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不動産市場は3極化、駅から徒歩10分ではダメ? 

リアル読者会議「これからの住まいと人生」

更新日:2017年09月05日

 1980年代は「夢のマイホーム」を買い求めた時代でした。その後、不動産市場が大きく変化し、今や築年数を経た家とどうつきあうかが課題となりつつあります。7月に東京と大阪で開催した「リアル読者会議」では、「住まい」をテーマに、悩みを抱える読者が集まり、専門家をゲストに迎えて議論しました。専門家の一人、不動産コンサルタントの長嶋修さんは、不動産市場をめぐる変化について、データをもとに「3つの厳しい現実」を提示しました。長嶋さんの話を採録します。

不動産価格の上昇、上位15%は、どんな場所か?

 市場は3極化しています。今後さらに、もっとコントラストをつけて格差が広がっていきます。

 3極化の最も上位群、15%は不動産価値が維持されるところです。上昇する余地があるところもあります。でも、大半、約7割はだらだら下落します。このグラフのように、年率4%ずつ10年間下落したら半値になります。そして、残り15%は無価値になります。むしろ、固定資産税を払う分だけ「マイナス価値」。誰も買いたい人がいない状態です。

 これを聞くと、「上位15%」は、都心の一等地だろうと想像するかもしれませんが、そうとは限りません。郊外の住宅地でも、地方でも、該当するところはある。だから、立地の見極めが重要になってきます。

同じ2380万円、若者はどちらを選ぶか?

不動産コンサルタント・長島修さん
 今年の公示地価は「下げ止まり」という報道が多かったようです。実際はどうか。売れないところはとことん売れずに、格差が広がっています。

 たとえば、全国で下落率がナンバーワンだったのは、地方ではなく、千葉県柏市のある住宅地でした。駅からバスで10分、そのバスの本数は1時間に2本。でも、町並みはすごくきれいです。木々もそろっています。1980年から85年にかけて作られた分譲住宅地で、当時、大企業につとめる課長さんが買うイメージでつくられました。

 区割りも大きく、80坪ほどのものもあります。でも、土地の大きさが売却をより難しくしています。大きいから、価格総額もあがってしまう。建物は立派ですが、よく言えばぜいたく、悪くいえば中途半端。3SLDKなので、4人家族が住めません。同じ年代の人たちが買ったため、住宅地全体に人の高齢化も起きています。

 若い人はそういう物件を買いません。すぐ近くで、30坪の新築4LDKが、同じ2380万円で売っている。「だったらこっちを買う方がいいよね」となります。

 こういう現象が、郊外ベッドタウンで起きている問題です。

駅から1分ごと、1平方メートル1万6000円下落

 さらに、駅周辺とそれ以外の価格格差も広がっています。たとえば、柏駅から1分離れるごとに、マンション価格がいくら下がるか。2007年は1平方メートルあたり6000円~8000円でした。ところが、17年は1万6000円に広がっています。駅近くは高くなり、離れれば離れるほど安くなる。この格差がますます広がっていきます。

  ある不動産物件検索サイトでは、5年前は「徒歩10分以内」の検索数が90%を超えていましたが、現在では90%近くが「徒歩7分以内」に縮まっているそうです。

 こうした現実を踏まえて、今ある不動産をどうすべきか考える必要があります。時の経過とともに、格差は広がっていきます。中長期的な意思決定のなかで、どう思い切れるかが問われていると思います。

長嶋修(ながしま・おさむ)さん プロフィル
不動産コンサルタント、株式会社さくら事務所創業者・会長。1967年、東京都生まれ。ポラスグループ(中央住宅)で不動産売買業務に携わった後、99年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『不動産調査さくら事務所(現株式会社さくら事務所)』を設立。以降、『第三者性を堅持した不動産コンサルタント』の第一人者として精力的に活動。メディア出演、著書多数。近著に「不動産格差」(日本経済新聞出版社)。

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