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そして何度も見入ってしまった 国宝「曜変天目茶碗」 

読者会議メンバーが観た「国宝の殿堂 藤田美術館展」

更新日:2019年06月24日

 世界屈指の⽇本・東洋美術コレクションを所蔵する藤⽥美術館の名品を一堂に展示した特別展「国宝の殿堂 藤⽥美術館展」(奈良国⽴博物館)を鑑賞した朝⽇新聞Reライフプロジェトの読者会議メンバーの感想を紹介します。


 気の済むまで楽しむ名品の「景色」
 桜の残る奈良公園で、楽しんで参りました。あまりに身近すぎてその存在を見過ごしていたコレクションの見事さに、不明を恥ずかしく思いつつ堪能しました。
 2年前の東京国立博物館の「茶の湯」展、最後のエリアは「プチ藤田美術館」でした。藤田香雪翁が日本の代表的なコレクター4人のひとりとして選ばれての展示で、大阪育ちとして本当に誇らしくて。
 完成品は日本に3腕しかない話題の国宝、曜変天目茶碗(ちゃわん)も見ることが出来ました。
 東京国博物館で見た曜変天目はとっても派手で目ぢからフルパワー、家光時代の江戸城にぴったりと思わせました。対して藤田美術館蔵の曜変天目。派手地味というのではなく、うーん、「不思議ちゃん」と言ったら失礼でしょうか。そんな風に呼びたくなる魅力の一品でした。
 模様がちょうど3分の1ずつ違うので、ぐるぐる回すとどんどん景色が変わるのです。
 きっとその時々の主、あるいは客は、好みの向きを求めて、手で回しながら楽しんだに違いありません。
 手に取ることの許されない私たちは、展示ケースの周りを自分がぐるぐる回ってマイベストポジションを見つけようと頑張るのです。とはいえ、逆行は許されないので、一周し終わってしまったら、そのまま列の背後から、気の済むまでぐるぐるぐるぐる……。さらに、混み具合に差があるので、空いている時にすかさず並び直してぐるぐる……。
 他にも心に残るものはたくさんありましたが、ひとつ上げるなら玄奘三蔵の絵巻物でしょうか。人物の表情の豊かさに、見ているこちらも思わず百面相をしてしまいました。
 半日のつもりが結局閉館まで、館内をぐるぐるぐるぐる。充実した一日でした。(奈良県 上川みどりさん 60代)

 「宇宙 天の川」ほうふつとさせる 
 大阪・藤田美術館へはかなり以前に訪れたことがあり、曜変天目茶碗(ちゃわん)はその時に実見しました。その際は、もっと小さなケースでしたので間近に、かつ上から見たので内部の模様がまさに宇宙を感じさせるものだったことを覚えています。
 今回はケースが少し大きく遠めにはなりましたが、ぐるっと一周でき、かつ解説映像もあって分かりやすく、また細かな傷なども分かり、さらにしっかり見学できました。やはり、「宇宙、天の川」をほうふつとさせる希代の名品です。他の2品は実見したことがありませんがこの藤田美術館のものが最も宇宙を感じさせる模様になっていると思いますし、そう見えました。同伴したつれあいも小生同様に素人ながら「天の川」を感じたと言っておりました。
 天目以外にも藤田美術館の所蔵作品の全貌(ぜんぼう)を垣間見ることが出来ました。私は「亀」にはまったく反応できず、他の茶碗もさほど感じませんでしたが、藤田伝三郎が事業家であるとともにコレクターとして幅広くかつ深い力量を持っていたことはよくわかりました。
 曜変天目の展示で唯一気になったのは茶碗の外側が暗くてまったく見えなかったことです。小さなLEDを使って、一方向だけでも照らせば外側も見られたのにと残念に思いました。再び藤田美術館に戻り、次の展示機会にも必ず行きたい。それだけの逸品です。(島根県 大國晴雄さん 60代)

 鮮やかさ 美しさ 迫力 そして鳥肌
 平日の朝10時なのに超満員の奈良国立博物館。まさに人、人、人だらけ。奈良に住んでいるのに、今まで国立博物館に行くことがなかった私。大げさな言い方をすれば、正直人生を損していました。
 行くまでは「しょせん、茶碗(ちゃわん)だろう」程度の軽い気持ちでした。見るのに1時間以上はならびました。見た瞬間、色の鮮やかさ、美しさ、迫力、一瞬にして鳥肌が立ちました。ある程度、博物館に行くまでに資料やネットで下調べをしましたが、実物を目の前にしたときの驚きと感動と喜びは、言葉にならないくらいの気持ちにさせてくれました。歴史があるこの奈良県に住んでいることが誇らしいです。今回、価値のある経験をさせてもらい本当にありがとうございました。(奈良県 福田大輔さん 30代)

 醸し出した吸い込まれるような妖しさ
 藤田美術館は、昨年から休館されていて、今度見られるのは、何時になるだろうと思っていたので、奈良国立博物館で開催された特別展は、思いがけない喜びでした。
 曜変天目は、小部屋の中で一椀(わん)だけ、薄暗いライトに照らされており、お茶碗(ちゃわん)そのものが、小宇宙といった感じで、吸い込まれるような妖しさを醸し出していました。対になっている天目台も別に展示されていて、とても興味深かったです。また、仏教美術品の仏画、仏具など、宗教から派生した物が、信仰と共に芸術に高められていったことを知りました。
 藤田伝三郎氏が、海外流出を食い止めるため、私財をなげうったからこそ見ることの出来た品々を拝見し、これを日本で見られる幸せを感じました。(愛知県 戸田史恵さん 50代)

 銀河のように無数に光る小さな点
 普段はさほど混雑しない奈良博だが、さすがに曜変天目なので行列必至と聞き、早朝の新幹線で駆け付けた。開館約30分前に到着し、幸い開館と同時に曜変天目に対面できた。
 斑文が輝いているが、瑠璃色と言われる光がまるで茶碗全体から発しているようだ。それも輝くというよりは妖しい光を発しているように感じられた。それはこの文様を再現することがいまだにできず、世界でわずか3点しか存在していないゆえんからか。
 土と釉薬(ゆうやく)と炎(熱)のどんな相互作用でこの茶碗が誕生したのだろうか? は謎のままでよい。じっと見ていると宇宙の中の銀河のように小さく光る点も無数に見えてきた。この斑文と点のコラボもすばらしかった。この茶碗でお茶をのんだ客人はどんな感想を持ったのだろうか? いや茶席の主人はこの茶碗のあまりの美しさに恐れをいだいて、茶を点(た)てることはできなかったのだろうと、勝手な想像をした。 (愛知県 芥川憲一さん 70代)

 素晴らしい名品の数々を一度に
 藤田美術館にこれほど多くの国宝、重要文化財があるとは知らなかったのですが、素晴らしい名品の数々を鑑賞できました。特に今回の目玉展示の「曜変天目茶碗」は特別コーナーで間近で見るために30分も並びましたが、光に映えて宇宙のような模様が大変良かったです。他の仏像、絵巻、漆工芸品なども一度にこれだけのものを見られるのは貴重でした。(奈良県 西尾誠裕さん 60代)

 美しいまだら模様にうっとり
 主目的はもちろん、朝日新聞紙面などでも特集されていた「曜変天目茶碗」の鑑賞です。想像はしておりましたが、茶碗まで続く長蛇の列。これが想像を膨らますよい時間となり、いざ拝見!
 美しいまだら模様は、写真で見るよりもグッと引き込まれるような不思議な色、薄暗い演出と相まって、銀河を内包するかのごとく美しい茶碗にうっとりするとともに、数寄者・藤田傅三郎の古美術蒐集にかける情熱と審美眼に感銘を受けました。いずれは、大阪は藤田美術館に伺い、またお目にかかると致します。(広島県 奥田康晴さん 50代)

 誰をも魅了するミルキィウェー
 青葉の季節は修学旅行の季節でもあることを思い出させ、駅構内も、奈良公園も若人にあふれていた。
 私の目的は、国宝の曜変天目茶碗を観に行くこと。掌(たなごころ)にある宇宙によく例えられるが、大徳寺龍光院のひっそりした宇宙に比べ、藤田美術館所蔵の天目は満点のミルキィウェーである。あの小さな茶碗は見る人の誰をも魅了する。その魅力は、なんだろうか。単に青が美しいとか、再現不能な茶碗だという理由だけではないように思う。
 ガラスケースに展示された茶碗は、もちろん掌に抱くことはできないが、我が掌に抱いたかのような世界観へと誘う。そして、宇宙に吸い込まれていく自身を見いだすという不思議さ。掌に在る壮大な宙に自身の小ささを見いだすのは、宗教に近い感覚なのかも知れない。
 帰路、曜変天目茶碗の世界観をしっかりと胸に刻んだ私は、時々は壮大な宙を再現できるような気持ちでいる。宙の塵(ちり)にもなり得ない小さな小さな自分も、宙にあることも。(愛知県 中尾明子さん 60代)

 待ち遠しいリニューアルオープン
 久しぶりに古都奈良を訪ねました。梅雨の晴れ間、ならまちを散策して地元食材をふんだんに使った料理を楽しみ、バスで奈良国立博物館へ。
 最終日のためか曜変天目茶碗を間近で見られるエリアには長蛇の列が……。諦めて他の所蔵品をじっくり見ることにしました。国宝の玄奘三蔵絵や紫式部日記絵詞の絵巻は、鎌倉時代の作品にもかかわらずいまだに金銀箔(はく)などの彩色が残り、色鮮やかに人物などが描かれ、その世界観に引き込まれました。
 展覧会の主役の曜変天目茶碗。瑠璃色の文様が暗闇の中に浮かび上がり宇宙のようでした。今回初めて8Kカメラで撮影された映像も公開され、美しすぎる茶碗の謎に迫っていました。
 2022年春の藤田美術館リニューアルオープンが待ち遠しくなる素晴らしい展覧会でした。(愛知県 前澤恵さん 50代)

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