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画家・鳥海青児 厚塗りのマチエール駆使したのはなぜか 

読者会議メンバーが観た「鳥海青児とその時代」展

更新日:2019年11月21日

 神奈川・平塚を代表する洋画家・鳥海青児。代表作を中心に鳥海の画業を振り返る「鳥海青児とその時代」展を鑑賞したReライフプロジェクト読者会議メンバーの感想を紹介します。

 渋い色調の絵、鳥海が好んだのはなぜか
 夏の盛り、七夕祭りで有名な平塚のアーケードを抜け、昭和の名残を感じながら訪れたのが、平塚市美術館の所蔵品で見せる「鳥海青児とその時代」展。
 二階への階段を上がった所が、併設の「安野光雅展 絵本とデザインの仕事」。まずこちらから見学したのですが、カラフルで精巧な絵と奇想天外でコミカルな発想の作品に魅了されてしまいました。ちょうど夏休み中。親子連れも多く、自然と耳に入ってくるお母さんと子供の会話も楽しげ。150点ほどの作品に見入っていたら、時間の経つのも忘れてしまいます。
 出口を出ると、隣のブースが「鳥海青児とその時代」展。平塚出身の鳥海青児と、彼に影響を与えた岸田劉生、萬鉄五郎らの作品も展示されています。茶色を基調とした渋い色調の絵の具を多用した特徴を持つ油彩画家・鳥海青児。鳥海の作品は味わい深く滋味にあふれているのですが、安野光雅の明るい作品を見た後で見ると地味に見えてしまいました。
 湘南の海辺、太陽と海の明るい光の満ちた土地で育った鳥海青児は「なぜ茶系を主とした暗い色調を好むのか?」などと頭を巡らせた。その一方、「メキシコの西瓜」という作品の、暗く茶色い背景から鮮やかに浮き上がる赤色の果肉を見ると、ここにも夏があると思いつつ、平塚の街を汗をぬぐいながら駅へ向かいました。(東京都 多田彦孝さん 60代)

 厚塗りの技法の大胆さに驚かされた
 平塚市美術館に「鳥海青児とその時代」展を見に行ってきました。まず驚いたのは、美術館が立派なこと。横浜美術館を少し小さくした感じの近代的な建物で、館内も広々としていて、気持ちよく鑑賞ができました。
 鳥海青児の絵は今回初めて見ましたが、間近で見ると、大胆に絵の具を使った厚塗りの技法に迫力を感じました。また、時代とともに作風が変わっていくさまを見ると、当時の日本の画家が西洋の美の潮流を吸収しながら最先端の芸術を目指していた様子がわかります。
 さらに今回は安野光雅展も併催されており、有名なからくり絵だけでなく、絵本やポスターなど多彩な才能に触れることができました。(神奈川県 伊藤雅晴さん 60代)

 日本の風景、独自の技法で多彩に表現
 フォービスムの影響を受けた初期の風景画で、特に川と白い橋を描いた「芦屋風景」と、渡欧中にアルジェリアで描いたターバンと白衣の人物が点在する「グーベルヌマン広場」が気に入った。
 砂を混ぜ、暗く渋い色調の絵の具を盛り上げた後にノミで削り取り、単純な構成とざらついた重厚な質感を見せる「水田」、半世紀ぶりに公開された「瀬戸の山」、力強く白い断崖を描いた「沖縄風景」が素晴らしく、日本の風景をオリジナリティーをもって表現している。戦後には、日本の古美術への造詣を生かし、平面的な表現や形態の単純化を通じ、本質を描いた鳥海。具体的には曼荼羅を意図した「メキシコの西瓜」は鮮やかな赤と緑が美しかった。(神奈川県 江坂一彬さん 70代)

 「鳥海の世界観伝えたい」美術館スタッフの思いにも感動
 鳥海青児が「CHOKAI」と読むのを絵のサインで知り、経歴や画風など何も知らないまま訪れましたが、美術館の収蔵品の豊富さに圧倒されました。厚塗りされた山や沖縄の海を近くで見ると暗く何だか分からない画面が、少し離れて全体を眺めると景色がくっきりと浮かび上がり、しばらくその場から動けないほど感動しました。
 戦後の明るい絵の方が個人的には好きです。絵画の説明が丁寧で分かりやすく、鳥海青児の世界観を伝えたいという美術館のスタッフの方々の思いが理解できます。同時代の岸田劉生や萬鉄五郎らの作品を拝見できたのも良かったです。(埼玉県 植松真理子さん 60代)

 半世紀ぶりに公開された「瀬戸の山」楽しみに
 鳥海青児という画家については何も知らなかったが、半世紀ぶりの公開という「瀬戸の山」が見られるのを楽しみにしていた。私は広島や岡山で10年以上仕事をし、懐かしい風景が見られると思ったからだ。
 しかしその作品は、私の思う瀬戸の山のイメージとはかけ離れていた。たしかになだらかな構図は瀬戸の山だろう。だが、瀬戸の風景はこんなに暗いものではない。鳥海に限らず、一緒に並べられたこの時代の作家たちの作品は、全体に暗かった。西欧の技法に追いつこうとする時代の努力の現れかと見たが、やはり絵には美しい色彩も大切だ。
 同じ美術館で合わせて見た安野光雅展は、レオナルド・ダ・ビンチを思わせるほどの、あらゆることに好奇心あふれる多彩な才能にすっかり魅了され、大満足だった。(神奈川県 中北宏八さん 70代)

美術館探訪(アート部)の連載

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