一覧 オミクロン株BA.5の感染者、濃厚接触者になったら(中)】

  • Q.1:オミクロン株に感染するとどのような症状が出るの?
  • Q.2:オミクロン株の潜伏期間は?
  • Q.3:感染した疑いがある時はどうすればいいの?
  • Q.4:抗原検査とはどのような検査ですか?
  • Q.5:感染しても症状が出ない、無症候感染者はどれぐらいいるの?

Q.6:感染者がウイルスを排出して他の人に感染させる可能性があるのは何日ぐらい?

A:国立感染症研究所や厚生労働省などによると、症状のある人は、発症2日前から発症や診断から9日目まで、感染性のあるウイルスが体内に残っており、ウイルスを含む唾や鼻水などの飛沫やエアロゾル(小さな粒子)として排出する可能性があります。無症状の人は、診断から7日目まで感染性のあるウイルスが体内に残っているとみられます。個人差はありますが、平均すると、発症や診断から5日目までが他の人に感染させる可能性が高く、とくに3日目前後が高いとみられます。

 感染研によると、PCR検査で調べると、鼻水や唾液などの検体中にウイルスの遺伝子の量がもっとも多いのは発症・診断から3日目あたりです。5日目以降は、減っていきます。一方、検体から感染性のあるウイルスが分離できる率も、発症から3日目あたりがもっとも高く、5日目以降は減っていきます。この傾向は、ワクチン接種の有無にかかわらず、同じでした。

検体中のウイルス遺伝子量の推移
感染性ウイルスの分離割合

 一方、厚労省の専門家会議の有志による提言「感染者の療養解除および濃厚接触者の健康観察の期間の短縮について-オミクロン株の急激な感染拡大を受けてー」によると、まだデータは限られているものの、オミクロン株の場合、これまでのところ、症状があっても改善した感染者の場合、症状軽快から3日目以降は、ウイルスの排出はみられないそうです。

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Q.7: 重症化しやすいのはどんな人?

A: 高齢者や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患などの基礎疾患がある人、肥満の人、喫煙している人、妊娠後期の人の一部などです。また、免疫疾患や、免疫抑制剤や抗がん剤の治療をしていて、免疫の抑制された状態にある人も重症化リスクが高いです。

重症化リスクの高いひと
重症化リスクの高い人(厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の"いま"に関する11の知識」2022年7月版より)

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Q.8:オミクロン株に感染し、入院が必要になるなど重症化する人はどれぐらいいるの?

A: オミクロン株に置き換わり、全体的には重症化する人の割合は減っていますが、重症化率や死亡率は、年齢やワクチン接種の有無によって大きく異なります。高齢で、ワクチン接種をしていない人ほど、重症化したり、死亡したりする比率が高くなります。

 厚労省によると、オミクロン株が主流になった2022年1月~2月の間に石川県など3県で感染が確認された約11万9000人のうち、50代全体では、重症化率は0.12%、ワクチンを打っていない人で0.5%、3回接種した人で0.0%、死亡率は50代全体で0.03%、ワクチン接種をしていない人で0.17%、3回接種した人で0.0%でした。70代全体では、重症化した人は2.03%、ワクチン接種を受けていない人で3.83%、3回接種した人で0.95%でした。死亡率は70代全体で1.23%、ワクチン接種をしていない人で2.0%、3回接種した人では0.63%でした。

オミクロン株流行中の重症化率、死亡率
オミクロン株流行中の重症化率、死亡率(厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の"いま"に関する11の知識」2022年7月版より)

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Q.9:重症化を防ぐ薬があるそうですが、使えるのはどのような人?

A:重症化を防ぐ薬のうち、オミクロン株にも効果があるとされている薬は2種類あります。いずれも、60歳以上の高齢者や糖尿病などの持病があり、重症化リスクの高い人が対象です。どちらも経口薬です。発症から5日目以内にのみ始める必要があります。このうち「パキロビッドパック(製品名)」は、すでに持病などのためにのんでいる薬がある場合、同時にはのめないことがあります。処方に際しては、自分が現在、のんでいる薬の種類を医師にすべて伝えるようにして下さい。

 現在、特例承認されている重症化を防ぐ経口薬は「パキロビッドパック(成分名ニルマトレルビル/リトナビル)」と、「ラゲブリオ(成分名モルヌピラビル)」です。発症から5日目以内にのみ始めなければいけないのは、6日目以降にのみ始めた場合の効果が臨床試験(治験)で確認されていないからです。

 パキロビッドパックの成分のうちリトナビルは、薬の効果を高めるために添加されていますが、体内で薬物を代謝して分解する酵素などの働きを阻害する作用があります。このため、持病などのために飲んでいる薬の体内の濃度が、通常より高くなってしまい、重い副作用を起こしてしまう可能性もあります。このため、のみ合わせには慎重な注意が必要になっており、ふだんのんでいる薬の種類によっては、パキロビッドパックは使えないこともあります。

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 新型コロナウイルスやコロナワクチンに関するReライフ読者会議メンバーの疑問や質問に、新型コロナ関連の著書がある科学医療ジャーナリストの大岩ゆりさんが、専門家・研究者らに取材・解説します。

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  • 大岩 ゆり
  • 大岩 ゆり(おおいわ・ゆり)

    科学医療ジャーナリスト・翻訳家

    朝日新聞社科学医療部専門記者(医療担当)などとして医療と生命科学を中心に取材・執筆し、2020年4月からフリーランスに。同社在籍中には英オックスフォード大学客員研究員や京都大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師を兼任。主な著書に『最後の砦となれ~新型コロナから災害医療へ』、主な訳書にエリック・カンデル著『芸術・無意識・脳』(共訳)がある。

  • この連載について / ワクチン接種Q&A

    高齢者を対象にした新型コロナワクチンの4回目接種が本格化しています。感染・重症化予防の有効性は? 副反応への対処の仕方は? 今後のスケジュールは? 読者の疑問・質問に答えます。

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