夫婦のこされた一方は「おひとりさん」、社会制度を思う

【朝日新聞ReライフFESTIVAL2019】三つのプログラムを聴いて

 

3月1日に開かれた朝日新聞ReライフFESTIVAL2019に参加し、いくつかのプログラムを聞いた。

 

f:id:relifeblog:20190325114957j:plain



  • 母の介護通じて見た 日本の社会制度と生きる意味

 

リアル読者会議 in フェス「変わる、変える 50代からのおひとり生活」を聴いた。

登壇した読者代表4人は、それぞれ違う人生を生き、違う価値観を持ち、現在の状況が違う「おひとりさん」だった。議論では、健康、介護、医療、住まい、経済力、コミュニケーションがポイントで、自己肯定感を上げることが重要だとされた。

実は、「おひとりさん」候補であることを、65歳の私は、最近強く意識するようになっている。

父を4年前に亡くし、二人兄弟の弟を2年前に亡くし、現在89歳の母は、約20年前にがんで胃の半分を摘出し、ここ数年で右肩とあごの付け根を粉砕骨折し、現在は、右足骨折による手術後、リハビリ病院に入院中である。右肩と右脚付け根は人工関節になり、柔らかく調理された食事をスプーンで食べる認知度5の認知症患者である。

父の仏壇のある実家の部屋で眠りたいと母がいうので、この2年ほど、デイサービスも一部利用しながら、妻が母の住む家へ通い、泊まり込んで食事とトイレの面倒を見てきた。私もそれをサポートしてきたが、私当番の夜、ちょっと目を離したときに倒れて足を骨折してしまった。

リハビリ病院には、毎日見舞いに顔を出す。幸い、設備もよく、職員の方々は面倒見がよい。しかし、病院にずっといるわけにいかないので、母を実家に戻すか、施設に入れるかを検討しないとならない。

こうした家族の状況を通じて、私は、日本の医療水準と社会制度の実態を認識し、生きる意味を考えるようになった。

幸い、自身が節約しながらためた貯金と、日本の社会制度に助けられ、母は生きているが、私たち夫婦はどうなるのだろう。

子供は二人いるが、独立して生活しているし、面倒や苦労は掛けさせたくない。夫婦のうち残された方は「おひとりさん」の生活をしないとならない。今後、日本の社会制度の脆弱(ぜいじゃく)化が余儀なくされる中、やはり、経済的な課題が何より優先すると考える。家内を一人残したときに可哀想にはしたくないと、最近、平凡なサラリーマンだった私は、考えるようになった。工夫をした社会制度の維持こそが、日本の最優先政治課題と考える。

 

  • 三浦雄一郎さんに学ぶ 予期せぬことに柔軟に対応する力

 

「人生はいつも<今>から ~86歳南米最高峰へ挑む~」と題した三浦雄一郎さんの講演。

アコンカグア(6959m)の山頂を前に、86歳の三浦雄一郎さんは、キャンプコレラ(6000m)で、登頂を断念した。悔しかったに違いない。

これをご本人がどう総括しているか興味があったが、三浦さんは「下山すると『よく降りてくれた』と褒めてくれる人が多い」と言って笑った。

53歳のときに一度登頂した山だ。本人は登頂の自信があったが、信頼する登坂リーダー、チームドクターそして次男豪太さんが自分の生命を案じて説得するのを、苦渋のうえ受け入れたという。ヘリコプターを活用するなど、年齢を考慮した登山計画であったが、予想外の天候となり、決行することが許されなかったそうだ。

「若い頃は、無理が利くスポーツ心臓であったが、メタボ心臓になってドクターストップがかかってしまった」と話した後、「次は、体質を改善し、90歳の時に別の山頂を目指す」と語った。

そうした話を聞きながら考えた。自分の人生の目標や達成度をあらためて考えてみるのはどうだろうか、と。より高い目標を目指すのか? あるいは、別の新しい目標を設定し、挑戦するのか?

 10年後、15年後の自分に合った目標を設定し、それに挑戦する。予期せぬ事態にも柔軟に対応していくなら、人生はより味わい深いものになると考える。

 

f:id:relifeblog:20190320172845j:plain

  • 今日からは、”自分の”うんこを観察

 

「大村崑さんと学ぶ健康“腸”寿」セミナーも聴講した。

 大村崑さんは、なんと87歳の、“健康優良児”だ。体に良いことは何でもやって、腸の劣化を防ぎ、「健康“腸”寿」を実践しているという。57歳の時に、血便により腸内にがん細胞があるのを知り、手術で切除した。それ以来、知識を備え、運動と食べものに気を使い、カラダとの“体話”をしながら健康を維持してきたそうだ。

私たちは「善玉菌」「悪玉菌」という言葉をよく耳にするし、「野菜をとるとよい」と知っている。しかし、その知識はあいまいなままの人が多いのではないだろうか。

セミナーでは、帝京平成大学の松井輝明教授による腸内環境についての説明があった。知らないことばかりだった。厚生労働省が勧める1日に必要な野菜摂取量は、実践が難しいくらい大量であるが、それでも必要な食物繊維量の半分に満たないという。だから、知識を一層深め、自分なりのやり方で腸内環境を改善し、腸の劣化による体のトラブルを防がないとならない。

松井さんは、健康チェックには便の観察が一番だと話した。毎日決まった時間に一回、長い便が1本出るのが良いと言う。

大村さんは、「立派なうんこが出たら夫婦で見せ合って自慢し合うことにしています」と話し、会場内を爆笑させた。

よし、今日からは、”自分の”うんこを観察してみよう。自分の健康は自分で守らないとならない。

(読者リポーター・石川明さん)