介護保険の負担割合はどのくらい? 判定基準や実費の計算方法を紹介

人生100年時代を生きるキーワード:介護保険の負担

2023.01.11

 

介護保険の負担割合の判定方法
(デザイン:西條那菜)

 

 介護保険のサービスを利用する場合、実際に利用した金額の1割から3割は自己負担する必要があります。そのため、負担割合と介護サービスの組み合わせによっては、予想以上に費用負担が大きかったということもあります。

 そこで、この記事では、負担割合の判定基準や、介護サービスによってどのくらいの費用が必要になるのかを解説し、費用負担を軽減するための方法もご紹介します。

<目次>


1.介護保険の負担割合の判定基準と変更時期

 介護保険の負担割合は、年齢や本人の所得や年金収入の金額、世帯内にいる65歳以上の人の数などによって、1割・2割・3割のいずれかに決められます。どのような人がそれぞれの割合になるのかを見ていきましょう。

(1)介護保険の負担割合が1割になる人

 介護サービスの利用者負担割合は基本的には1割ですが、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担になります。具体的には、以下の条件を満たす人は1割負担となります。

【介護保険の負担割合が1割になる人①】※下記のいずれかを満たす人
・40~64歳の人
 介護保険は40歳以上の人が被保険者となりますが、そのうち第2号被保険者(厚生年金に加入している人)の負担割合は収入や世帯の状況に関係なく1割負担となります。ただし、40~64歳の第2号被保険者が介護保険サービスの利用をするには条件があり、特定の疾病により介護が必要となった場合に限られます。

・生活保護受給者
 65歳以上の第1号被保険者(自営業や農業に従事している人など)で生活保護の受給者の負担割合は1割です。ただし、自己負担分は介護扶助として現物給付されるため、利用者への請求はありません。

・市民税非課税者
 市区町村民税が非課税の人は1割負担です。

【介護保険の負担割合が1割になる人②】※下記をすべて満たす人
・65歳以上
・本人の合計所得金額が160万円未満

【介護保険の負担割合が1割になる人③】※下記をすべて満たす人
・65歳以上
・本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満
・本人の「年金収入 + その他の合計所得」が280万円未満
 もしくは2人以上世帯で同一世帯の65歳以上の人の「年金収入 + その他の合計所得金額」が346万円未満

【介護保険の負担割合が1割になる人④】※下記をすべて満たす人
・65歳以上
・本人の合計所得金額が220万円以上
・本人の「年金収入 + その他の合計所得」が280万円未満
 もしくは2人以上世帯で同一世帯の65歳以上の人の「年金収入 + その他の合計所得金額」が346万円未満

 「合計所得金額」とは、前年の年金収入(ただし、遺族年金と障がい者年金は除く)とその他の所得金額の合計をいいます。「その他の合計所得金額」とは、不動産所得、利子所得、年金を除く雑所得などのことです。

(2)介護保険の負担割合が2割になる人

 介護保険の負担割合が2割になるのは、次のすべての要件を満たす人です。

【介護保険の負担割合が2割になる人①】※下記をすべて満たす人
・65歳以上
・本人が市区町村民税を課税されている
・本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満
・単身者で「年金収入 + その他の合計所得金額」が280万円以上
 もしくは2人以上世帯で同一世帯の65歳以上の人の「年金収入 + その他の合計所得金額」が346万円以上

【介護保険の負担割合が2割になる人②】※下記をすべて満たす人
・65歳以上
・本人が市区町村民税を課税されている
・本人の合計所得金額が220万円以上
・単身者で「年金収入 + その他の合計所得金額」が280万円以上340万円未満
 もしくは2人以上世帯で同一世帯の65歳以上の人の「年金収入+その他の合計所得金額」が346万円以上463万円未満

(3)介護保険の負担割合が3割になる人

 介護保険の負担割合が3割になるのは、次のすべての要件を満たす人です。

【介護保険の負担割合が3割になる人】※下記をすべて満たす人
・65歳以上
・本人の合計所得金額が220万円以上
・単身者で「年金収入 + その他の合計所得金額」が340万円以上
 もしくは2人以上世帯で同一世帯の65歳以上の人の「年金収入 + その他の合計所得金額」が463万円以上

(4)介護保険の負担割合が決まるタイミング

 介護保険の要介護認定の申請を行うと、認定調査を経て原則として1カ月以内に要介護度が決定されます。初めての申請のときには、決定した介護度が記された「介護保険被保険者証」と一緒に、負担割合が記載された「介護保険負担割合証」が送られてきます。

 その後、毎年見直しが行われ、7月下旬に新しい「介護保険負担割合証」が郵送されます。もし、適用期間中に世帯の状況の変更や所得の変更があったときには、自治体がその内容を把握した翌月に新しい物が届きます。

負担割合証のイメージ

負担割合証のイメージ 
出典:平成30年8月から現役並みの所得のある方は、介護サービスを利用した時の負担割合が3割になります丨厚生労働省

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2.実際にどれくらい発生する? 主な介護の自己負担額

配膳をするヘルパーと喜ぶシニア女性

 

 自宅や施設での介護を受ける際に、どのくらいの費用がかかるのかは、負担割合だけでなく、介護度やサービスの種類によって大きく異なります。

 ここでは、結局どのくらいの自己負担が発生するのかを、自宅にいながら介護サービスを受ける場合・介護保険施設に入って介護サービスを受ける場合・地域密着型の介護サービスを受ける場合の三つのケースに分け、厚生労働省の介護報酬の算定構造を参考にしながらご紹介します。

(1)自宅にいながら介護サービスを受ける場合

①区分支給限度額以内なら1~3割 超過したらその分は10割負担
 自宅で暮らしながら介護サービスを受ける場合とは、介護保険施設に入るのではなく、訪問介護やデイサービスなど組み合わせながら必要な介護サービスを利用するときを指します。

 こちらのケースでは、介護度によって介護保険で利用できる上限である区分支給限度額(詳細下記)が決められています。

 限度額以内であれば実際に利用した介護サービス料に対して、負担割合に応じて1~3割の自己負担金額を支払うことになります。一方、区分支給限度額を超えて介護サービスを利用した場合、超過分は10割負担となるので注意が必要です。

 また、基本の介護報酬以外に事業所の態勢やサービス内容によって加算が算定されることがあります。

【区分支給限度額】
区分 単位 区分支給限度額(1単位 = 10円の地域の場合)
要支援1 5,032単位 5万320円
要支援2 1万0,531単位 10万5,310円
要介護1 1万6,765単位 16万7,650円
要介護2 1万9,705単位 19万7,050円
要介護3 2万7,048単位 27万,480円
要介護4 3万0,938単位 30万9,380円
要介護5 3万6,217単位 36万2,170円

 

【計算式】
 1カ月の自己負担額の具体的な計算方法は次のとおりです。

1.1カ月分の介護報酬を求める
計算式:1カ月分の介護報酬 = 1カ月に利用した介護サービスの合計単位数 × 地区別単価
※1円未満切り捨て

2.区分支給限度額の超過分を求める
計算式:超過分 = 介護報酬 - 区分支給限度額

3.1カ月分の保険給付を求める
計算式:1カ月分の保険給付 = (1カ月分の介護報酬 - 超過分) ×(1 - 負担割合)
※1円未満切り捨て

4.1カ月分の自己負担額を求める
計算式:(1カ月分の介護報酬 - 超過分)- 保険給付 + 超過分

 例えば、要介護1・介護保険の負担割合が1割の人が、1単位 = 10円の地域で、1カ月に2万点分の介護サービスを受けたら、自己負担額は以下のように計算されます。

1.1カ月分の介護報酬:2万点 × 10円 = 20万円
2.区分支給限度額の超過分:20万 - 16万7,650円 = 3万2,350円
3.保険給付:16万7,650円 ×(1 - 0.1) = 15万885円
4.1カ月分の自己負担額:(20万 - 3万2,350円)- 15万885円 + 3万2,350円 = 49,115円

②主な介護サービスの費用
・訪問介護による自己負担
 訪問介護とは、介護福祉士などの訪問介護員が利用者の自宅を訪問してサービス提供を行うものです。介護サービスはケアプランに沿って実施され、食事や排せつの介助、清拭(せいしき)、入浴の介助といった身体介護や、独居の人に対して行われる掃除や洗濯、調理といった生活支援、通院時に訪問介護員が自ら運転する車両への乗降介助などが行われます。

 訪問介護では、1回ごとの料金はサービスの内容と提供時間によって介護報酬が決められています。また、夜間早朝のサービス提供では25%、深夜帯では50%の加算がつきます。

<身体介護が中心の場合> 1回あたり
サービス時間 単位数 自己負担 (1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
20分未満 167単位 167円 334円 501円
20分以上30分未満 250単位 250円 500円 750円
30分以上1時間未満 396単位 396円 792円 1,188円
1時間以上 579単位
※以降30分増加ごとに + 84単位
579円 1,158円 1,737円

 

<生活支援が中心の場合> 1回あたり
サービス時間 単位数 自己負担 (1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
20分以上45分未満 183単位 183円 366円 549円
45分以上 225単位 225円 450円 675円

 

<通院などの際の乗降介助が中心の場合> 1回あたり
サービス時間 単位数 自己負担 (1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
1回につき 99単位 99円 198円 297円

 

・通所介護による自己負担
 通所介護とは、デイサービスとも呼ばれ、孤立感の解消や心身機能の維持、家族の負担の軽減などを目的として、通所施設に通い、食事や入浴、排泄などの日常生活上の支援や生活機能向上のための機能訓練、口腔(こうくう)機能訓練サービスなどを日帰りで受けることができる介護サービスです。

 通所介護費は事業所の規模や介護度、サービスの所要時間、提供されるサービス内容などによって細かく分類されています。また、送迎にかかる費用は通所介護費に含まれていますが、食事やおむつ代などの日常生活費は、別途自己負担する必要があります。

 

<通常規模の事業所> 1回あたり
サービス時間 介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
3時間以上4時間未満 要介護1 368単位 368円 736円 1,104円
要介護2 421単位 421円 1,266円 1,263円
要介護3 477単位 477円 954円 1,431円
要介護4 530単位 530円 1,060円 1,590円
要介護5 585単位 585円 1,170円 1,755円
4時間以上5時間未満 要介護1 386単位 386円 772円 1,158円
要介護2 442単位 442円 884円 1,326円
要介護3 500単位 500円 1,000円 1,500円
要介護4 557単位 557円 1,114円 1,671円
要介護5 614単位 614円 1,228円 1,842円
5時間以上6時間未満 要介護1 567単位 567円 1,134円 1,701円
要介護2 670単位 670円 1,340円 2,010円
要介護3 773単位 773円 1,546円 2,319円
要介護4 876単位 876円 1,752円 2,628円
要介護5 979単位 979円 1,958円 2,937円
6時間以上7時間未満 要介護1 581単位 581円 1,162円 1,743円
要介護2 686単位 686円 1,372円 2,058円
要介護3 792単位 792円 1,584円 2,376円
要介護4 897単位 897円 1,794円 2,691円
要介護5 1,003単位 1,003円 2,006円 3,009円
7時間以上8時間未満 要介護1 655単位 655円 1,310円 1,965円
要介護2 773単位 773円 1,546円 2,319円
要介護3 896単位 896円 1,792円 2,688円
要介護4 1,018単位 1,018円 2,036円 3,054円
要介護5 1,142単位 1,142円 2,284円 3,426円

 

・短期入所生活介護による自己負担
 短期入所生活介護は、ショートステイとも呼ばれ、常に介護を必要とする人に対し、特別養護老人ホームといった施設に短期間入所し、食事や排泄、入浴などの日常生活支援や機能訓練などを受けるサービスです。

 利用者の心身の状態の改善を目的とするほか、介護者が疾病や冠婚葬祭、出張などで介護ができないときや介護者の身体的・精神的負担の軽減のためにも利用することができます。

 ただし、短期入所生活介護の連続利用は30日までしかできません。また、認定有効期間内での短期入所生活介護のサービス利用日数が半数を超えないように注意が必要です。

 短期入所生活介護費は、施設の形態や居室の種類、職員の配置、送迎の有無、介護度などによって細かく分類されています。また、食費や滞在費(居住費)、理美容を受けた際の料金などの日常生活に必要な費用は別途負担する必要があります。ただし、おむつ代は介護保険の給付に含まれるため、費用負担はありません。

単独型短期入所生活介護費 <従来型個室><多床室> 1日あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要介護1 638単位 638円 1,276円 1,914円
要介護2 707単位 707円 1,414円 2,121円
要介護3 778単位 778円 1,556円 2,334円
要介護4 847単位 847円 1,694円 2,541円
要介護5 916単位 916円 1,832円 2,748円

 

併設型短期入所生活介護費 <従来型個室><多床室> 1日あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要介護1 596単位 596円 1,192円 1,788円
要介護2 665単位 665円 1,330円 1,995円
要介護3 737単位 737円 1,474円 2,211円
要介護4 806単位 806円 1,612円 2,418円
要介護5 874単位 874円 1,748円 2,622円

 

単独型ユニット型短期入所生活介護費 <ユニット型個室><ユニット型個室的多床室> 1日あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要介護1 738単位 738円 1,476円 2,214円
要介護2 806単位 806円 1,612円 2,418円
要介護3 881単位 881円 1,762円 2,643円
要介護4 949単位 949円 1,898円 2,847円
要介護5 1,017単位 1,017円 2,034円 3,051円

 

併設型ユニット型短期入所生活介護費 <ユニット型個室><ユニット型個室的多床室> 1日あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要介護1 696単位 696円 1,392円 2,088円
要介護2 764単位 764円 1,528円 2,292円
要介護3 838単位 838円 1,676円 2,514円
要介護4 908単位 908円 1,816円 2,724円
要介護5 976単位 976円 1,952円 2,928円

 

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(2)介護保険施設に入って介護サービスを受ける場合

 常に介護が必要な状態の人が、介護保険施設に入所して受ける介護サービスのことを施設サービスとよびます。施設サービスのうち、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、原則要介護3~5と認定された人が入所できます。介護老人保健施設や介護療養型医療施設、介護医療院は要介護1~5の人が入所可能です。

①区分支給限度額はなし 基本は1~3割
 これらの施設は、公的な施設の意味合いが強く、有料老人ホームなどのように入所時に一時金を支払う必要はありません。また、施設サービスでは、居宅サービスのように利用したサービスに応じて費用が発生するのではなく、施設の形態や居室のタイプ、要介護度に応じて費用が決まっています。

 そのため、区分支給限度額を超えることはなく、負担割合に応じて自己負担の金額が決まります。

 ただし、介護保険外の費用として食費、居住費、理美容や日用品の購入にかかった実費である日用生活費が別途必要になります。

【計算式】
以上のことから、1カ月の自己負担額は次の計算式で求められます。
1カ月の自己負担額 = (施設サービス費 × 0.1~0.3)+ 食費 + 居住費 + 日常生活費

②主な介護サービスの費用
・介護福祉施設サービスにおける自己負担
 特別養護老人ホームに入所した場合の自己負担額は、以下のようになります。介護保険の負担割合に応じて1~3割の施設サービス費に加え、食費、居住費、日常生活費が必要です。また、基本の介護報酬以外に、施設の体制やサービス内容などの加算が算定されることがあります。

<従来型個室> 30日換算
介護度 施設サービス費の自己負担(1単位 = 10円の地域の場合) 食費
1,445円/日
居住費
1,171円/日
日常生活費
(※)
1割 2割 3割
要介護3 2万1,360円 4万2,720円 6万4,080円 4万3,350円 3万5,130円 1万円
要介護4 2万3,400円 4万6,800円 7万200円
要介護5 2万5,410円 5万820円 7万6,230円

(※)日常生活費は施設や利用状況により変わります。

<従来型多床室> 30日換算
介護度 施設サービス費の自己負担(1単位 = 10円の地域の場合) 食費
1,445円/日
居住費
855円/日
日常生活費
(※)
1割 2割 3割
要介護3 2万1,360円 4万2,720円 6万4,080円 4万3,350円 2万5,650円 1万円
要介護4 2万3,400円 4万6,800円 7万200円
要介護5 2万5,410円 5万820円 7万6,230円

(※)日常生活費は施設や利用状況により変わります。

<ユニット型個室> 30日換算
介護度 施設サービス費の自己負担(1単位 = 10円の地域の場合) 食費
1,445円/日
居住費
2,006円/日
日常生活費
(※)
1割 2割 3割
要介護3 2万3,790円 4万7,580円 7万1,370円 4万3,350円 6万180円 1万円
要介護4 2万5,860円 5万1,720円 7万7,580円
要介護5 2万7,870円 5万5,740円 8万3,610円

(※)日常生活費は施設や利用状況により変わります。

<ユニット型個室的多床室>  30日換算
介護度 施設サービス費の自己負担(1単位 = 10円の地域の場合) 食費
1,445円/日
居住費
1,668円/日
日常生活費
(※)
1割 2割 3割
要介護3 2万3,790円 4万7,580円 7万1,370円 4万3,350円 5万040円 1万円
要介護4 2万5,860円 5万1,720円 7万7,580円
要介護5 2万7,870円 5万5,740円 8万3,610円

(※)日常生活費は施設や利用状況により変わります。

・介護保健施設サービスにおける自己負担
 介護保険施設(老健)は在宅復帰と在宅療養支援を目的とした施設です。そのため、リハビリや医療サービスが充実し、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師などの医療系の職員が多く配置されています。入所したときの自己負担額は以下のようになります。介護保険の負担割合に応じて1~3割の施設サービス費に加え、食費、居住費、日常生活費が必要です。

<従来型個室> 30日換算
介護度 施設サービス費の自己負担(1単位 = 10円の地域の場合) 食費
1,445円/日
居住費
1,668円/日
日常生活費
(※)
1割 2割 3割
要介護1 2万1,420円 4万2,840円 6万4,260円 4万3,350円 5万40円 1万円
要介護2 2万2,770円 4万5,540円 6万8,310円
要介護3 2万4,630円 4万9,260円 7万3,890円
要介護4 2万6,220円 5万2,440円 7万8,660円
要介護5 2万7,750円 5万5,500円 8万3,250円

(※)日常生活費は施設や利用状況により変わります。

<多床室> 30日換算
介護度 施設サービス費の自己負担(1単位 = 10円の地域の場合) 食費
1,445円/日
居住費
377円/日
日常生活費
(※)
1割 2割 3割
要介護1 2万3,640円 4万7,280円 7万920円 4万3,350円 1万1,310円 1万円
要介護2 2万5,080円 5万160円 7万5,240円
要介護3 2万6,940円 5万3,880円 8万820円
要介護4 2万8,470円 5万6,940円 8万5,410円
要介護5 3万90円 6万180円 9万270円

(※)日常生活費は施設や利用状況により変わります。

<ユニット型個室> 30日換算
介護度 施設サービス費の自己負担(1単位 = 10円の地域の場合) 食費
1,445円/日
居住費
2,006円/日
日常生活費
(※)
1割 2割 3割
要介護1 2万3,880円 4万7,760円 7万1,640円 4万3,350円 6万180円 1万円
要介護2 2万5,230円 5万460円 7万5,690円
要介護3 2万7,090円 5万4,180円 8万1,270円
要介護4 2万8,680円 5万7,360円 8万6,040円
要介護5 3万270円 6万540円 9万810円

(※)日常生活費は施設や利用状況により変わります。

・介護療養型医療施設サービスにおける自己負担
 介護療養型医療施設とは、長期にわたり療養が必要である、医療ニーズの高い人が入所し、機能訓練や医療、介護を受けることができる介護保険施設です。医療法人が運営する施設のため、他の介護施設に比べて看護師の人員配置が手厚いのが特徴です。

 ただし、介護療養型医療施設は2024年3月をもって廃止される予定になっており、介護医療院などに移行・転換されることになっています。

 介護療養型医療施設に入所した際の自己負担額は、施設の形態や、居室2種類、看護・介護職員の配置によっていくつもの区分があります。介護保険の負担割合に応じて1~3割の施設サービス費に加え、食費、居住費、日常生活費が必要です。

介護療養型医療施設の自己負担額一例

<従来型個室・その他(看護6:1、介護4:1) 30日換算
介護度 施設サービス費の自己負担(1単位 = 10円の地域の場合) 食費
1,445円/日
居住費
377円/日
日常生活費
(※)
1割 2割 3割
要介護1 1万9,230円 3万8,460円 5万7,690円 4万3,350円 1万1,310円 1万円
要介護2 2万2,320円 4万4,640円 6万6,960円
要介護3 2万9,010円 5万8,020円 8万7,030円
要介護4 3万1,860円 6万3,720円 9万5,580円
要介護5 3万4,410円 6万8,820円 10万3,230円

(※)日常生活費は施設や利用状況により変わります。

<ユニット型個室・療養機能強化型A> 30日換算
介護度 施設サービス費の自己負担(1単位 = 10円の地域の場合) 食費
1,445円/日
居住費
377円/日
日常生活費
(※)
1割 2割 3割
要介護1 2万3,850円 4万7,700円 7万1,550円 4万3,350円 1万1,310円 1万円
要介護2 2万7,090円 5万4,180円 8万1,270円
要介護3 3万4,080円 6万8,160円 10万2,240円
要介護4 3万7,050円 7万4,100円 11万1,150円
要介護5 3万9,720円 7万9,440円 11万9,160円

(※)日常生活費は施設や利用状況により変わります。

(3)地域密着型の介護サービスを受ける場合

 地域密着型の介護サービスは、介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で生活ができることを目的としています。そのため、市町村ごとに地域の特性や事情を踏まえたサービスが設計され、サービスを利用できるのはその地域に住む住民に限られます。

①区分支給限度額以内なら1~3割 超過したらその分は10割負担
 地域密着型サービスの費用は、サービスの種類によって回数に応じて計算するものと、1カ月あたりの定額になっているものがあります。

 1カ月に利用した介護サービスの合計単位が、区分支給限度額内であれば、それぞれの負担割合に応じて介護報酬の1~3割を自己負担します。

【計算式】
1カ月の自己負担額の具体的な計算方法は次のとおりです。

1.1カ月分の介護報酬を求める
計算式:1カ月分の介護報酬 = 1カ月に利用した介護サービスの合計単位数 × 地区別単価
※1円未満切り捨て

2.区分支給限度額の超過分を求める
計算式:超過分 = 介護報酬 - 区分支給限度額

3.1カ月分の保険給付を求める
計算式:1カ月分の保険給付 = (1カ月分の介護報酬 - 超過分) ×(1 - 負担割合)
※1円未満切り捨て

4.1カ月分の自己負担額を求める
計算式:(1カ月分の介護報酬 - 超過分)- 保険給付 + 超過分

②主な介護サービスの費用
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護費
 定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、在宅で生活している人に対して、日中・夜間を通じて1日に複数回の定期訪問と随時訪問を行います。介護・看護が一体的または連携して在宅生活を支えます。

 なお、定期巡回・随時訪問型介護看護サービスは要支援1、2の人は利用できません。

<一体型> 訪問看護利用あり 1カ月あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要介護1 8,312単位 8,312円 16,624円 2万4,936円
要介護2 1万2,985単位 1万2,985円 2万5,970円 3万8,955円
要介護3 1万9,821単位 1万9,821円 3万9,642円 5万9,463円
要介護4 2万4,434単位 2万4,434円 4万8,868円 7万3,302円
要介護5 2万9,601単位 2万9,601円 5万9,292円 8万8,803円

 

<一体型> 訪問看護利用なし 1カ月あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要介護1 5,697単位 5,697円 1万1,394円 1万7,091円
要介護2 1万168単位 1万168円 2万336円 3万504円
要介護3 1万6,883単位 1万6,883円 3万3,766円 5万0,649円
要介護4 2万1,357単位 2万1,357円 4万2,714円 6万3,071円
要介護5 2万5,829単位 2万5,829円 5万1,658円 7万7,487円

 

<連携型> 訪問看護利用なし 1カ月あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要介護1 5,697単位 5,697円 1万1,394円 1万7,091円
要介護2 1万168単位 1万168円 2万336円 3万504円
要介護3 1万6,883単位 1万6,883円 3万3,766円 5万0,649円
要介護4 2万1,357単位 2万1,357円 4万2,714円 6万3,071円
要介護5 2万5,829単位 2万5,829円 5万1,658円 7万7,487円

 

・夜間対応型訪問介護費
 夜間対応型訪問介護は、あらかじめ利用登録した人に対して、訪問介護員が夜間の巡回や緊急通報への随時対応を行うサービスです。

 夜間対応型訪問介護は、月額の基本料金と定期巡回サービスや随時訪問を受ければ、1回あたりのサービス費用がかかります。

サービス内容 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
基本料金 1,009単位 1,009円 2,018円 3,027円
定期巡回サービス 378単位 378円 756円 2,268円
随時訪問サービス
(1名による訪問)
576単位 576円 1,152円 3,456円
随時訪問サービス
(複数名による訪問)
775単位 775円 1,550円 4,650円

 

・認知症対応型通所介護費
 認知症対応型通所介護は、認知症の人が日帰りで入浴や、食事などの日常生活支援や機能訓練などを受けるサービスです。

 認知症対応型通所介護の基本報酬は、サービス提供時間ごとに定められています。また、認知症対応型通所介護には施設の形態により、「単独型」「併設型」「共用型」の三つのタイプがあり、それぞれに料金が異なります。

<単独型> 7時間以上8時間未満 1回あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要支援1 859単位 859円 1,712円 2,577円
要支援2 959単位 959円 1,918円 2,877円
要介護1 992単位 992円 1,984円 2,976円
要介護2 1,100単位 1,100円 2,200円 3,300円
要介護3 1,208単位 1,208円 2,416円 3,624円
要介護4 1,316単位 1,316円 2,632円 3,948円
要介護5 1,424単位 1,424円 2,848円 4,272円

 

<併設型> 7時間以上8時間未満 1回あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要支援1 771単位 771円 1,542円 2,313円
要支援2 862単位 862円 1,724円 2,586円
要介護1 892単位 892円 1,784円 2,676円
要介護2 987単位 987円 1,974円 2,961円
要介護3 1,084単位 1,084円 2,168円 3,252円
要介護4 1,181単位 1,181円 2,362円 3,543円
要介護5 1,276単位 1,276円 2,552円 3,828円

 

<共用型> 7時間以上8時間未満 1回あたり
介護度 単位数 自己負担(1単位 = 10円の地域の場合)
1割 2割 3割
要支援1 483単位 483円 966円 1,449円
要支援2 512単位 512円 1,024円 1,536円
要介護1 522単位 522円 1,044円 1,566円
要介護2 541単位 541円 1,082円 1,623円
要介護3 559単位 559円 1,118円 1,677円
要介護4 577単位 577円 1,154円 1,731円
要介護5 597単位 597円 1,194円 1,791円

 

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3.介護保険の負担が重い場合は……活用したい制度や相談先

 介護サービスを利用する必要があるが、費用の負担が重いと感じる場合もあるでしょう。そのようなときに活用できる制度があります。

(1)活用したい制度三つ

①負担限度額認定
 介護保険施設に入所または入院した場合やショートステイを利用した際の、食費・居住費について、1日あたりの負担限度額を設定し、限度額を超えた分は市町村に支払ってもらうことにより、自己負担を軽減する制度です。

 対象者は、世帯全員および配偶者が市町村民税非課税であり、かつ預貯金額などが一定額以下である人です。利用するときは、介護保険負担限度額認定申請書などの必要書類を自治体に提出します。

②高額介護サービス費
 月々の利用者負担額の合計が、所得に応じて区分された金額を超えた場合、市町村に申請することによって、超過分が介護保険から支給される制度です。利用するときは、高額介護(介護予防)サービス費支給申請書(対象となるときにサービスを利用した約2~3カ月後に送られてくる)などの必要書類を提出します。

③高額医療・高額介護合算制度
 同じ医療保険を利用している同一世帯の、医療保険と介護保険の自己負担を合算したときに、それぞれの世帯の収入や課税状況により定められた年間の限度額を500円以上超えた場合、医療保険者に申請することにより、超過分が支給される制度です。利用するときは、高額介護合算療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書(対象となるときに算定最終月〈7月末〉の翌年の2月か3月に送られてくる)などの必要書類を自治体に提出します。

(2)困ったときの相談先二つ

①ケアマネジャー
 介護保険の自己負担額が高額になり、困るような場合はケアマネジャーに相談するのが一番です。毎月、介護の費用としてどのくらいの金額にしたいかをあらかじめ伝えておくと、予算に応じた介護サービスの提案をしてくれるでしょう。また、ケアマネジャーに市町村への申請を代行してもらうこともできます。

 ケアマネジャーを探すときは、地域包括支援センターに相談するのが一般的です。

②市町村の窓口
 入所やショートステイを利用する際、負担限度額の認定や高額介護費の対象になるかなどの相談や申請は市町村の窓口で受けてもらえます。課税状況や収入などにより対象者が決められている制度の利用を検討する場合、直接窓口で相談するとよいでしょう。

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4.サービス利用時に慌てないようにあらかじめ把握を

 介護保険のサービスを利用するには、自己負担があるため負担割合と利用するサービスの種類やサービス回数によっては、負担する金額が高額となってしまうことがあります。介護サービスの利用をするときになって慌てないように、事前にどのくらいの自己負担がかかりそうかを把握しておくようにしましょう。

(合同会社カサージュ代表 寺岡純子)

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  • 寺岡純子
  • 寺岡 純子(てらおか・じゅんこ)

    合同会社カサージュ代表

    主任介護支援専門員。救命救急センターなどの看護師を経て、1999年介護業界に転身。2019年独立開業。居宅介護支援事業所を運営の傍ら、介護・医療系研修講師として活動。

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