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教師と元教え子。思いがけない再会で動き出す物語の行方は 

読者会議メンバーが観た映画「泣くな赤鬼」

更新日:2019年05月31日

 朝日新聞Reライフプロジェクトでは、読者会議メンバーを映画の試写会にご招待し、鑑賞後に書いていただいた感想を紹介しています。今回は、教師と生徒の関係を描き続けてきたベストセラー作家・重松清が、「特に教師濃度の高い作品」と語る同名の短編小説を映画化した感動作です

(C)2019「泣くな赤鬼」製作委員会

涙が止まらなかったラスト
 前半こそ平凡な展開でありきたりなストーリーだと思わせるが、後半は赤鬼とゴルゴの、それぞれの葛藤が浮かび上がってくる。お互いに求め合うがすれ違う心。それが、この映画のメインテーマだったと思う。
 自分に置き換えてみると赤鬼の親心も分かるし、ゴルゴの甘えも分かる。熱い赤鬼の心情を控えめな演技で表現する堤慎一。柳楽優弥は、ナイーブなゴルゴの心情を自然に表現していた。最後は、やはり涙が止まらなかった。(東京都 松本喜久代さん 50代)

(C)2019「泣くな赤鬼」製作委員会

前向きな気持ちにさせてくれる映画
 子どものころに出会い、今も好きなものの一つに「泣いた赤鬼」(浜田廣介著)という物語がある。このたび「泣くな赤鬼」という映画が封切られると聞いて、それはきっと「泣いた赤鬼」へのオマージュに違いないと楽しみにしていた。その予想は外れたが、がっかりすることはなかった。何せ、見ている最中から涙が出て、かわいそうに、気の毒にと、物語に引き込まれたくらいだからだ。
 悪い人が出てこない。でも、それぞれが傷ついて、なんとも切ない。やりきれない。だったら、もっと今をしっかりと生きていこうと、前向きな気持ちにさせられる、なんとも不思議な力のある映画だった。(東京都 野見山肇 50代)

(C)2019「泣くな赤鬼」製作委員会

努力すれば誰でもレギュラーになれるんですか? という問いの答えは?
 泣ける映画との前宣伝が派手すぎたせいか、熱血教師と、はぐれた生徒、さらにはその彼の不治の病という組み合わせから想像できる予定調和の展開にのめり込めなかった。むしろ主人公の生徒が放った「努力すれば誰でもレギュラーになれるんですか?」という、世の中の不条理を突いた一言に熱血教師がどう応えるかに興味を引かれて見守ったが、答えは出ずじまいであった。
 自分としては補欠部員も含めて、当時熱血教師に鍛えられた野球部員仲間が主人公の病床に集まり、彼を青春の一時期を一緒に熱く過ごした仲間として認め、それに対し彼が感動する場面を期待したのだが・・・。(東京都 光行進さん 60代)

(C)2019「泣くな赤鬼」製作委員会

学生時代の自分に重なりました
 重松清氏の作品はよく読むので、とても楽しみでした。最初から最後まで一貫して流れる淡々とした雰囲気に、遠い学生時代を思い出しました。
 ドラマの様なキラキラした事などないまま、毎日同じ事を繰り返していく中で、悩み、迷いながら進んだり、立ち止まったり。日常は淡々と過ぎて行き、自分はまだ何者でもないと落ち込んでいたころの気持ちが、 "僕はここにいるけど、僕はいずこにいるのだろう?"という主題歌の歌詞と重なって、胸が熱くなりました。
 身近な人の死は悲しいけれど、それはただ悲しいだけではない。彼が懸命に生きた姿を目の当たりにして、自分はどうなのかと省みる機会をもらえるのだと感じました。後悔するのでなく、出来たことをかみしめて、楽しい人生だったとニンマリ死ねたら・・・と、考えながら生きて行こうと思います。(千葉県 上白土千穂美さん 50代)

(C)2019「泣くな赤鬼」製作委員会

丁寧に描かれたあの時代の空気
 とにかく心優しくも不器用な人達である。
 人を思う気持ちが、空回りして散りじりになる。有能な生徒のやる気を厳しい態度で引き出したい赤鬼先生と、ただただ野球を楽しみたくて先生のやり方が理解出来ない少年。そんな二人がすれ違う様が丁寧に描かれた映像からは、ブラウン管のテレビ、扇風機、野球場の暑くジリジリ焼けた土といった、なんともアナログで効率とはほど遠いけれど、何事にも本気でいられた気がしたあの時代の空気があふれていた。
 かつて挫折した少年は大人になり、赤鬼先生に対する親愛感が先生の固まった気持ちをゆっくり溶かしていく。変わっていく先生の心のひだが、その表情に見事に表されていて思わず見入ってしまった。
 自分も、親しかった友人をガンで亡くした。その時の悔しい気持ちが、映像に重なっていく。教え子の思いが同期の友に、そして赤鬼先生につながれていくのが救いであった。またバットを手に取るようになった先生。本気だから怒るんだ。心から振り絞る声が耳に残る。今、僕らは怒れない時代にいる。(神奈川県 栗林幸彦さん 60代)



2019年6月14日(金)より全国ロードショー。111分/2019年
監督:兼重淳 原作:重松清「せんせい。」所収「泣くな赤鬼」(新潮文庫刊)
脚本:上平満 兼重淳
出演:堤真一 柳楽優弥 川栄李奈 麻生祐未 キムラ緑子 竜星涼
〈公式ホームページ〉https://akaoni-movie.jp/

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