<連載> 今すぐできる終活講座

人生100年時代、すべてを血縁関係に頼るのは無理がある

おひとりさまの終活①

2022.08.12

 「終活」や「相続」について考えていますか? 大切な人や社会のために財産を役立てたいけれど、何からやればよいか迷っているという人も多いのではないでしょうか。そんなあなたのために、遺贈寄附推進機構代表取締役の齋藤弘道さんが今すぐ役立つ終活の基礎知識やヒントを紹介します。今回から「おひとりさま」の終活について、さまざまな課題と対策を教えていただきます。

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人生100年時代、「おひとりさま」が増えていく社会に

「おひとりさま」とは何か

 ここ数年で「人生100年時代」という言葉を良く聞くようになりました。リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットが、著書「ライフ・シフト」で「100年時代の人生戦略」を提唱してベストセラーになり、広まっているようです。本書によれば「2007年生まれの日本人の半数が到達する年齢は107歳」なのだそうです。

 107年も生きることになれば、人生いろいろありそうです。これまでにない状況が発生し、これに備える必要があるかもしれません。特に「おひとりさま」の場合は、状況にあわせて対応してもらえる家族がいないので、自分自身で対策を考えておく必要がありそうです。「おひとりさま」の身に「起こりそうなこと」と「備える方法」について考えていきます。

 一口に「おひとりさま」と言っても、人によって使う意味が異なるようです。「一人で生活している人」「自立した一人の人間」などの意味もあれば、「婚期を逃した女性(あるいは男性)」を指す場合もあるようです。これからお話を進めていくにあたり、このシリーズでの「おひとりさま」の定義を決めておきたいと思います。

「おひとりさま」は子どものいない人

 今回の「おひとりさまの終活」シリーズでは、相続のことも取り上げますので、生活様式としての単身世帯であることよりも、法的な親族関係に着目して分類したいと思います。そうしますと、広義の「おひとりさま」から狭義の「おひとりさま」まで、以下のような範囲がありそうです。

640 おひとりさま1のP1「おひとりさま」の定義
「おひとりさま」の定義

①子どものいない夫婦:相続人は配偶者と親または兄弟姉妹です。「おふたりさま」という言い方もあるようです。夫婦のどちらかが亡くなると、残された方が②になります。

②独身・配偶者と離死別:配偶者も子どももいないので、相続人は親または兄弟姉妹です。

③相続人が誰もいない:配偶者・子ども(孫)・両親(祖父母)・兄弟姉妹(おい・めい)など誰もいないと、「相続人不存在」となります。

 「おひとりさまの終活」シリーズでは検討すべき課題を広く捉えておきたいので、広義の①に近い定義で考えたいと思います。言い換えれば「子どものいない人」という定義です。 

「おひとりさま」はどれくらいいるのか

 さて、定義が決まったところで「おひとりさま」はどれくらいの割合でいるのでしょうか。国勢調査を見ても、「世帯の構成人数」のデータはあっても、「子どものいない人」というデータはありません。調べてみると、法務省が平成29年に調査したデータがありました。

640 おひとりさま1のP2 子どものいない人の割合(法務省:平成29年調査より)
子どものいない人の割合(法務省:平成29年調査より)

 配偶者の有無は関係なく調査していますので、今回の「おひとりさま」で定義した「子どものいない人」と同じです。

 このグラフでは、年代が若くなるほど「子どものいない人」の割合が高くなっていることがわかります。この傾向は、生涯未婚率(50歳時の未婚割合)とよく似ています。

640 おひとりさま1のP3 生涯未婚率の変化(内閣府:令和3年版「少子化社会対策白書」より)
生涯未婚率の変化(内閣府:令和3年版「少子化社会対策白書」より)

 現在の75歳以上では、おひとりさまの割合は10%程度ですが、20年後には30%を超えそうです。人生100年時代に、後期高齢者の30%がおひとりさまとなると、これはもう個々人の問題というよりも、社会全体として対策を考える必要がありそうです。

「おひとりさま」が直面しそうな困りごと

 子どもを含む家族が身の回りにいるのが「標準的」であったこれまでの社会とは異なり、おひとりさまが普通にいる社会では、血縁関係にすべて依存することを前提とした制度は成り立ちません。おひとりさまは「何かあったときに頼れる親族がいない」状況にあります。その「何かあったとき」「いざというとき」には、どのようなものがあるのでしょうか

 人の寿命が延びて「人生100年」があたり前になると、心身ともに健全なまま最期を迎えることが難しくなります。認知症になっても、すぐに認知機能がすべて失われるわけではなく、徐々に低下していきます。また、認知機能低下の前段階には「フレイル」という状態があるようです。何かに備えようとしたときに、何らかの「契約」が必要になれば、意思能力だけでなく行為能力も必要になりますので、正常な判断ができるうちに準備をしておきたいところです。

640 おひとりさま1のP4 ライフステージの変化 
ライフステージの変化 

 人生における状況を時間軸でイメージすると、だいたいこのような図になります。では、これらの状況(ステージ)で起こりそうな「おひとりさまの困りごと」を考えてみましょう。 

●判断能力が減退したとき

・常用薬の服用や通院

・介護や看護の手配

・財産の管理 など

●死亡したとき

・葬儀やお墓の手配や連絡

・公共サービスの解約や遺品整理

・相続財産の分配 など

 この他にも、いろいろとありそうです。

 「おひとりさまの終活」シリーズでは、こうした課題について事例を交えながら、一つひとつ対策を考えていきたいと思います。 

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  • 齋藤弘道
  • 齋藤 弘道(さいとう・ひろみち)

    遺贈寄附推進機構 代表取締役、全国レガシーギフト協会 理事

    信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の「全国レガシーギフト協会」)。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。

  • この連載について / 今すぐできる終活講座

    「終活」や「相続」について考えていますか? 大切な人や社会のために財産を役立てたいけれど何からやれば良いか迷っている…。そんなあなたのために専門家が今すぐ役立つ「終活」の基礎知識やヒントをご紹介します。

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