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「違い」に向き合う姿、6組の親子に自らを重ねて 

映画「いろとりどりの親子」、読者会議メンバーの感想は……

更新日:2018年11月22日

 全米批評家協会賞を受賞するなど世界的ベストセラーとなったノンフィクション本「FAR FROM THE TREE」を原作とするドキュメンタリー映画「いろとりどりの親子」が11月17日から国内で公開されました。自閉症、ダウン症、同性愛など親と「違い」を持つ子どもとその親が、お互いが直面する困難に向き合う姿を記録した作品です。公開前の試写会に参加した読者会議メンバーの感想を紹介します。

(C)2017 FAR FROM THE TREE, LLC

H君 君が言葉を持ったら何を話してくれるの?」
 困難を抱える親子の語り。その姿は幸せに満ち、すがすがしい。それぞれの家族に魅せられている私がいる。
 学童クラブの指導員として、ダウン症、自閉症をはじめたくさんの子どもたちと出会って過ごしてきた。もちろん、「みんな違ってみんないい」「多様性が認められる社会」を目指し、共に育ちあう関係を大切に日々の保育に携わってきたつもりだった。だけれども、どこかにノーマルが幸せ、そこに近づけようとする自分はいなかっただろうか。
 彼らの語る様々な言葉が私の心に突き刺さる。低身長症の彼の「『僕が君だったら自殺していたと思うよ』って言った人がいるけれど、僕は不幸だなんて思ったことがない」という言葉や、LGBTのアンドリューがセックスカウンセラーにされた治療を「虐待」「暴力」と称した言葉に象徴される矯正や同情。そうじゃない、ありのままを受けとめ愛することで、人は輝き、幸せを感じるんだ、幸せの形は無限にあって良いんだ。そう強く感じ、救われている私がいた。
 今、学童クラブにいる言葉を持たない自閉の強いH君。君が言葉を持ったら何を話してくれるのだろうか。心に寄り添い、君のことをもっともっと知りたくなった。(東京都 星野まり子 60代)

「きょう知った6組の親子は特別じゃない」
 「全然わかってくれない」
 「ママは助けてくれない」
 「一緒にいたくない」
 「辛(つら)い」
 いつにも増して激しくこれらの言葉を投げつけられた日、試写会の案内が届いた。ギリギリで会場へ着いた私たちは離れた席で鑑賞していた。外からはわからないけれど普通ではない(いい意味で!!)娘は、連れてこられた映画が始まってすぐ泣いてしまったらしい。どうしてなのか自分でもわからないと言う。不安だったけれど、帰り路、「ちょっと、どういうこと」と言いながら娘は少し機嫌が良かった。
 あなたのことを理解したい。
 あなたの幸せを願っている。
 今日知った6組の親子は特別じゃない。
 私たちと同じだった。(東京都 斎藤晴子 50代)

(C)2017 FAR FROM THE TREE, LLC

嵐の中 暗い海 歩いている人に観てほしい
 息子が小学生の時、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断され、その後勉強がどうしても遅れがちになるので、あちこちの塾に入れたりドリルや参考書を使ったりしたが、成績は底辺ばかり。高校生の時、大きな事件をおこし、それを機に私は人と比べることをやめ、自分の理想としていた息子の将来像を捨てた。いま思うと、自分のものさしのようなものを手に入れたのだと思う。息子は自分で仕事を見つけ離れて暮らしている。
 その家族それぞれにドラマがある。嵐の中で子どもと歩いている人、暗い海の上を1人漂っていると感じる人にぜひ観てもらいたい映画だと思う。(東京都 笹島泰子 50代)

(C)2017 FAR FROM THE TREE, LLC

「個性」 複雑も美しく印象に残る「いろ」
 こんなにも深くて重い映画を観たのは初めてです。私自身も子どもに「お母さんはそうだったかもしれないけど、僕やお姉ちゃんは違うんだからね」と言われたことがあります。何歳になっても親子は親子だけど、それぞれの生き方があっていいはず。しかし、一歩離れたところから見守ることが、時には様々な葛藤があることを、もっと多くの人に知ってもらいたいと思いました。
 個性と普通ではないという言葉の響きの違いに悩むこともありますが、周りの人たちの様々な「いろ」を消すことなく、複雑ながらも美しく印象に残る「いろ」となりたいものです。ただ、この先、個性が都合よく解釈されて、身勝手、わがままが氾濫(はんらん)しないことも祈ります。(千葉県 市川真弓 50代)

「我が子を他の子と交換したいと願う親はいない」
 登場する6組の親子。自閉症児、ダウン症児、LGBT、低身長症、そして殺人犯。それぞれの「違い」は全く異なってはいるが、マイノリティーを個性として生きていく彼らには希望があふれている。
 「どんな問題があっても、我が子を他の子と交換したいと願う親はいない」
 障害があっても、いや「違い」があっても親子の愛は変わらない。どの例を取っても1本の映画が出来そうな症例を、あえて困難は控えめに、ポジティブにまとめて、見やすいドキュメンタリーになっている。(東京都 久保喜広 50代)

(C)2017 FAR FROM THE TREE, LLC

低身長症カップルの赤ちゃん誕生シーンに涙
 映画が始まる前の対談はとても興味深い内容でよかったのですが、映画自体は、あまり感情移入ができず、もやもや感が残りました。
 一つの理由として、6組の親子を登場させるために、一組一組の描き方が、不十分だったのではないかということです。その点はちょっと残念でした。ただ、その中でも、低身長症のカップルの話はとてもほほ笑ましく、描き方も優れていました。こどもの誕生を両親や家族とともに祝ってもらうシーンでは、思わず涙が流れました。見逃したところもあるかもしれませんので、もう一度公開の際に見直してみたいと思います。(東京都 松本典丈 60代)

ともに生き抜く笑顔と励ましの大切さ
 驚きましたのは、自閉症の子どもです。小学校に入ってからのいじめなどをうけた影響でなってしまう病と考えましたのに、2~3歳の子どもでもそうなってしまう実例を知らされショックでした。映画の中で、母親が自分のしつけに間違い? と悩み苦しむ姿をみて、彼女への同情心が起こりました。
 低身長の女性と両足のない障害を持った男性の結婚と出産の場面には感動しました。救われたのは、低身長の方々が病にめげずに元気に朗らかに生きておられる姿でした。障害を持って生まれた方々に同情でなく、共に生き抜く笑顔と励ましが大切であると知らされた映画でした。(千葉県 竹中孝夫 40代)

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考えさせられた「親子のつながり」
 本当に親子と言っても、子どもと親、または同じ親から生まれた息子と娘でもそれぞれ性格も違います。それでも親としては同じように愛情を注いで育てたつもりです。障害があるから嫌という親がいらっしゃるとは思いたくはありませんが、映画のように障害があるからこそ愛(いと)おしく思って一生懸命育てる親もあり、本当に一つとして同じ親子関係は無いと思います。ただ家族というものは距離があってもどこかつながっているところがあるのでは、と思います。そのときには許せなくても時間がたてば許しあえる関係が親子なのかもしれませんね。(東京都 古山英子 70代)

勝手に「可哀想」は偏見と痛感
 原作を読んでいなかったのでどのような家族が出てくるのか、どのような内容なのか全く分からない状態で拝見しました。
 冒頭のナレーションから「あるある」「いるいる」と言った感じで「分かる分かる」ではないですが、いろとりどりの子どもたちの特性は誰にでも思い当たる節があるのではないかと感じました。そして子どもたちを見守る家族の姿も特別なものではなく、子を思う親の気持ちは皆一緒だと思いました。
 個性を認め寛容さを持ち見守る姿勢の大切さ。勝手に「可哀想」だの「大変」だと思うのはとても失礼なことで、それこそが差別であり偏見で、障壁を作っているのは社会の方だと改めて強く感じました。本人が努力して改善するのではなく、社会の方が寛容さを持ち、それぞれの個性が認められ、皆が偏見や差別なく穏やかに暮らせていける日が来ることを願ってやみません。(神奈川県 太田操 50代)

(C)2017 FAR FROM THE TREE, LLC

他者との「違い」認め合える寛容さを
 いま、世界各地で人種や民族、肌の色、宗教、価値観、性的嗜好(しこう)といったものの「違い」による「排除」が進み、内向きのアイデンティティーが重視される傾向が強まっている。他人と「同じ」ことの連帯感や安心感に安住し、「違い」に「寛容」になれない社会はいさかいを生みだし、ひいては戦争へとつながる危険をはらんでいる。
 この映画は、「普通」と違うマイノリティーと言われる人たちにも、「人」としての価値や尊厳を認める優しく温かい目で作られている。世界の1人でも多くの皆さんがこの映画を観て、他者の「違い」を認め合える寛容で大きな心をもてるようになることを望みます。(神奈川県 小峰秋夫 60代)

「不寛容」な時代 いまこそ公開すべき 
 この世界的なベストセラーノンフィクションを原作にしたドキュメンタリーを観ると、家族とは、幸せとは、豊かな社会や国とはいかなるものなのかを改めて考えてみたくなる。
 そして、昨今世間を騒がす「同性愛カップルは生産性がない」という発言や、障害者雇用に関する不適切表現や水増し問題がいかに心根の貧しさに端を発したものであるのかを痛感する。
 作品に登場する6組の親子が艱難(かんなん)辛苦を経てたどり着いた「幸せのかたち」は様々で、だからこそ、それを受容する人々が作り出すコミュニティーに〝ユートピア〟を見てしまう。
 この映画は、世界的に〝不寛容さ〟が蔓延(まんえん)する今こそ公開すべき作品だと思う。(千葉県 矢口晶一 50代) 



映画「いろとりどりの親子」
2018年11月17日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開。93分/2018
(C)2017 FAR FROM THE TREE, LLC
配給:ロングライド
監督:レイチェル・ドレッツィン
原作:アンドリュー・ソロモン「FAR FROM THE TREE Parents, Children and the Search for Identity
音楽:ヨ・ラ・テンゴ、ニコ・ミューリー
2018年/アメリカ/英語/93分/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/原題:Far from the Tree/日本語字幕:髙内朝子

公式サイト longride.jp/irotoridori/

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