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「新版画」の魅力発見、当時の職人同士の真剣勝負を見た 

読者会議メンバーが鑑賞した「新版画展 美しき日本の風景」

更新日:2018年09月04日

 「新版画」という美術ジャンルをご存じですか。大正から昭和初期にかけ、西洋画の技法を採り入れて発展した木版画のことです。版元の渡邊庄三郎が中心となり、浮世絵の再興をするとともに新しい芸術分野として創造されました。当時、欧米で盛り上がったジャポニスムの影響もあって川瀬巴水(はすい)や吉田博ら代表的な作家は、海外で高く評価されました。京都駅ビルの美術館「えき」KYOTOで開かれた「新版画展 美しき日本の風景」(2018年7月5日~8月1日)を鑑賞した読者会議メンバーの感想を、ここでご紹介します。


版画のイメージ払拭 繊細なタッチや色彩、まるで絵画
 会場内にいた子どもが「きれいな絵だね」と感想を母親に漏らしていた。私は心の中で「これは絵じゃなくて版画なんだよ」とつぶやいたが、子どもさんがそう見間違うのも当然なほど、筆で描いたように優しいタッチの作品ばかりだった。うっかりすると版画だということを私自身も忘れてしまうほど綿密に表現された「新版画」の魅力に引き込まれてしまった。(滋賀県 平地雅子さん 50代)

 驚くほど色彩豊かで版画だということを忘れそうな鮮やかで美しい色です。薄いピンクやブルーなど季節ごとに色を変えた壁のおかげで、猛暑も忘れ自分がその季節にいるように感じられました。つい、よく知っている美術に目がいきがちですが、自分の知らないジャンルにトライすることは面白いと再認識しました。幸せな美術展に出会えて感謝です。(岐阜県 安藤知里さん 50代)


日本の風景と空気感、海外でも伝わり嬉しい
 往々にして日本の文化・芸術は海外の方で高く評価される。近年では日本のアニメや漫画などがその例だ。ダイアナ妃が愛した吉田博の2作品をはじめ、日本の風景と空気感が表現された心に残る作品の数々を、もっと広く日本人に知って欲しいと思った。(大阪府 前川智子さん 50代)

 川瀬巴水(はすい)はもちろん、小林清親、そして私が知らなかった吉田博の作品をたくさん見ることができ、彼らのほのぼのとした画風は心を落ち着かせました。着物姿や馬車など当時の人たちの生活が垣間見られ優雅さを感じました。スティーブ・ジョブズやダイアナ妃が新版画を好きだったというのも面白いと思いました。日本の女性の美しさや風景を外国の人たちが認めてくれるのを嬉しく感じました。(奈良県 吉田智子さん 60代)


現代の印刷では再現できず
 展覧会では絵師、摺(す)り師、版元という流れによって作品が生み出される流れが把握でき、この微妙な色彩の変化を表現するためにどれだけの回数を摺り重ねるのか、ズレを出さない技術の精巧さなどに想像を巡らせ興味が深まりました。(滋賀県 藤原幹子さん 70代)

 「版画」の最大の特徴は、絵師が描いた絵ではなく、それらを摺師がすったものが完成品であるということである。絵師の感性と表現力が詰め込まれた原画を、自らの技を最大限に駆使し、忠実に再現しようとする摺師、それをさらに厳しくチェックする絵師。一つの作品の中に、職人同士の真剣勝負が凝縮されていると言ってもいいかもしれない。その微細な色は、現代の印刷技術では完全に再現しきれないものなのだと、会場を出て、ミュージアムショップのポストカードを見た時に驚きとともに実感したのであった。(兵庫県 田中由美さん 50代)

 関東大震災で住居を焼かれ、手元のスケッチすべてを失って失意のどん底にあった川瀬巴水に日本各地への旅を勧め、再び絵筆を取らせたことなど、渡邊庄三郎という人物のものすごいエネルギーを感じました。彼なくしては新版画というものは今日ここまで残ってはいなかったのではないかといっても過言ではない。一緒に行った夫も大変熱心に見入っておりました。(大阪府 東瀬戸のぶさん 50代)

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