年金の種類を紹介 受け取れる金額の確認方法などもわかりやすく解説

人生100年時代を生きるキーワード:年金の種類

2022.09.12

 

年金の種類と概要まとめ
(デザイン:西條那菜)

 

 定年後の働き方を決めたり、引退後の暮らしに備えたりするうえで、年金収入の見通しを立てておくことはとても大切なことです。

 「受け取れる年金の種類は? 」「いつからいつまで、いくらくらい受け取れそうか? 」
 50歳になったら確認しておきましょう。

<目次>

1.公的年金制度

 公的年金とは「国による年金」制度です。
 引退後の老後生活だけでなく、現役時代に障害を負った場合のその後の生活や、小さい子どもを残して死亡した際の遺族の生活なども保障する仕組みです。

(1)概要

 公的年金は厚生労働省が所管し、日本年金機構が業務を運営する制度です。
 原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員を対象とする「国民年金」と、会社員や公務員など、雇われている人の多くを対象とする「厚生年金保険(厚生年金)」があります。

 受け取る年金の種類として

「老齢年金」
「障害年金」
「遺族年金」

の3つが用意されていますが、本記事では障害年金と遺族年金は割愛し、老後の生活を保障する老齢年金について紹介します。
 なお、国民年金は、受け取るときの名前が「基礎年金」であるため、以下、受け取りに関する説明では基礎年金と呼びます。

年金制度の仕組み

出典:厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方_第3_公的年金制度の体系(被保険者、保険料)」

 

(2)厚生年金保険(厚生年金)

 厚生年金は、企業や官公庁などの「事業所」単位で加入する年金です。
 その事業所に雇われている人は、(一部の短時間勤務者などを除き)自動的に厚生年金の加入者(被保険者)になります。

 保険料は加入者の給与から天引きされ、事業所がまとめて日本年金機構に納めます。
 天引きされる厚生年金保険料の額は、毎回の給与や賞与の約9.15%となっています(私立学校教職員の場合、約7.6635%)。

 また、厚生年金の加入者は原則、このあと紹介する国民年金の「第2号被保険者」としても扱われます。 
 つまり、「厚生年金の保険料を天引きされることで、厚生年金と国民年金の2つに加入している」という扱いになります。
 したがって厚生年金の加入者は、厚生年金に加えて、基礎年金も受け取ることができます。

①厚生年金の受取金額を確認する方法
 厚生年金の額は、65歳になるまでに支払ってきた保険料の合計額によって決まります。50歳以上であれば、毎年誕生月に日本年金機構から届く「ねんきん定期便」で、厚生年金と基礎年金を65歳に受け取り開始する場合の見込み額を知ることができます。この見込み額は、給与や賞与に変動がなく、60歳で引退するという前提で計算されています。
 50歳未満の方に届く「ねんきん定期便」ではこの見込み額を把握できませんが、日本年金機構の「ねんきんネット」で試算することができます。
 60歳以降の給与の見込みも反映させたい、といった場合の試算にも利用できます。

②厚生年金の受け取り開始時期について
 厚生年金と基礎年金の受け取りは、60歳到達時点から75歳になるまでの間の任意の時期に、受け取りを始めることができます。
 65歳未満で受け取り始める場合、受け取る年金の額は減ります。
 1カ月早めるごとに0.4%減額され、65歳になっても減額されたままです。
 66歳以降に受け取り始める場合、受け取る年金の額は増えます。1カ月遅らせるごとに0.7%増額されます。

 厚生年金と基礎年金は終身年金です。毎年度、若干の増減はありうるものの、亡くなるまで受け取ることができます。

【関連記事】年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給、メリットや判断基準を専門家が解説

(3)国民年金(基礎年金)

 日本国内に住む20歳以上60歳未満の人のうち「厚生年金に加入していない人」、つまり、「国民年金の第2号被保険者でない人」は、以下2区分のいずれかとして、国民年金の対象者となります。

・第3号被保険者
・第1号被保険者

以下、それぞれの区分について解説していきます。

①国民年金の被保険者区分

・第3号被保険者
 「第2号被保険者(=厚生年金の加入者)に扶養されている配偶者」が該当します。いわゆる専業主婦などが代表的な例です。
 第3号被保険者は、配偶者である第2号被保険者が、給与の天引きによって厚生年金保険料を支払うことにより、国民年金に加入している扱いとなります。そのため、国民年金保険料を支払う必要なく基礎年金を受け取れます。

・第1号被保険者
 「第2号被保険者(=厚生年金の加入者)ではなく、第3号被保険者(=第2号被保険者に扶養されている配偶者)でもない人」がこれに該当します。
 たとえば、自営業、個人事業主、フリーランス、学生、厚生年金に加入していない事業所で働いている人、そもそも働いていない人、働けない人などです。
 支払うべき国民年金保険料は毎年度見直されますが、月額で約17,000円です。

②国民年金の受取金額を確認する方法
 基礎年金を65歳に受け取り開始する場合の年金(1年分)の額は、次の式で概算できます。

780,000円 × (20~59歳の480カ月のうち、「1号として国民年金保険料を支払った月数」+「2号だった月数」+「3号だった月数」) ÷ 480

※正確に書くと長文になるため、簡略化しています。

 つまり、基礎年金の上限、いわゆる満額は年間約78万円ということになります(毎年度見直されます)。
 現在は「1号」または「3号」であっても、過去「2号」だった時期がある人は多いでしょう。そのような方は厚生年金も受け取れます。見込み額は「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で確認、試算しましょう。

 繰り返しになりますが、基礎年金は終身年金です。毎年度、若干の増減はありうるものの、亡くなるまで受け取ることができます。

③国民年金の受け取り開始時期について
 基礎年金の受け取り開始の時期については、厚生年金と同様、60歳到達時点から75歳になるまでの間の任意の時期です。

 受け取り開始時期による給付額の増減の割合については、厚生年金と同様、

・65歳より前に受け取る場合は、1カ月ごとに0.4%減
・66歳以降に受け取る場合は、1カ月ごとに0.7%増

となります。

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2.私的年金制度の種類と概要

 私的年金とは、公的年金に上乗せする位置づけで、企業や個人が任意で導入または加入する「企業や個人の年金」制度です。公的年金と同様、こちらも厚生労働省が制度を所管しています。
 任意で導入または加入する制度ですので、複数の制度に加入している方もいれば、一つも加入していない方もいるでしょう。

 私的年金制度は、以下の4種類があります。

1. 確定給付企業年金
2. 確定拠出年金
3. 厚生年金基金
4. 国民年金基金

(1)確定給付企業年金(DB)

 企業の労使が合意して導入する企業年金制度の一つです。
 企業が加入者一人一人の掛け金を負担して運用の責任を負い(給付を約束し)、加入者が将来受け取る金額は、労使が合意した計算ルールによって加入者ごとに決まります。

 自分が加入者かどうか不明な場合や、受取期間や金額などについては、勤務先に「○○企業年金基金」などの関連団体があればその窓口に、見当たらなければ人事・福利厚生の担当者に問い合わせましょう。

(2)確定拠出年金(企業型DC、個人型DC[愛称iDeCo イデコ])

 確定拠出年金は、企業が導入・実施する「企業型DC」と、個人が任意に加入する「個人型DC(愛称:iDeCo イデコ)」に分けられます。

①企業型DC
 企業型DCも、企業の労使が合意して導入する、企業年金制度のひとつです。企業が加入者ひとりひとりの掛け金を負担し(拠出を約束し)、運用の責任は加入者が負います。したがって将来受け取る金額は、加入者本人の運用成績次第です。
 なお、企業が拠出する掛け金に上乗せする形で、加入者が追加の掛け金を拠出できる「マッチング拠出」という仕組みを導入している企業もあります。
 また中には、掛け金全額を実質的に加入者に負担させる(給与を減らして掛け金に充てる等)企業もあるなど、詳細は企業ごとに異なります。
 自分が加入者かどうか不明な場合は人事・福利厚生の担当者に問い合わせましょう。
 また受取期間などについては、加入者向けに周知されている金融機関の窓口で確認ができます。

②個人型DC(愛称iDeCo イデコ)
 個人型DCは、個人が任意で加入する年金制度です(「(4)国民年金基金」との併用はできません)。
 加入者が運用の責任を負いますので、企業型DCと同様、将来受け取る金額は加入者本人の運用成績次第です。
 受取期間などについては、ご自身が申し込んだiDeCo金融機関の窓口に問い合わせましょう。

(3)厚生年金基金

 名前が厚生年金に似ているため混同されることの多い制度ですが、厚生年金基金は、先に紹介したDBと企業型DCが企業年金の二大主流になる以前に全盛を誇った企業年金制度です。
 DBのいわば前身であり、企業が運用の責任を負い、加入者が将来受け取る金額は、労使が合意した計算ルールによって加入者ごとに決まります。
 国に代わって厚生年金の給付の一部を代行する制度であるため、準公的な位置づけと言えます。
 現在、厚生年金基金制度を維持している企業は少なくなっています。
 もし、勤務先に「○○厚生年金基金」などの関連団体があればその窓口に、自分が加入者かどうか、受取期間や金額などを問い合わせましょう。

(4)国民年金基金(国基[愛称kokky コッキー])

 名前が国民年金に似ているため混同されることが多い制度ですが、国民年金基金は、自営業やフリーランスなど、国民年金の第1号被保険者が任意で加入する、国民年金の上乗せ制度です(「(3)②個人型DC」との併用はできません)。
 加入者が運用責任を負うDCと異なり、いくら払えばいくら受け取れるかが事前に決まっています。
 受取期間や金額について不明な場合は、ご自身が申し込んだ国民年金基金の窓口に問い合わせましょう。

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3.その他の主な制度

 会社員が利用できる可能性がある福利厚生制度のうち、年金として捉えられるものを二つ紹介します。

(1)中小企業退職金共済(中退共)

 中退共は、主に中小企業の従業員を対象とした退職金共済制度です。企業によってはこれに加入しています。年金のように分割での受け取りも選択できます。
 詳細は、人事・福利厚生の担当者に問い合わせましょう。

(2)勤労者財産形成年金貯蓄(財形年金)

 希望する従業員のための給与天引き貯蓄制度として、財形貯蓄を導入している企業もあります。財形貯蓄のうち財形年金を積み立てている方もいるかもしれません。
 詳細は、人事・福利厚生の担当者や、契約先の金融機関の窓口に問い合わせましょう。

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4.早めに年金制度の加入状況を確認し、見通しの整理を

 公的年金制度、私的年金制度、その他の制度について紹介しました。

 公的年金のご自身の受け取り見込み額については、50歳以上の方であれば「ねんきん定期便」が参考になり、50歳未満の方を含め、詳細な試算は「ねんきんネット」で行えます。
 私的年金への加入状況は人によって千差万別ですので、受け取れる年金の種類や期間、金額の見通しを早めに整理しておきましょう。

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  • 福嶋淳裕
  • 福嶋 淳裕(ふくしま・あつひろ)

    ファイナンシャルプランナー

    日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本FP協会認定 CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナーなどの資格を持ち、リタイアメントプランニング、老後資金形成、会社や国の制度を利用した家計の改善などを得意分野として活動中。東証一部上場企業の企業年金基金において、事務長として7年間従事。

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