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【読者会議】銀幕の記憶 色あせぬ1本 

<Reライフアンケート>人生で忘れられない映画は?

更新日:2018年10月07日

 忘れられない映画はありますか? Reライフ読者の皆さんに尋ねると、それぞれの人生の転機や節目に心を揺さぶられた、古今東西の1本が挙がりました。寄せられた記憶と共に紹介します。


思い詰めていた心 前向けた

 「ひきこもり時代」。スイス在住の佐藤由紀子さん(45)は、2001年公開のフランス映画「アメリ」を初めて見た頃の自分を、そう表現する。

 当時28歳。心のバランスを崩して広島県の実家で休職中だった。「どうしよう。何かしなければ」と思いながらも、起き上がって縫い物や数ページの読書をするのがやっとの毎日。苦しさが募っていた。そんなとき、母親から、地元のミニシアターで話題になっているからと誘われたのがアメリ。約1年ぶりの本格的な外出だった。

 主人公のアメリは、引っ込み思案ながらいたずら心にあふれる20代のカフェ店員だ。映画の序盤、近所の人がテレビのサッカー中継を観戦中、得点シーンのたびに停電させることで「復讐(ふくしゅう)」を果たす。思わず噴き出し、一気に力が抜けた。主人公たちは自分の世界に閉じこもりながらも、市場に並ぶ山盛りの乾燥豆にこっそり手を差し込んだり、他人が失敗した証明写真をゴミ箱から拾ってアルバムにしたり。日常のささやかな遊びを生きがいにしていた。

 思い詰めていた自分には、目からうろこだった。「内気で変わったままでもいい、と言ってもらった気になりました」。ひと月も置かず、再び足を運んだ。セリフを聞いているうちに、大学時代、一生懸命フランス語を勉強したことを思い出した。それまではテレビのフランス語講座も流し見をしているだけだったが、もう一度、学んでみようかという気になった。

 少しずつ外出の範囲を広げ、語学とフランス現代詩の勉強をしに大学院に通い始めた。交換留学先のスイスで夫と出会い、06年に移住。今は日系メーカーの事務方として働いている。

 出会う前から夫も持っていたアメリのDVDを、毎年クリスマスに一緒に見る。「当時を思い出して苦しくもなるけれど、あのとき見ていなかったら今はありません」。今年で娘が9歳になる。もう少し大きくなったら、並んで見てみたい。


■ 出産直前 感情移入し号泣

 「蒲田行進曲」。おなかの中にいた長女に内側から蹴られながら、出産直前、故郷の映画館で夫と見た。風間杜夫さん演じる、やんちゃで寂しがり屋の銀四郎が印象的。松坂慶子さん演じる小夏も妊娠中で、彼を想う気持ちが自分に乗り移ったように感じた。2人にほれ込んだ舎弟のヤスが、危険なスタントを引き受けるのにも感情移入し、劇場を出た後も号泣。夫と2人で風間さんのファンになり、今も一緒に舞台を見に行く。 千葉県 篠田容子(ひろこ)さん(68)


■ 善悪両面持つ魅力 夢中に

 「天井桟敷の人々」。進学のために上京した東京で見た。本当に盲目なのかどうかわからない男性など、善悪両面を持つ登場人物の魅力に打たれ、出演者がフランスから来日した時は仕事を早退して劇場へ。30歳の時、父ががんに倒れ、地元に戻った。テレビ放送時は音だけテープにとり、1人になれる就寝前に流した。昨年退職し、今は93歳の母と2人暮らし。介護の合間、ラストシーンの切なさを、ふと思い出す。 北海道 伊澤郁子さん(66)


■ 閉館日 客席で思いを共有

 「ニュー・シネマ・パラダイス」。母と行った地元のミニシアターは、その日が閉館日。イタリアの小さな映画館の運命を描いた物語に重なり、エンドロールでは満席の客席から爆発的な拍手が起こり、鳥肌が立った。終映後も皆ロビーからなかなか立ち去らなかった。帰り道、母と「映画って観客の絆を見ててくれるんだね」と興奮ぎみに言い合った。映写技師の「選んだ道を愛しなさい」というセリフは、今も深く刺さる。 神奈川県 岩田さや子さん(29)

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