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子どもが住むかも…と期待 相続の「笑えない話」 

リアル読者会議「これからの住まいと人生」

更新日:2017年09月05日

 朝日新聞Reライフプロジェクトが企画し、専門家を交えて読者同士が体験談を共有する「リアル読者会議」。7月のテーマは「住まい」で、空き家問題から、終(つい)のすみか、リフォームまでさまざま悩みが東京、大阪の両会場で噴き出しました。特に盛り上がったのは、「実家の空き家と相続」の話。不動産コンサルタントの長嶋修さんと建築家の石井健さんが本音トークを繰り広げると、深刻な話ながら会場は爆笑の連続。親として、子として、家をどうするか――。参加者は身につまされつつ、苦笑するしかない展開となりました。Reライフ面で「住まい」の記事を書いた坂井浩和記者とのやりとりを紹介します。

実家の空き家、「1秒でも早く売った方がいい」

――実家の処分では、「子どもたちがいつか使うかも」と考え、踏み切れないという声もあります。

長嶋 実家をどうするか、選択肢は3つあります。売る、貸す、管理する。私の結論は「1秒でも早く売った方がいい」。仏壇があるとか、思い出があるとか、皆さんいろいろ事情があると思います。だから、情緒的なことを全部切り離して、経済合理的なことだけで言っています。

 空き家は、半年も放置すると、傷んで市場性がなくなってしまう。そのあとリフォームするといっても余計にお金がかかります。都心の一等地やよほど駅から近くでない限り、徐々に価格は下がっていく一方です。だから、いつか売るなら、今売ってしまった方がいい。

 貸すという選択肢はどうかといえば、投資対効果という話になります。何百万円のリフォームをして、それを何年で回収できるか。ある程度の家賃がとれるところでないと、成立しないでしょう。月の家賃が8万円だとすれば1年で96万円の収入です。100万円のリフォームなら1年で回収できます。そういう経済合理性を一度、つきつめて考えるとよいと思います。

 子どもが住むかもしれないということは、ほとんどのケースでないと思います。不動産はこれからどんどん選別されていきます。「誰もがほしがる」物件なら別ですが、「子どもが使うかも」というのは、資産性を毀損(きそん)するだけになると思います。

建築家ができること、できないこと

――リフォームをすれば良いのでしょうか? 多世代で住む難しさをどう解決すればいいでしょう?

石井 新築で4世代の家を建てたことがありますが、一番難しいのは、家というものがその人にとってどういうものなのかです。物理的な家というよりも、家族の毎日の暮らし。そこで、どういうコミュニケーションがとられるのかです。

 「お子さんが使うかもしれない」というとき、「息子さんに聞いたの?」と言うと、ほとんどの人が聞いてない。「相続のことも話してください」と言うと、「いや、うちのオヤジ、怒るな」ということが多い。でも、聞けばすむ話ですよね。相続のこと、お子さんと話してください。

 今日の会議でも、「自分の家が、自分の家が」という話が多かったようですが、暮らしは、家だけでは成立していなくて、駅前がどうなっているかとか、ご近所さん、公共のサービスとか、いろいろなことが関係しています。

 物理的なことは建築家にお願いして解決することが多いですが、暮らしは話し合いです。何度も家を建て替えた人は、一回ずつよくなる。今日も、「老人ホームは何度か住み替えてみないとわからない」と言っている方がいて、おもしろかった。コミュニケーションをとっていくことが大事だと思います。

長嶋 私たちの事務所には、30、40代の一時取得者が相談にくるのですが、皆さん一様に言うのは「将来どうしたらいいですかね。住む気はないんですけど。僕たちがマンションを買っちゃうと、一族としては不動産が余っちゃいますよね」という話。結局、将来どうしたらいいかを家族で相談していないんです。自身と前後の世代で、不動産とか財産の扱いについての話はしておいた方がいいですね。

相続の話は、誰が切り出すのが良いか

――なかなか言いづらい話だと思うのですが、切り出すコツはありますか?

長嶋 子どもからはなかなか言えない。「なんだ。死ぬこと期待しているのか」と言われるので、できれば親世代から言いたいですね。子ども世代から「実は相続なんだけどさ」なんて言ったら、むっとされちゃうでしょう。

――相続の本を置いておくのも、あからさまですしね。

石井 もめることはあると思うんですけど、もめるなら早いほうがいいですね。私の知り合いで、親の世代で相続をやめて でも、もめているうちに、また下の世代に相続になって、というケースもありました。下に行けば行くほど、もめる人たちは増えていきますから、どんどん収拾がつかなくなる。

 全部の相続の話をしようとすると、言いづらいし、もめる可能性がある。「オヤジ、いくらもってんだ?」って言ったら、それはもめますよね。だから、まず、「家がいる、いらない」をやるというのはありだと思います。不動産に限って「相続のこと考えたい」と言えば、話が進みやすいかもしれない。それからは、金融資産とか、なかには負債がある方もあるかもしれないので、そういう話もできるようになればいい。

長嶋 うまくいかないパターンは、次男の妻が晩年の介護をしたとか言い出して収拾がつかなくなるケース。だいたい、感情的な話です。そういう話を持ち出させないように、あらかじめ、親の側が決めてしまう方がいいと思います。

 認知症になってしまったりすると、最後まで手を打つことができなくなる。家族信託というのは、一つのやり方だと思っています。

――早め早めの対処が必要ですね。

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