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<連載> 腸戦者に訊く

第11回 便秘を甘く見てはいけません まずは毎日の食事を大切に

順天堂大学大学院の大草敏史特任教授・森永乳業研究本部基礎研究所フロンティア研究室副室長の勝又紀子さん 便秘改善編

2022.09.28

 便秘になると、薬剤で排便をうながす方も多いと思います。しかし、毎日の食生活を見直して改善を図る方法もあります。順天堂大学大学院腸内フローラ研究講座の大草敏史特任教授と、森永乳業研究本部基礎研究所フロンティア研究室の勝又紀子副室長に、便秘を改善するために大切なことをうかがいました。

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腸戦者に訊く⑤大草先生②

重篤に至るケースもあるので要注意

 ――便秘が進むとどうなるのでしょうか。

 大草 「巨大結腸症」という症状の患者さんがいます。「偽性腸閉塞(へいそく)」といって、大腸がんや腸管癒着によって腸が閉塞してしまったわけでもないのに、排便がほとんどなく、大腸や小腸にガスが大量にたまってしまう病気です。腹痛で苦しむ状態になります。

 腸管運動を促す作用がある薬を投与することで、改善する方もいますが、薬で治すことができず、手術に至ったケースもありました。

 ――便秘を甘くみてはいけませんね。

 大草 便秘は死に至る病ではないと考え、医師の間でも、以前は下剤を出しさえすればよいという風潮がありましたが、重篤な症状に至るケースもあるので注意が必要です。 

排便回数グラフ

ビフィズス菌摂取で排便回数増える

 ――薬に頼りたくない、という人もいます。

 大草 運動、睡眠、きちんとした食事といった生活習慣の改善、毎日の排便習慣を身に付けることです。

 さらに何を食べるかも大切でしょう。

 私たちが行った研究で、ビフィズス菌の排便促進作用が実証されました。ビフィズス菌を長い期間とると、排便の回数が増えることが確認されたのです。

 そのメカニズムはまだ分かっていませんが、ビフィズス菌がつくりだす酢酸や菌そのものの構成成分が腸管運動を促進すると考えられます。

 酢酸が良いからといって酢を飲んでもだめです。酢はほとんどが小腸で吸収されてしまいますので、大腸までは届きません。

 大切なのは大腸の中でビフィズス菌などが酢酸をつくることなのです。

 赤ちゃんのうんちは柔らかくて酸っぱいにおいがしますよね。赤ちゃんの腸内には特にビフィズス菌が多いことが確認されています。

腸戦者に訊く⑤勝又さん②換え

 ――森永乳業さんは長年にわたりビフィズス菌の研究をされていますよね。 

 勝又 森永乳業のビフィズス菌研究は元々、赤ちゃん用の育児用ミルクの研究から始まりました。育児用ミルクの開発にあたり、どのような成分をミルクに入れたらよいのかを知るために、赤ちゃんが排泄(はいせつ)した便を調べる必要があるということになったのです。

 その結果、健康な赤ちゃんの便にはビフィズス菌が非常に多いことが分かりました。ビフィズス菌が多いということは、それだけビフィズス菌が赤ちゃんの健康にとって何らかの役割を果たしているからだろうと考え、今日に至るまで、50年以上にわたってビフィズス菌の研究を続けてきました。

 そして、ビフィズス菌がヒトの健康に影響を与えていることがわかってきました。その一つが便通に関する影響だったんです。

腸戦者に訊く⑤-2

次回は、便秘とビフィズス菌の関係についてのお話です。

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(企画・製作:朝日新聞Reライフプロジェクト)

  • 大草敏史
  • 大草 敏史(おおくさ・としふみ)

    順天堂大学大学院腸内フローラ研究講座特任教授

    1978年東京医科歯科大学医学部卒業。1986年に同大学にて医学博士号取得。研究分野は腸内細菌学、消化器病学、ピロリ菌、炎症性腸疾患、大腸がん、腸管免疫。東京医科歯科大学医学部第一内科病棟医長、順天堂大学医学部消化器内科学講座准教授、東京慈恵会医科大学附属柏病院消化器・肝臓内科診療部長・教授などを経て、2017年4月から順天堂大学大学院腸内フローラ研究講座特任教授および東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科客員教授。慢性便秘の診断・治療研究会代表幹事として「慢性便秘症診療ガイドライン」を出版。

  • 勝又紀子
  • 勝又 紀子(かつまた・のりこ)

    森永乳業研究本部基礎研究所フロンティア研究室副室長

    1983年森永乳業入社。生物科学研究所、食品基盤研究所を経て、現職。2021年6月第10回日本認知症予防学会にて、優秀演題賞である浦上賞受賞。

  • この連載について / 腸戦者に訊く

    ビフィズス菌は1500万年にわたって人類と共存してきました。ヒトにすむビフィズス菌に50年以上にわたって向き合い、研究の成果を人々の暮らしに役立ててきた森永乳業の研究者たちに挑戦の軌跡を訊(き)きました。

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