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学ぶことの本当の意味を教えてくれる。そんな映画でした 

読者会議メンバーが観た映画「風をつかまえた少年」

更新日:2019年08月07日

 朝日新聞Reライフプロジェクトでは、読者会議メンバーを映画の試写会にご招待し、鑑賞後に書いていただいた感想を紹介しています。今回の作品は2001年に大干ばつに襲われたアフリカの最貧国マラウイが舞台。飢餓による貧困のため通学を断念した14歳の少年が、図書館で出会った1冊の本を元に、独学で廃品を利用した風力発電設備を作り上げ、家族と自身の未来を切り開く。そんな奇跡の実話を描いた映画です。

(C) 2018 BOY WHO LTD / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE / PARTICIPANT MEDIA, LLC

地球規模で考え、足元から行動せよ!
 アフリカの貧しい農家の少年が、相次ぐ困難にも負けず、家族や村の人々を助けるため、風力発電の仕組みを自学自習で勉強し、身近で手に入る材料だけを工夫して、ついには発電に成功する。その一途な姿に心を打たれました。
 ウィリアムに比べ、日本の子どもたちははるかに豊かです。でも、学びたいという意欲や、学んだことを誰かのために役立てたいという気持ちでは、彼には遠く及ばないでしょう。それは、皮肉なことですね。
 父親の留守中に、ウィリアムの家の大切な食糧が、他の村人から略奪され、母親が泣き崩れるシーンがありました。同じ地球上で、こんな悲惨な状況がいまだになくなっていないことに心が痛みました。
 洪水や干ばつの原因は地球温暖化との関連も指摘されており、私たちの日常の何げない行動がバタフライエフェクトのように、遠くアフリカの人々を苦しめることにつながっているのかもしれません。私たちも、意識と行動を変えなければいけないとあらためて思いました。Think Globally, Act Locally(地球規模で考え、足元から行動せよ)ですね。
 友人や子どもたちにも、ぜひこの映画を見るよう勧めたいと思います。(東京都 田中良子さん 50代)

苦労が報われ、共に喜べた
 家族の食べるものもなく、お金がなくて姉弟を学校にやれない。政府の援助は望めず、仲間とも連帯できない……。多くのことに堪えながら、最後は息子に寄り添う父親の好演に心打たれました。
 土ぼこりが舞う乾いた大地。皆が見守る中で、ホースから水が流れ出すのを見た時は、これまでの苦労が報われたことを、共に喜びたい気持ちになりました。
 試写会に参加して、瀬戸内海の小島で畑を耕して暮らす家族を描いた「裸の島」(1960年。新藤兼人監督)という映画を見た記憶がよみがえりました。舞台となった島には水がなく、畑や暮らしで使う水は小舟で隣の島までくみに行くのですが、てんびん棒を担いでおけを運ぶ主演の音羽信子の姿が浮かんできて、しばし昔の日本人の勤勉さに思いをはせました。(東京都 久保田博子さん 60代)

(C) 2018 BOY WHO LTD / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE / PARTICIPANT MEDIA, LLC

ギャップに心がざわついた
 黄土色に干上がった大地。枯れ草のように広がるトウモロコシ畑で農作業をする人々。渋谷の雑踏を歩いて映画館にたどり着き、同時代を生きる日本人とのギャップに心をざわつかせながら映画を見ました。
 飢饉(ききん)に襲われ、生きるか死ぬかのギリギリの生活。家族を始めとする愛する人たちの幸せのため、困難を乗り越えて貪欲(どんよく)に学び、知識を生きる力に変えたウィリアム少年。そのひたむきさに勇気をもらった。そして、そのキラキラと輝く瞳にたくさんの希望をもらった。人は何のために学ぶのか。その意味を再確認させられた。
 私も、習い始めた手話を頑張ろうと思う。学びの意味をかみしめながら。(東京都 星野まり子さん 60代)

問題解決型学習の良いお手本
 私は、中高一貫校で社会科の教員をしている。この映画は、問題解決型学習の立派なお手本だと感じた。
 大干ばつのために餓死を覚悟しなければならない状況。その問題を、ウィリアム少年は知の力で解決しようとする。その姿を、教え子たちだけでなく、たくさんの生徒にみてもらいたい。
 この映画は「なぜ私たちは学ぶのか」という問いに対する、明確な答えを用意してくれている。そして近代国家の基盤には、潤沢な知識や改良を繰り返した技術が、幾重にも層を成していることに改めて気付かされる。
 マラウイ共和国は独立後、一度も内戦を起こしたことがないことから「アフリカの温かい心」と呼ばれているという。マラウイに吹く風は、風車を回すと同時に、見る者に「温かい心」を届けてくれた。(東京都 福永徳善さん 50代)

年配の大人こそ見るべき
 「世の中で一番大切なものは見えない」という名言を、証明した作品だと思いました。
 ウィリアム少年がつかまえた風。人生において、円熟に向かって年を重ねることの意味は、この見えない風との絆を感じ取る所にこそあるのでしょう。映像の随所で、風の存在を感じさせてくれる演出は、素晴らしいと思いました。
 年配の大人こそ見るべき作品だと思います。なぜなら己の人生を回想しながらも、まだまだ新たな光を放つことが出来ると確信できる映画だからです。(東京都 勝俣敏さん 60代)

(C) 2018 BOY WHO LTD / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE / PARTICIPANT MEDIA, LLC

ウィリアムに惜しみない拍手を
 100年前ではなく、20年前の実話というところに、まず驚かされます。ウィリアムが「僕はお父さんの知らないことを知っているんだ」「学校へ行ったから」と訴えるシーンで、胸がいっぱいになりました。
 生活に必要な自転車を息子のために提供する父。何かを手にするためには、誰かの犠牲が必要なのでしょう。その犠牲のおかげで風車を作り、水を手に入れ、周りの人たちの命を救ったウィリアムに、惜しみない拍手を送ります。
 エンドロールで流れた、会議でスピーチするウィリアムの「I tried and made it」という言葉が素敵でした。現在31歳のウィリアムに、幸あれ!! (千葉県 鈴木伸子さん 50代)

「生きる力」について考えさせられた
 物の豊かさでは世界一と思える日本と、自然いっぱいのマラウイとを比べ、生きる力を持っているのはどちらかな……と、考えさせられました。
 家族のために、そして村人のために、ウィリアムの周りを変えていく勇気は素晴らしいですね。まさに風と希望をつかまえた少年の物語でした。(東京都 小林美智子さん 70代)

自分たちの「豊かさ」を再確認
 「生き抜く」ことすら困難な地域に住んでいる人たちに、この映画は希望を与えてくれるのではないだろうか。
 干ばつに襲われても、昔ながらの農業を不器用に繰り返す父親。新しい知識を学んで状況を改善しようとする息子。そんな2人が協力して、初めて達成できた風力発電。アフリカの未来を担う若い世代が十分な教育を受け、おのずと政治や経済の状況を変えていく原動力になれば、アフリカは今後最も成長する地域になるはずだ。
 日本のように恵まれた環境に住んでいる人は、この映画を見て、自分たちの「豊かさ」を再認識すれば良いと思う。(神奈川県 福田京子さん 50代)



ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開中。113分/2018年
監督・脚本・出演:キウェテル・イジョフォー
出演::マックスウェル・シンバ、アイサ・マイガ 
原作:「風をつかまえた少年」ウィリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミーラー著 (文藝春秋刊)
提供:アスミック・エース、ロングライド
配給:ロングライド
〈公式ホームページ〉https://longride.jp/kaze/

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