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【読者会議】この1冊に出会えたから 

<Reライフアンケート>あなたの人生を変えた本は?

更新日:2017年09月03日

 人生を変えた本を1冊、教えてください。Reライフ読者に尋ねたところ、漫画、SFから哲学書まで幅広い回答が寄せられました。家族関係や職業観に影響を与えた本をご紹介します。

「道は開ける」前進する力に

 塚越まり子さん(64)の実家に本は1冊もなかった。鹿児島県垂水市の、電気が通ったばかりの山あいの集落。小学生の時から下校後には風呂のまきを拾い、牛のエサ用の草を取る日々だった。

with読者会議 9/3朝刊
 農業改良普及員でポンカン農家の伯父の家には本棚があった。中学生の頃、専門書に挟まれた「風と共に去りぬ」の上下巻を見つけ、畑仕事の合間に手にとった。

 縁側に座って読み始めると、止まらなくなった。19世紀に米国南部の名家に生まれた主人公スカーレット・オハラが敗戦や失恋、死別を力強く乗り越えていく物語。

 「日本の外れの山奥で『自分なんか』と思っていた。必死にやればどうにかなるのかと、道が開けるような気持ちになりました」

 高校卒業後は上京。働きながら大学の通信課程で教員免許を取り、横浜市で小学校教諭になった。教育大卒で親も教員という同僚が多い中、誰より認められたくて、努力した。スカーレットが貧しさからはい上がっていく姿を自分と重ねていたという。

 30歳手前で読み返した時には、スカーレットと幼なじみで妻のいるアシュリー、最後の夫レットとのすれ違いが深く心にしみた。

 塚越さんには、仕事に打ち込んでいたため縁談を断った相手がいた。ある程度仕事に慣れ、結婚しようと思った時にはすでに別の人と結婚していたという。その後結婚し、子育てをしながら仕事を続けた。夫とは苦労を分かち合おうとしたがかみ合わず、離婚。定年前の5年間は肝硬変を患い、治療しながら働ききった。

 塚越さんが「生きるエネルギー源」という場面がある。スカーレットは戦争で荒れた故郷のタラ農園の土の上に立つ。「自分もタラの赤土の一部」と実感し、力を得て、再び前に進んでいく。

 定年後、塚越さんは退職金で畑付きの家を買った。「広大なタラの農園とは規模が違うけれど」とほほえむ。毎朝5時から畑で作物を慈しむように育てる日々だ。


■自分の出発点 読む度発見

 「星の王子さま」(サン=テグジュペリ著、岩波書店など)。小4で読み、とても不思議な感覚に。文章自体は難しくないのにどこか抽象的で、わかったと言い切れない感じ。原典を読んでみようと、大学でフランス語を選択。その後も自分の研究分野だった憲法で日仏の比較をした。現在、市役所でLGBTなど人権問題を担当する中、フランスの文献も読んで理解を広げている。出発点となった本で、読む度に発見がある。 
大阪府 中島一彦さん(51)


■理不尽な人生 少し楽しく

 「人類は衰退しました」(田中ロミオ著、小学館)。高い知能で地球をものにした「妖精さん」と、衰退した人の間を取り持つ調停官が主人公のライトノベル。大学卒業後に職を転々とした時、妖精さんのいじらしさに癒やされた。平均身長10センチで3頭身。舌足らずで、働いていないとうつになる。自腹で商品を買わされたり雇用契約書がなかったりと理不尽な目にあう度、妖精さんがここにいればと想像し、人生がちょっとだけ楽しくなった。 福岡県 女性(29)


■親との関係 客観視できた

 「毒になる親 一生苦しむ子供」(スーザン・フォワード著、講談社)。毒親という言葉の由来とされる。10代の頃から両親に、学校で学んだことを話せば「女だてらにへりくつを言うな」と言われ、容姿のことも「でかくて見苦しい」と言われ続けた。15年ほど前、生きにくさを分かち合う自助グループで薦められた。違和感を言語化してもいいんだ、と気づけた。親との関係を客観視でき、距離を置くことに罪悪感を持たなくなった。 奈良県 女性(57)

アンケート「人生を変えた本」に寄せられた回答は「純文学、ミステリー、詩集―― 私の心をわしづかみした一冊」にも掲載しています。

 Reライフ面では月替わりのテーマで皆さんの意見や体験談をお寄せいただき、紙面で取り上げます。最新のReライフ面アンケートの詳細はこちらページでご確認ください。
 回答を踏まえて記者が取材をお願いすることや、紙面だけでなくウェブページで回答を掲載する場合があります。あらかじめご了承ください。


*読者会議の詳細についてはこちら(http://www.asahi.com/relife/dokusha)をご覧ください。

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