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思い出胸にランウェーに登壇 大人の振り袖ファッションショー 

「東京キモノショー2019」にReライフ読者会議メンバーがモデル登壇

更新日:2019年05月10日

 東京・日本橋で開かれた「東京キモノショー2019」(5月2日~6日開催)で5月4日、Reライフ読者会議メンバー7人が「大人の振り袖ファッションショー」にモデルとして登壇しました。きものと自分の思いを重ね合わせ、その年齢に合わせたコーディネートでランウェーをさっそうと歩きました。

華やかな振り袖姿でランウェーに登場しました。(写真提供・東京キモノショー2019実行委員会。以下同)

 「還暦」を人生の節目ととらえ、新しい生活に踏み出していく女性を応援するためのイベントです。振り袖は未婚者の第一礼装ですが、既婚者でも還暦前後に改めて振り袖を着ることを新たなファッションととらえ、「きものと自分の人生のストーリー」を表現してもらいました。

振り袖姿は千紅万紫、きものの思い出にほろり。

 静岡県在住のフリーランス・斉藤淳子さん(48)はあでやかな真っ赤なのめし柄の十日町友禅で登場。ひときわ会場の注目を浴びました。

静岡県 斉藤淳子さん(48)
 「髪の毛がなくても、できることはたくさんある。それを知ってほしくて応募しました。同じ参加者のみなさんも最初は私に話しかけづらかったかもしれませんが、当日に着付けをすると『きれいだね』と次々に声をかけてくださるし、ステージ上ではとっても気持ちがよかったです」

 生まれつき髪や眉毛など全身の毛がない「汎発性脱毛症」の斉藤さんは、「髪がなくてもいきいき生きるとは」をテーマに各地で講演活動などをしています。

 「私を見てもらうことで、特に髪の毛のないことで悩んでいる子どもたちに、自分を表現することでキラキラできるんだよって伝えたい」と話してくれました。


神奈川県 久保晴美さん(63)
 神奈川県在住の久保晴美さん(63)は、18歳の頃に自分で購入した、松に向(むか)い鶴柄の京友禅の振り袖で登場。

 「親を驚かせたかった私は15歳からお小遣いやお年玉をずっとためて自分で振り袖を買いました。そんな自立心の強い性格だと思っていましたが、本番ではあがってしまいました。そんな自分を再発見した貴重な体験でした」

 そんな様子を会場で見守っていた夫の孝男さん(69)も緊張気味。「妻の振り袖姿は、約40年前の結納のときに見て以来。あの頃の思い出がよみがえりました」。


東京都 中村さおりさん(51)
 成人式で着て以来の赤い京紅型の振り袖で登場したのは都内在住の中村さおりさん(51)。

 「実は振り袖をずっと着てみたかったんです。今日は2回目の成人式のつもりでウキウキした気分でした」

 今回のモデル募集に当選したのを機に、就職活動を再開。1級建築士の資格がある中村さんは都内の事務所に採用が決まったそうです。人生の節目になった今回のショー出演について、「人生を一歩踏み出す勇気をもらえたました」と話しました。


 企画・運営した高橋和江さん(たかはしきもの工房)は、「昔の振り袖は上質なものが多く、今の時代に合う形でよみがえらせることができた」と手応えを感じたそうです。

 高橋さんは「きものには両親への感謝やぬくもりなど、それぞれの物語がある」としたうえで、「でも、それを言葉にしてみたり、行動に起こしたりしないと、わからないものです。準備が大変だったと思いますが、この間は思い出をかみしめる時間になったことでしょう。コーディネートにはこだわりましたが、みんなさんすごくすてきな姿で私の想像以上でした」と話しています。

最後は参加者全員で記念撮影。

 以下はショーで紹介された参加者のナレーションです。


結城ゆかりさん

東京都 結城ゆかりさん(55)
  次女にはわたしの成人式で着た総絞りの振り袖を親族の結婚式などで着てもらう機会もあり、写真に残すことができました。

 母娘でおそろいの振り袖の写真を並べると感無量です。30年のへだたりがあるにもかかわらず、おきものはやはり輝きを失うことはありませんでした。あらためてわたくし自身の親にも感謝の念がふつふつと思いおこされました。

 母がわたくしの成人式の写真と次女の振り袖の写真を並べて見たときの、あのうれしそうな顔が忘れられません。

 今回はこんな思い出からも長女の振り袖が実はわたしの理想の振り袖であったのだということにも気づかされ、ぜひ娘の振り袖の写真とわたくしの振り袖の写真を並べてみたいと思いました。きっと、負けていないと思いますよ。おきものを愛しまとうことの喜びは、この年になったからこそ、より表現できると思いますから。


粟野稚子さん

東京都 粟野稚子さん(54)
 成人式の前日、水の飲み過ぎで当日は顔がむくんでいて、とても人様にお見せできるような振り袖姿ではありませんでした。あまりの息苦しさに式が終わったあと、さっさと脱いでしまって、母をがっかりさせてしまったのを覚えています。

 しかも、20代後半で渡米したため、母が仕立ててくれたこの振り袖に袖を通す機会も少なかったのです。でも、アメリカにいたからこそ着物の美しさ、特に成人の証しとしての振り袖の厳かでかつ上品な美しさを再認識しておりました。

 50歳を過ぎて熟年再婚をし、20余年住んでいたアメリカから日本への永久帰国をしたので、再婚相手にも振り袖姿を披露して、この結婚に賭ける意気込みを見せたい気持ちでこのステージに立っています。


本郷和佳子さん

宮城県 本郷和佳子さん(60)
  この振り袖は余裕がないなか、私の姉がめいのために買ってあげた大切な着物です。そして我が家の娘も成人式には、やっぱりあのモスグリーンの振り袖が着たいと言い、2人で髪形を決めたり、帯締めや帯揚げを選んだりして、それはそれは楽しい成人式を迎えることができました。

 私たち家族の思い入れのある振り袖です。それ以来着ることがなかった振り袖を還暦の私が着ることになるなんて驚きですが、本当にうれしいです。昨年還暦を迎えました。母子家庭で、子育てがやっと終わり、これから自分自身を生きようといろいろチャレンジしています。

 私は長年ブライダルのフローリストをしておりますが、和装婚が好きで着物素材を使ってブーケを作っております。今日はそれを手にランウェーを楽しみます。


藤田佳鶴子さん

神奈川県 藤田佳鶴子さん(55)
  約2年前、さしたる相談もなく主人は早期退職に手を挙げました。ひとり娘の大学受験の年でもあり「まだ早いのでは?」と尋ねますが、聞いてくれませんでした。

 何でもひとりで決める夫、伴侶として認めてもらえてない気がして、「ちょっと惚れ直して欲しい!」が応募の動機です。この振り袖は、尊敬する先輩から娘のためにいただき、和裁を習っていたので、先生に教わりながら私自身で仕立て直しました。

 裄(ゆき)を出すのに肩に日本刺しゅうを足したり、母の嫁入り襦袢(じばん)を振りに使ったりと思い入れたっぷりの一枚になりました。


久保晴美さん

神奈川県 久保晴美さん(63)
 「自分で買った、人生で最初の高価な買い物」です。自立心の強かった私は、成人式の晴れ着は自分で選んで自力で購入し、両親に感謝の気持ちを表したいと考えていました。

 早くから計画を立て、時間をかけて振り袖を探した思い出がよみがえってきます。その後の人生も自分の考えを見失わずに過ごしてこられたように思いますが、新しいことにチャレンジするモチベーションを持ち続けるのは難しいものですね。

 そんな時、大人としての第一歩を共に踏み出してくれた振り袖を、還暦からの第二のスタートの晴れ着として再登場させるという発想に、目の前が輝いてみえました。これから先、このような文化が根付いてくれば、女性の年の重ね方に夢と希望を与えてくれるのではとワクワクしています。


中村さおりさん

東京都 中村さおりさん(51)
  私のシックな色合いで大胆な柄の紅型振り袖は、亡き祖母が準備してくれたものです。祖母は私が長身なので、おさがりももらえないと心配し、訪問着、色無地、小紋、喪服などもあつらえてくれました。自分で着物を着るようになったのは子育て中の40代。

 大好きな振り袖をもう一度着てみたくて、「お袖を切って50代の私が着るのはダメですか?」と相談したほどです。大人の振り袖ファッションショーの、「新しい生活を踏み出す女性を応援」という言葉に強く引かれ応募しました。

 私自身も子供が成長し新しい生活への転機の時期を迎えており、一歩を踏み出す勇気が必要なタイミングで、あの世からきっと祖母も見てくれていると思うと、とてもうれしいです。


斉藤淳子さん

静岡県 斉藤淳子さん(48)
  19歳の秋、がんで入院、そして手術、抗がん剤の治療と季節がうつろい、1月の成人式を迎えました。体調は最悪で顔はむくみ、写真館で撮影した写真は、その時の状況を思い出すので、後にも先にも見ることはありません。ただ記憶の中に、秋色の振り袖を着た私を見て、ほっとしている両親の顔を思い出します。

 私には髪の毛がありません。背景は様々ですが、「髪は女の命」といまだに言われるなか、心を痛め、そして心を閉ざしてしまう方を多く見てきました。私は現在、「髪がなくてもいきいきと生きるとは」をテーマに講演会などでお話ししています。

 海外にも、髪のトラブルを抱えた方がいらっしゃいます。多様性が求められるなか、振り袖を通して精いっぱいの自己表現し、日本のみならず、海外との架け橋になりたいです。今日は堂々と振り袖を着こなします。

■東京キモノショー2019
[開催期間]2019年5月2日~6日
[会場]日本橋三井ホール
[主催]東京キモノショー2019実行委員会
[共催]一般社団法人きものの未来協議会
[後援]朝日新聞社
[URL]http://tokyokimonoshow.com/


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