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国宝や重要文化財の優品を守り伝える京博という存在 

読者会議メンバーが観た「京博寄託の名宝」展

更新日:2019年11月14日

 京都国立博物館に収蔵される6200を超える寄託品の中から、選りすぐりの名品を展示する「京博寄託の名宝―美を守り、美を伝える―」を鑑賞したReライフプロジェクト読者会議メンバーの感想を紹介します。

 見たかった多聞天、今なお残る彩色や文様に感動
 夏の一日、京都国立博物館の「京博寄託の名宝」展で、数々の寄託された各寺院の名宝を鑑賞することができました。中でも私がお会いしたかった仏像は浄瑠璃寺の多聞天でした。浄瑠璃寺は私の好きな寺で、本尊の九体仏や吉祥天像にお会いすることができます。
 ただ、四天王像の広目天と多聞天は東京と京都の博物館に寄託され、持国天と増長天の二体が浄瑠璃寺の薄暗い本堂の中にたたずんでいます。いつかは寄託された二体の四天王を見てみたいと思っていました。
 そして今回の京博でそのうちの一体、多聞天を見ることができました。薄暗い本堂で見る像もいろいろ想像が膨らみ良いものですが、LEDでライトアップされた多聞天はまだはっきりと彩色や文様を残しており、浄瑠璃寺の二体もこのようであろうと思えました。三時間余りを京博で過ごした中身の濃い一日となりました。( 大阪府 林繁雄さん 70代)

 精緻な刺繡に感動、当時の人に思いはせ
 今回の「京博寄託の名宝」展は全139点中、国宝36点、重要文化財59点という見応えのあるものばかり。一昨年の国宝展では人だかりでゆっくり見られなかった伝源頼朝像も、衣装の細かな地模様をじっくり見られたり、風神雷神図屛風では神様のそれぞれのポーズをまねたりすることもできました。(実際にまねてみたら、神様は相当関節がやわらかいことを実感)
 一番興味のあった染織の展示では、私の趣味である刺繡の名品の数々に出合えました。
なかでも、京都・天授庵所蔵の九条袈裟には感動しました。中国の師から授けられたという袈裟には、とても細かい編み繡い(あみぬい)という刺繍とレース編みを合わせた珍しい刺繍がたくさん施されていました。ハズキルーペもLEDもない中国の元時代に、どんな人がひと針ひと針刺したのかと、思いをはせながら見とれていました。まさか袈裟に萌える日が訪れるなんて、夢にも思いませんでした。(兵庫県 塩道由美子さん 50代)

 教科書でおなじみの名品もずらり、豊かな文化知る機会に
 8月の終わり、平成知新館1棟を使っての展示で、ぜいたくな時間を過ごした。陶磁では京都・天寧寺所蔵の野々村仁清作の「銹絵水仙文茶碗」が目を引いた。寛永期の茶人の1人である金森宗和が天寧寺に寄進した茶わんで、白地にりんとした水仙がサッと描かれており、作者の筆運びとみやびやかな雰囲気が読み取れた。
 彫刻では高山寺所蔵の「百光神立像」が心に残った。百光神とはヒマラヤを神格化した神とのこと。柔和な顔立ちをしており、指先、天衣のひだなどは繊細極まる彫刻。宝冠などの装飾品も細かな細工であった。宸翰(しんかん)、仏具、茶道具など見どころ満載の展示で、教科書でおなじみの「風神雷神図屛風」や「伝源頼朝像」もあり、改めて京都・近畿の豊かな文化を知る機会となった。(岡山県 市村祐子さん 40代)

 豊かな文化を守り伝える大切さを痛感、博物館の役割に期待
 遅い時間の方が人が少なくて見やすいかなと予測し、いつもよりゆっくりの夕方4時から観覧したら、大正解。一つの展示を独り占めできるタイミングが何度もありましたし、大きな展示全体をベンチに座って楽しむことができました。
 これまで仏像や障壁画などは「寺院や木造建築の中にあってこそ本物の素晴らしさを堪能できるはず」と、かたくなに思っていました。仏像や仏画が単なる鑑賞物になって展示されていることに違和感を感じ、ふすまから剝がされてしまったふすま絵を見て、当時の建物と畳敷きの中で見るのとではどれだけ感動が違うのだろうか、と考えていました。実際、寺社やもともとあった木造建築物の中で出合えたら、本来の素晴らしさがあふれだしてくるんだろうと思います。
 しかし、昨今の天災などで貴重な作品が被災していることをよく見聞きします。状態が劣化してしまうというあらがえない事柄から貴重な文化財を守るためには、博物館の持つ整った環境で保存・修復をして、劣化を食い止めることが大切。ですから、本展の副題を見て今回の展覧会は必ず見に行こう、と決めていました。
 今回展示されている文化財を見ますと、京都の寺社以外、私の地元・兵庫県の古墳からの発掘品や他地域からの寄託物が多くありました。やはり、それぞれの地方都市で完璧に保存・管理していくのは難しいのかと推測しました。日本の貴重な文化財を守るため、地方自治体も考えた末に国立博物館へお任せしているのだろう、と思います。国宝や文化財を大切に守り、国内外の人々や未来の人々に素晴らしい日本の文化を見てもらうため各博物館が取り組んでいることに感謝したい、という気持ちを、こうして文章で書き表してみて、何だか不思議と目頭が熱くなりました。
 現代に生きる私が素晴らしい展示を鑑賞し、感動して心が豊かになっているように、これから先の人々にも同じように思ってもらえるよう、博物館の皆さんには頑張っていただきたいし、そういう平和な日本、世界であることを願ってやみません。(兵庫県 小林良子さん 40代)

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