<連載> ワクチン接種Q&A

コロナ第8波、インフルエンザと同時流行? ワクチンは? 発熱時は?

疑問・質問「コロナとワクチン」(32)第8波の行方、インフルエンザ、ワクチン接種の状況は?

2022.12.02

 新型コロナウイルスの新規感染者数の増加傾向が続き、第8波が始まりました。冬に向けて流行はどう推移するのか、インフルエンザと同時流行する可能性もあるのでしょうか。感染に備えてどんな準備ができ、感染が疑われる場合の診療態勢はどうなるのでしょうか。

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顕微鏡をのぞく男性研究者

【質問一覧 第8波の行方、コロナとインフルエンザ】

Q.1:第8波はどうなるの? 今後、注視すべき点はなに? 

A:全国の新規感染者数は11月末現在、増加傾向が続いています。厚生労働省の専門家会議では、全体的に増え方が緩やかではあるものの、増加傾向は続くとの見方が示されました。変異株の置き換わりなど流動的な要素が多く、今後も注視していく必要があるとのことです。

 北海道や岩手県、山形県で過去最高の新規感染者数を記録するなど、感染者数は増えています。ただし、地域差はあるものの、全般的には増加速度は鈍化しています。11月30日に開催された厚労省の新型コロナウイルス感染症アドバイザリーボードでは、少なくとも短期的には増加が続くとの予想が示されました。

 国内でも、これまでほとんどのウイルスを占めていたオミクロン株BA.5系統に代わり、BQ.1やXBBといった、オミクロン株の別の亜系統が増えつつあります。海外では、こういった亜系統の置き換わりに伴い、再流行した国もあります。

 また、過去2年間、新型コロナウイルスは年末年始に流行しました。今年も、年末に向けて忘年会や帰省などを含め、社会活動や経済活動が盛んになり、人と人との接触機会が増えれば、流行の規模に影響があると考えられます。

新型コロナ新規陽性者数の推移

新型コロナ新規感染者数の推移:厚生労働省のサイト「データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-」(https://covid19.mhlw.go.jp/)から抜粋

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Q.2: 冬には新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの両方が流行?

A: 国内では11月下旬現在、インフルエンザは流行していませんが、微増傾向です。厚労省のアドバイザリーボードの有志4人が10月5日に会議に提出した短期的な流行の見通しでは、10月~来年3月の間に新型コロナウイルスと季節性インフルエンザウイルスの流行が発生する可能性が極めて高い、としています。ただし、それぞれの流行の時期や規模などについては不確定要素が多いとみられます。

 アドバイザリーボードの座長、脇田隆字・国立感染症研究所長ら4人が会議に提出した「新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの流行に関する短期的な見通しと暫定的リスク評価」では、新型コロナウイルスだけでなく、季節性インフルエンザも冬には流行する可能性が高いと指摘しています。

 理由の一つは、日本を含めた各国が水際対策を緩めており、国際的な人の移動が増えているからです。また、国内では過去2年間、インフルエンザが流行しなかったためにインフルエンザに対する免疫を持っている人が減っています。さらに、新型コロナウイルス感染予防対策の緩和で人々の接触が増えてきています。

 また、世界的なインフルエンザの流行の傾向からも、国内で今冬、インフルエンザが流行する可能性は低くないと考えられます。2020年に新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、国内外で、インフルエンザの感染は、一部の地域を除いてほとんどみられませんでした。しかし、2022年に入り、状況が変わりつつあります。

インフルエンザの国際的な流行状況2

厚生労働省の専門家会議の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001015769.pdf)から抜粋

 北半球にある欧米や日本と季節が逆の南半球では、今年の冬(北半球の夏)には、オーストラリアやニュージーランドなどで、パンデミック以前の流行とほぼ近い規模の流行が起きました。

インフルエンザ・豪州などの動き

厚生労働省の専門家会議の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001015769.pdf)から抜粋

 また、北米では10月以降、インフルエンザの感染者や、インフルエンザによる入院患者も急増しています。

インフルエンザ・米国の動向

厚生労働省の専門家会議の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001015769.pdf)から抜粋

 国内では11月下旬現在、インフルエンザの感染者数は、新型コロナウイルスの流行が始まるまでに比べればかなり少ないものの、微増傾向が続いています。今後、どの程度の規模で流行するのかは、どのような種類のインフルエンザウイルスが流行し、人々がその種類に対して過去の感染やワクチンからどれぐらいの免疫を持っているのか、また、感染対策がどの程度、徹底されるのかなどに左右されます。

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Q.3:インフルエンザのワクチンも打った方がいいの?

A: 専門家は、新型コロナウイルスのワクチンに加え、インフルエンザワクチンも打つよう呼びかけています。高齢者に対し、新型コロナウイルスワクチンの接種会場でインフルエンザウイルスワクチンの接種もできるようにしている自治体もあります。

 インフルエンザの流行がワクチンによってどの程度、抑制できるのかはよくわかりませんが、感染した場合の重症化は防ぐと考えられるため、専門家は接種を呼びかけています。

 新型コロナウイルスの流行前から、65歳以上の人に対しては、インフルエンザワクチンの接種が推奨されてきました。このため、65歳以上なら無料で接種を受けられる自治体がたくさんあります。居住地の自治体のホームページなどを調べてみて下さい。東京都は、新型コロナウイルスの大規模接種会場で、65歳以上はインフルエンザワクチンも接種できるようにしています。都内の住居地によって、どの会場で接種できるのかが異なるので、詳しくは東京都のサイトを見て下さい。

 インフルエンザも新型コロナウイルス感染症も、鼻やのどなどにまず感染する上気道感染症です。ワクチン接種以外にインフルエンザの感染を防ぐ方法は、新型コロナウイルスと同じように、3密を避ける、手洗いや換気をしっかりする、といった方法です。

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Q.4:新型コロナとインフルエンザのワクチンを同時に打ってもいいの?

A:同時に打っても、それぞれ別々に打った場合に比べて効果は同じぐらいあります。また、副反応の発生頻度も同じ程度だったことが臨床研究で確認されたため、国内では両ワクチンは同時に打っていいことになっています。ただし英国政府は、ノババックスの新型コロナウイルスワクチンの場合、インフルエンザワクチンと同時に打つと、できる中和抗体価がやや下がるため、7日以上の間隔をあけるべきだとしています。

 日本で使われているインフルエンザワクチンは、ウイルスを無毒化した、不活化ワクチンです。ファイザー社やモデルナ社の新型コロナウイルスワクチンは、英国などで実施された臨床研究で、不活化インフルエンザワクチンを同時に接種しても、しなかった場合に比べ、できる中和抗体価や副反応の発生頻度は同じ程度でした。

ワクチン同時接種時の効果
ワクチン同時接種時の効果

厚生科学審議会のワクチン分科会の資料(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/uploads/6_18.pdf)から作成

ワクチン同時接種の副反応

厚生科学審議会のワクチン分科会の資料(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/uploads/6_18.pdf)から作成

 ノババックス社製の新型コロナウイルスワクチンの場合、英国における臨床研究で、不活化インフルエンザワクチンと同時接種しても発症予防効果は87.5%で、同時接種しなかった場合の89.8%と同程度であるとして、国内ではインフルエンザワクチンとの同時接種が認められました。一方、英国政府は、中和抗体価がやや下がるとして、1週間の間隔をあけるよう推奨しています。

 インフルエンザ以外のワクチンは、新型コロナウイルスワクチンと2週間の間隔をあけて打ちます。

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Q.5:感染が疑われる時に、重症化リスクの高低で対応が違うの?

A:政府は、重症化リスクのある高齢者や妊婦、持病のある人と、それ以外の重症化リスクの低い人、小学生以下の子どもでは、それぞれ異なる対応をするよう呼びかけています。すぐに発熱外来を受診する対象は、重症化リスクの高い人だけで、リスクの低い人はまず自分で検査、持病の無い小学生以下の子どもはまずはかかりつけの医師や地域の小児科医らに相談するよう呼びかけています。

 発熱やのどの痛みといった症状だけでは、新型コロナウイルスに感染しているのかインフルエンザウイルスに感染しているのかわかりません。このため、両方のウイルスが同時流行している場合などに、症状のある人が全員、発熱外来を受診すると、発熱外来がパンクし、重症化リスクが高くて早く治療を始めた方がいい人の受診が遅れる恐れがあります。このため政府は、発熱外来の受診は、高リスクの人優先にするために、それ以外の人は、発熱外来の受診を控えるよう呼びかけています。

 政府は、持病の無い小学生以下の子どの場合、機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てずに様子を見た上で、かかりつけ医や地域の小児科医に相談するよう呼びかけています。受診を迷った場合には、「#8000(こども医療相談)」や「#7119(救急要請相談)」などの電話窓口の利用を提案しています。

重症化リスクの高い人は1
重症化リスクの高い人は2

厚労省サイト「新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00003.html)内のパンフレット(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001006234.pdf)から作成

 一方、中学生以上でリスクの低い人は、発熱などの症状が出たら、まずは自分で抗原定性検査キットで検査をし、感染している(陽性)という結果が出た場合には、居住する自治体の健康フォローアップセンターに登録して自宅療養するよう、政府は求めています。その上で、症状が重くなるなどして受診を希望する場合には、受診・相談センターに相談して、かかりつけ医や発熱外来などの受診を検討するよう呼びかけています。

 自分で検査する時に使う抗原定性検査キットは、国が承認した「体外診断用医薬品」または「第1類医薬品」を選んで下さい。「研究用」も多数、市販されていますが、国の承認を受けておらず、精度が保証されていません。政府は近く、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザを同時に検査できるキットも承認する方針だとしています。

 重症化リスクの低い人は原則として自分で検査をして自宅療養するよう求められていますが、11月22日に緊急承認された、新型コロナウイルスの経口薬「ゾコーバ(成分名エンシトレルビルフマル酸)」は、重症化リスクの低い、軽症か中等症Iの人が飲める薬です。発熱などの症状が消えるのを、飲まない場合に比べて約1日早くする効果があるとされています。ただし、飲み合わせが禁止されている薬が多くあります。新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが低くても、高熱などで辛い場合には、下記のポスターにあるように、受診・相談センターなどに相談して下さい。

重症化リスクの低い場合は
感染時の対応、重症化リスクが低い場合

厚労省サイト「新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00003.html)内のパンフレット(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001006235.pdf)から作成

 健康フォローアップセンターの連絡先は、各自治体のサイトや、厚労省のサイト「新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00003.html)」内の「健康フォローアップセンターの一覧はこちら(https://www.mhlw.go.jp/content/000995866.xlsx)」から確認できます。

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 新型コロナウイルスやコロナワクチンに関するReライフ読者会議メンバーの疑問や質問に、新型コロナ関連の著書がある科学医療ジャーナリストの大岩ゆりさんが、専門家・研究者らに取材・解説します。

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  • 大岩 ゆり
  • 大岩 ゆり(おおいわ・ゆり)

    科学医療ジャーナリスト・翻訳家

    朝日新聞社科学医療部専門記者(医療担当)などとして医療と生命科学を中心に取材・執筆し、2020年4月からフリーランスに。同社在籍中には英オックスフォード大学客員研究員や京都大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師を兼任。主な著書に『最後の砦となれ~新型コロナから災害医療へ』、主な訳書にエリック・カンデル著『芸術・無意識・脳』(共訳)がある。

  • この連載について / ワクチン接種Q&A

    高齢者を対象にした新型コロナワクチンの4回目接種が本格化しています。感染・重症化予防の有効性は? 副反応への対処の仕方は? 今後のスケジュールは? 読者の疑問・質問に答えます。

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