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「生涯現役」の極意とは 長寿だった画家の晩年から学ぶ 

「長寿と画家 巨匠たちが晩年に描いたものとは?」を読んで/連載・ひとことブックレビュー

更新日:2020年02月06日

 モネやルノワール、ピカソ、北斎、若冲――。長生きをした画家たちの生涯をつづった「長寿と画家 巨匠たちが晩年に描いたものとは?」を読んだ読者会議メンバーから感想が届きました。兵庫県の小林久美子さんは「読み始めて間もなく、幻想を打ち砕かれてしまいました」と話します。

読み手に晩年の生き方の心意気を教えてくれる

 本書は、著名なかつ長命だった15人の画家の最晩年の作品を読み解くというふれこみだが、分厚い伝記や評伝にも劣らない、それぞれの画家の一生、生き様がダイジェストながら大変分かりやすくしっかりと書かれている。
 まず驚くのは、それぞれの画家の、衰えることを知らない画業へのすさまじい渇望、絵を描きたいという執念のすごさに圧倒される。今より医療の発達していない時代ゆえ、老齢になると(あるいは、40代の若いころより)目や耳の病、全身の病などに侵されたり、愛する家族を失ったり、大火に見舞われたり……。様々な艱難(かんなん)辛苦にあいながら、さらに創造への意欲をかきたてていく。
 晩年の作品の解説にも説得力がある。本書を読むと実際にその作品を見たくなる。その画家の生きざまをもっと知りたくなる。15人の画家へのプロローグとなり得る貴重な著書だ。画家の晩年を伝えるだけでなく、読み手に晩年の生き方の「心意気」を説いているように感じた。
(千葉県 寺村春枝さん 60代)

画家の新たな魅力を楽しく発見できた

 長寿の観点から画家15人をとりあげ、それぞれの晩年に光をあてることにより、生涯の画作を振り返る視点がユニーク。作品や書物で多く触れてきた画家達でありながら、新たな魅力を楽しく発見させてくれた。手元に置いて、時々読み直したい本だ。
 惜しまれた点を二つ、あげたい。一つは画家がすべて男性だったこと。数人の女性が自然に入っているとよかった。メアリー・カサット、小倉遊亀、三岸節子などなど、長寿をもって画業を全うした女性画家も少なくない。次に女性画家だけの編が予定されているのであればうれしい。もう一つは、記述に「・・・のではないでしょうか」という言葉が多すぎること。とくに各章の最後にこの言葉がくると、それまでの全ての信頼性が失われるようで気分が落ち込む。自信をもって言い切ってほしかった。
(東京都 高橋茅香子さん 80代)

未完であることこそが生涯現役の証明

 死の直前まで絵筆を取り続けた画家の人生について書かれた本書は、生涯現役のヒントや晩年の理想的な生き方について示唆を与えてくれるのでは、と思わせる書籍でした。ところが読み始めて間もなく、そんな「幻想」は打ち砕かれてしまいました。
 巨匠たちは長い画業の果てに悟りの境地に行き着いたのではなく、我々凡人と同じく、老いとともに失われてゆく健康や能力に苦しみながら、執着と煩悩にまみれた日々を送っていたのです。
 しかし巨匠たちは絵を描くことによって、自身の老境と近づきつつある死にあらがいながら、命を燃やし続けました。その結果、肉体は老いても精神は老いることなく、それぞれの到達点へ向かって歩み続けることができたのではないでしょうか。
 私が巨匠たちの晩年から感じ取ったことは、「死は人生の完成ではなく、未完であることこそが生涯現役の証明だ」ということでした。
(兵庫県 小林久美子さん 50代)

 このレビューは、毎月実施している「今月のプレゼント本」の当選者に感想を寄せていただいたものです。


 読者会議メンバーが読んだ本
長寿と画家 巨匠たちが晩年に描いたものとは?
河原啓子 (著)
出版社:フィルムアート社

 モネやルノワール、ピカソ、北斎、若冲――。長生きをした画家たちは、エネルギッシュな若き日を過ぎて、どのような気持ちで最晩年に至ったのでしょうか。「巨匠」「天才」などと呼ばれた彼らも、私たちと同じように悩んだりつまずいたりする一方で、ささやかな喜びを求め、希望を持って生きました。15人の魂を感じる作品を見ながら、人生の旅路をたどってみませんか。

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