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認知症になるってどういうこと? その時家族は? 

読者会議メンバーがみた映画「長いお別れ」

更新日:2019年05月24日

 朝日新聞Reライフプロジェクトでは、読者会議メンバーを映画の試写会にご招待し、鑑賞後に書いていただいた感想を紹介しています。今回は、直木賞作家 中島京子の同名原作を映画化した作品。認知症になり、ゆっくりと記憶を失っていく父とその家族との、お別れまでの7年間を描いた感動作です。

(C) 2019『長いお別れ』製作委員会 (C) 中島京子/文藝春秋

父の気持ちに触れる思いでした
 これは他人事なんかじゃない。この物語のあれもこれも我が家のことだ。そう思いながら見ていました。
 「だんだんね、いろんなことが遠くなっていくんだよ」というセリフを聞いて、あぁ、実家の父はこんなことを思っていたのだと、父の気持ちに触れる思いでした。
 未来に向かうのではなく、過去に向かってどんどん加速しながら進んで行ってしまう父。それを一緒に焦り、悲しみ、苦しむだけではなく、長い時間をかけておわかれできるステキな機会をいただけたのだと思える、そんな映画でした。深刻なはずのテーマを、温かい愛情と笑いのオブラートにくるんでくれたので、観賞後はホッとして、温かい気持ちで帰ることができました。(東京都 杉田はるみさん 50代)

(C) 2019『長いお別れ』製作委員会 (C) 中島京子/文藝春秋

心に優しく暖かな炎を灯してくれる映画
 人が最後に帰る場所はどこだろうか。記憶が失われても、心の奥底で「生きる力」を支えている人を愛する気持ちは、失われることはないのだと思う。人は、そんな心の故郷へ帰りたいのである。
 現実の故郷の家は、親兄弟から、甥や従兄弟の代になると自ずから遠くなってしまう。
 父親が認知症を発症したことをきっかけに、母親の呼びかけにより、離れて暮らす娘たちが戻って来た。バラバラになりかけていた家族が、再び気持ちをひとつにし、絆を強くして行く姿にはほっとさせられた。
 保身や損得でものを考え、家族がバラバラになり、故郷も失いかけている虚しさ漂う世の中にあって、心の中に優しく暖かな炎を灯してくれる作品だと思う。(東京都 中山雅視さん 60代)

(C) 2019『長いお別れ』製作委員会 (C) 中島京子/文藝春秋

出演者のコミカルな演技にホッと
 題名から、見る前は重い内容なのかなと思いましたが、松原智恵子さん、竹内結子さん、蒼井優さん、そして山崎努さんの演技にコミカルさがあり、ホッとしました。とは言え、少しばかり介護を美化してるような、軽さも感じました。
 私の母親は要介護(1ですが)、記憶が斑になり、警察のお世話にも2回ほどなりました。そんなわけで今回は、映画の中に何か発見があるかなと思って応募した次第です。やっぱり長く連れ添った伴侶がいるかいないかで違うな、子供では無理なのかなと痛感しました。
 劇中、実家からの帰路の場面で山埼さんが松原さんに「結婚してくれ」と言ったシーンがベストでした。ありがとうございました。(東京都 集貝光男さん 50代)

(C) 2019『長いお別れ』製作委員会 (C) 中島京子/文藝春秋

認知症とは、忘れてはいけない過去と向き合うこと?
 「長いお別れ」とはどういう意味なのかと、上映中ずっと考えていた。その意味は、映画の後半で明らかとなるのだが、アメリカでは認知症の事を「ロング・グッドバイ」と呼ぶのだという。さすがは実利主義のアメリカ人という印象を強くしたが、稲作農耕民族である我らが日本人にとってはどうだろうか。
 それが最も象徴的に描かれていたのが、山崎努さん演じる認知症になった父親が、数十年前に妻や娘達と行った遊園地へ傘を持って行くシーンである。結局、妻たちがGPSを使って探し当てた父親は、当時と同じ年恰好の子どもたちとメリーゴーランドに乗って、微笑んいるのであった。
 認知症は、忘れていた過去や、忘れてはいけない過去に再び向き合わせてくれるのだという事を教えてくれる「良質な映画」だと思う。(東京都 佐藤照彦さん 60代)

(C) 2019『長いお別れ』製作委員会 (C) 中島京子/文藝春秋

認知症になっても残る、お父さんの優しさに泣けた
 全体的に笑い有り涙ありの、ほのぼのとした映画でした。悲しくないのが良かったかな、と思いました。山﨑努さん演じるお父さんが、イメージ的に自分の父とも重なり、感慨深いものがありました。真ん中少しまではゆったりとした日常の風景が描かれ、遊園地の場面にはお父さんの元々の性格であろう責任感が良く表れていて、一番盛り上がりました。お祝いの時の山高帽も、全体のエッセンスになっていました。
 今まで毅然として、いつも元気だった父が歳を取り、自分の身を以て歳を取るということを子供に教えてくれているんだなぁと、つくづく感じました。認知症になっても、このお父さんには思いやりなど優しさが残っているところは、本当に泣けました。その人間本来のもの、天性は失われないんでしょうか。
 一緒に観た友人も話していましたが、この映画の配役で良かったのは、松原智恵子さんがとっても可愛らしいお母さんだったということ。可愛いお母さんが家族のバランスを取っていて、とても愛を感じ、観ていて安心感がありました。孫息子君の存在も大ですね。長女演じる竹内結子さんの夫婦は、映画の中の見え方として、夫婦の距離感に今ひとつ違和感を感じました。仲が良くないなりに、今ひとつしっくり来なかったというか。
 映画の中で、7年という長い時間が良く描けていたと思います。今、自分が直面している親との関係も、改めて考えさせられました。有難うございました。(東京都 木村良子さん 50代)



2019年5月31日(金)より全国ロードショー。127分/2019
監督:中野量太 原作:中島京子「長いお別れ」(文春文庫刊)
脚本:中野量太 大野敏哉
出演:蒼井優 竹内結子 松原智恵子 山﨑努
〈公式ホームページ〉http://nagaiowakare.asmik-ace.co.jp/

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