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【読者会議】心温めてくれた あの味 

<Reライフアンケート>元気をもらった思い出の味は?

更新日:2019年10月06日

 苦しいとき、元気をもらった思い出の味は? アンケートで尋ねたところ、家族や友人、同僚などからの家庭料理や差し入れのエピソードが寄せられました。心温まるお話をどうぞ。


不安ほぐしたおばの茶碗蒸し

 2010年の暮れ。東京都狛江市の高校教諭、金子千尋さん(54)は、がんの再発の疑いで入院していた母の看病で、実家のある函館にいた。
 母は、その年の秋に体調を崩した。20年前の乳がんの後は大病もなく、穏やかな日々だったのに。

 大みそか、金子さんは年越し準備をしていないことに、はたと気づいた。夕方、父より一足早く病院を出て、正月用のお飾りや花を求めた。だが、おせちを準備する余裕はなかった。
 「もう母の手料理で正月を迎えることはできないのかな」

 不安と悲しみで押しつぶされそうになりながらも、暗く寒い雪道を懸命に歩き、実家に着いた。

 しばらくして、父が病院から車で帰ってきた。お重と小さな箱を手渡してくれた。母方のおばが病院まで差し入れてくれたという。

 お重には黒豆、きんとん、なます、煮物……。そして箱を開けると茶わん蒸しがふたつ。思わずうれしさで言葉が出なかった。冷めないように、隙間に新聞紙が敷き詰められていた。まだほんのり温かかった。

 母は料理上手だった。毎年、手製のおせちと茶わん蒸しで新年を迎えるのが恒例だった。

 茶わん蒸しは、夢がある料理だと思う。ギンナン、鶏肉、かまぼこ、三つ葉……。食べ進める度に、異なる具材に出合える。子ども心にワクワクした。手間がかかるのに作ってくれた母の思いも相まって、いつも幸せな気持ちになった。

 その日、父とふたりで頂いて、折れそうだった心がほぐれた。

 実はそのおばは、子ども時代の印象で素っ気ない人だと思ってきた。だがおばは、翌年の夏に母が歳で亡くなるまで、何かと力になってくれた。

 「誰かがつらい思いをしている時に、言葉だけではなくて、さりげなく実のある心遣いができる人になろう」とあの夜、強く思った。あの時の味は今もしっかり覚えている。


■ 大家さんからの混ぜごはん

 20代、夫のDVで離婚。12キロやせ、引きこもった。元夫は人当たりは良い人だったので、親や同僚は理解してくれず孤立した。そんな時、年配の大家の女性が、ホタテの混ぜごはんを差し入れてくれた。お茶を入れてくれ、私が食べるのを待つ。食欲はなかったが、食べてみると、しょうゆ味でとても美味。彼女は「口に合って良かった」とだけ言って帰り、その後も差し入れてくれた。私は後に再婚。幸せな日々を送っている。
(北海道 女性 58歳)

■ 残業帰りのケーキで幸せに

 以前勤めていた縫製会社は残業が多く、クリスマスも早くは帰れなかった。へとへとに疲れた帰り道。途中にある親子で営んでいたケーキ屋さんに立ち寄るようになった。普段はイチゴショート。秋になるとモンブラン。嫌なことがあった時には、甘いものが一番効果があった。忘れて、何とも幸せな気持ちになった。残念ながら、その店は閉店してしまった。でも、今でも「ありがとう」の気持ちとともに、よく思い出す。
(山形県 池田香さん 64歳)

■ 寂しさ癒やした揚げ春巻き

 両親共働きだった我が家は、母も遅くまで仕事をしていたので、学校から帰っても、弟とおなかをすかせて寂しい思いをしていた。小学生の時、友人の家に遊びに行くと、専業主婦のお母さんは台所で夕飯の準備をしていた。帰宅時間が過ぎても私がモジモジしていたのだろう。「おなかすいているでしょ?」と揚げたての春巻きを食べさせてくれた。初めての味だった。熱々でとてもおいしかった。おなかも胸もいっぱいになった。
(熊本市 小林律子さん 41歳)

 Reライフ面では月替わりのテーマで皆さんの意見や体験談をお寄せいただき、紙面で取り上げます。最新のReライフ面アンケートの詳細はこちらページでご確認ください。
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