ReライフTOP読者会議最近の活動リポート

すべては子どもたちを守るために 戦時中の集団疎開秘話 

読者会議メンバーがみた映画「あの日のオルガン」

更新日:2019年02月22日

 映画「この日のオルガン」は太平洋戦争末期、若手の保母たちが子どもたちの命を守るため、53人の園児を連れて集団疎開を敢行した事実に基づく物語です。朝日新聞Reライフプロジェクトの読書会議メンバーが試写を鑑賞した感想を紹介します。

(C)2018「あの日のオルガン」製作委員会

多くの人たちが見守ってくれていた
 疎開した園児53人。オルガンの周りで歌い、野原を駆ける。おねしょ、アップリケの刺繡(ししゅう)。温かく守ってくれる両親、保母、近隣者。いつも守ってくれる人がいた。両親、保母の愛。泣けた。
 昭和のあの頃が鮮明によみがえってきます。そうです私たちが育った時代なのです。父や母や多くの人が私たちを守ってくれたから今の日本がある。
 戦前、戦後の生まれの人も、もう一度昔のことを振り返ってみませんか。
 主演の戸田恵梨香、大原櫻子は「未来ある子どもたちを守りたい映画」「いや、絶対に見なければならない映画です」と語っています。(神奈川県 太宰慶二 60代)

(C)2018「あの日のオルガン」製作委員会

貴重な体験 時空を超えて共有する
 主役は保育園児たちだ。その素晴らしい演技力に驚かされた。オルガンを弾き、子どもたちと歌い、子どもたちを従え、まるでガキ大将のように走り回るみっちゃん先生の演技も秀逸だ。子どもたちの、みっちゃん先生の笑顔に、見ている人の多くが救われたと思う。ナレーションも時代の雰囲気にマッチしていた。
 ストーリーの終盤、映画館のあちこちから、すすり泣く声が聞こえてきた。うらやましかった。まるで保母の楓先生の「怒り」が伝染したかのように、私は泣けなかった。これは泣ける映画ではない。時空を超えて一つの貴重な体験を共有する映画である。アン・サリーの主題歌も良かった。(神奈川県 半田淳子 50代)

(C)2018「あの日のオルガン」製作委員会

「天使」を知り こころ温まる
 「その日の天使」は、気づかないだけで身近にいるそうです。駅員だったり、売店のオバさんだったり……。太平洋戦争末期、東京の下町の保育所に、幼い園児を空襲から守るために、埼玉県に集団疎開して、身を粉にして尽くした若い保母の「天使」がいたようです。実話だそうで、この映画で、そのことを初めて知りました。映画を見て心が温かくなりました。(埼玉県 横山光男 60代)

(C)2018「あの日のオルガン」製作委員会

映画が教えてくれた父の疎開時代の苦しさ
 私の父は小学5年生の時に、疎開先の山形県瀬見(現・山形県最上郡)で終戦を迎えた。空襲の危険は低くなっても、育ち盛りの子どもにとって寂しさと空腹は何よりもつらかったようだ。「どうしても空腹に耐えられなくなった時は、松ヤニをガムのようにかむんだよ」と聞いた時は絶句した。
 「卒業を控えた小学6年生が進学準備で帰京し、その3日後の東京大空襲でほとんどが死んでしまった。一年早く生まれていたら、俺も死んでいただろうし、お前もこの世にいなかったろうよ」。私には衝撃の話だった。
 父も母も祖母も、「この公園の下にはたくさんの死体を投げ入れて、仮埋葬したんだよ」「ここは逃げられなかった人が何人も重なり合っていてね、どんなに苦しかっただろう」と、車で通る度によく言っていた。「今の平和は、このたくさんの犠牲の上に成り立っているんだよ」が必ず続く言葉だった。
 映画で知った「戸越保育所」の仲間と疎開先で開いた「疎開保育園」の話は、父の疎開話を聞いていた私には、伝聞を裏打ちするものだった。もちろん実際の疎開より柔らかい表現だったろうが、配給が大根しかない、来る日も来る日も大根を食べる話は、私も聞いたような気がする。
 父は同級生に何度誘われても、決して瀬見には行かなかった。あまり語りたがらない疎開時代の、本当の苦しさを感じた。
 疎開していた子どもたちも、もう85歳くらいだろうか。戦争を知らない日本人が増えていく。どうかたくさんの人がこの映画を見て、自分の周りの戦争を知る最後の世代にその体験を聞いてほしい。日本が二度と悲惨な戦争の当事者にならないために。(千葉県 桑原里香 50代)

(C)2018「あの日のオルガン」製作委員会

これこそ教育の場の生きた教材に
 戦後70年以上が経つ中、戦時中の出来事が、事実に基づきながら、優しい女性監督の目で、心をこめて丁寧に大切に作られています。自分の身を守るだけでも大変な若い女性たちが、子どもたちの命を守るために、疎開しようと考えて実行する。たくましく使命に満ちた行動力には、ただただ頭が下がり、これこそ真の教育者の姿だと思いました。
 映画を見なければ知らなかった事実であり、映画化されたことに感謝します。この映画を、小学校、中学校、高校など教育の場で上映したら、生きた教材になるのではと思います。
 「人生で一番怖かったのは、空襲のパラパラ、サラサラと爆弾が降ってくる音だった」と、戦争中に10代だった亡き母が、80歳を過ぎても涙を浮かべながら語っていたことを思い出しました。(東京都 落合裕子 60代)



監督・脚本:平松恵美子
出演:戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣ら


 2019年2月22日(金)より全国ロードショー。119分/2018
〈公式ホームページ〉https://www.anohi-organ.com/

Reライフスペシャル

関連記事

最近の活動リポートの関連記事

PAGE TOP