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空き家問題、深刻なのは都市部マンション 

リアル読者会議「これからの住まいと人生」

更新日:2017年09月05日

 朝日新聞Reライフプロジェクトが企画し、専門家を交えて読者同士が体験談を共有する「リアル読者会議」。7月のテーマは「住まい」で、東京と大阪の両会場で最も悩みが集中したのは「空き家問題」でした。空き家と言えば一戸建てのイメージが強いのですが、ゲストの専門家2人は集合住宅の課題を指摘します。朝刊Reライフ面で「住まい」の記事を担当した坂井浩和記者を聞き手に、不動産コンサルタントの長嶋修さんと建築家の石井健さんが語ったこととは……

管理状態が全く異なる2つのマンションが同価格!?

不動産コンサルタント・長島修さん
――マンションでは高齢化や大規模修繕などが今後、さらに課題となりそうです。

長嶋 空き家問題というと、今までは一戸建てのイメージでした。でも、これからの本当の空き家問題は、都市部のマンションです。人も建物も高齢化し、修繕積立金が足りないマンションが半分以上あります。3、4回目の修繕は満足にできない。みんなで50万、100万円ずつ出しあうか、ローン組んで返していくか。全世帯が同意しないと進めないのですが、現実には年金暮らしで払えない世帯も出てきます。結局、何もしない状態で、5年、10年たってしまうのが問題です。

 東京都渋谷区に、隣り合って建っている築45年のマンションがあるんです。左は修繕も管理状態もばっちり。もう一つは、去年やっと管理規約ができて、大規模修繕は1回もやったことない建物。どうみても、あとは壊れるのを待つだけという状態です。今この2つのマンションが同じ価格で売られています。(「えーっ」と会場から声があがる)

 マンションの管理状態をみんな、気にしないで買っているからです。でも、これが明らかになってくるのが今後数年だと思います。管理状態を冷静に見極めて、持続可能性がなさそうなら早く売った方がいいし、管理状態が良さそうだったら持っていてもよいかもしれない。ただし、それも立地あってのことです。不動産は、一にも二にも三にも立地です。

管理組合の議事録を見る 危ない物件はわかる

――管理状態を見極めるポイントはありますか?

長嶋 管理組合の議事録をみせてもらうのが一番ですね。「見せてください」と言って見せてくれるのは、今、10件に1件もない状態です。見せてくれるマンションは、自分の管理に自信があるということだから、それだけで評価が高い。

 見た目でも判断できます。エントランスまわりや、廊下・階段、ゴミ置き場、駐車場……。こういうところがだめなマンションはだめです。推して知るべし。汚いのに、管理されているわけがないのです。

あきらめて放置すれば、町が沈み資産価値も下がる

――集合住宅の管理、ほかにも何か見極める点はありますか?

石井 集合住宅って村みたいなもの。みんなで維持管理しないといけないけれど、タワーマンションなどでは上層階と下層階で価格差もあり、意識差もある。年齢も違うから「修繕して資産価値を上げよう」と言う人もいれば、「わしはもう5年しか生きないから、修繕はいらん」と言う人もいる。でも、みんなで協力することで全体価値があがるんです。いろいろな場面で考えることをやめると、船が沈んでしまいます。

 こんなこともあります。「うるさい」という理由で公園でボール遊びができなくなり、子どもが寄りつかなくなる。揚げ句の果てに「枯れ葉が出るから」と木も切ってしまう。結果、駐車場のようになることがあります。そうなると、子育て世代が引っ越して来なくなります。そのうち学校がなくなり、その町はもう「あがり」です。新しい人が入ってきませんから。

 「自分の家の目の前の木が邪魔だ」と言っていたことが積み重なっていくと、町が死んでしまい、スーパーも撤退し、いつのまにか家の資産価値が落ちる。特にマンションの場合、これからは全体価値を上げることが大事になると思います。

長嶋修(ながしま・おさむ)さん プロフィル
不動産コンサルタント、株式会社さくら事務所創業者・会長。1967年、東京都生まれ。ポラスグループ(中央住宅)で不動産売買業務に携わった後、99年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『不動産調査さくら事務所(現株式会社さくら事務所)』を設立。以降、『第三者性を堅持した不動産コンサルタント』の第一人者として精力的に活動。メディア出演、著書多数。近著に「不動産格差」(日本経済新聞出版社)。

石井健(いしい・たけし)さん プロフィル
建築家。株式会社ブルースタジオ執行役員。1969年、福岡県生まれ。日本のリノベーション分野の第一人者としてこれまで1000戸以上を手がけてきた。2012年度に「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で、2014年度に「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で、それぞれグッドデザイン賞を受賞。著書も『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』『リノベーション物件に住もう』など多数。

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