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上がる一方の年金はもはや夢、受給開始も遅くなる方向 

Reライフおすすめ講座「人生後半戦のお金の習慣」その6

更新日:2018年02月08日

 「人生後半戦のお金」で大事になる年金の動き。2018年4月スタートの年金給付抑制改革や、今後導入が想定される受給開始年齢の引き上げについて、ファイナンシャルプランナー深野康彦さんが解説します。

 2017年度の年金額は前年度に比べて0.1%減りました。国民年金加入者で月当たり68円程度、厚生年金加入者では230円程度の減額です。注意したいのは20184月から始まる年金の給付抑制制度です。年金額の改定ルールとして、昔の物価スライドから更に進化したマクロ経済スライド制度が導入されます。

 改定ルールの見直しの柱は二つあります。一つは景気です。

 これまで年金は、景気が悪くなって物価や賃金が下がっても減ることはありませんでした。ところが、2018年度からは物価や現役世代の給料が下がったら年金額がカットされます。ただし、景気が悪いときにはカットされず、回復したときにまとめて調整するということです。

 つまり景気が悪いときには年金額は下がらないが、その分は先送りするというだけのことです。景気が悪くなったときはダメージを受けないが、景気が回復すると過去に下がらなかった分を含めてカットされるため、想定ほど年金は増えないと思ってください。場合によっては減額されることもありえます。


 もう一つの柱は、賃金・物価スライドの見直しです。これからの年金は、物価からよりも現役世代の給料の増減から影響を受けやすくなります。

 いまの年金制度は相互扶助と呼ばれ、現役世代が国に納めているお金をリタイア世代が受け取っている形です。しかし、現役世代の給料が増えない厳しいときに、リタイア世代に対して「仕送りしてよ」と求められても「ない袖は振れない」というときもあります。それを調整するのが、この賃金・物価スライドです。

 賃金と物価がともに上昇すれば従来通りの方法で年金額は増額されます。ところが物価も賃金も下がっている場合、年金額は賃金にあわせて下がります。物価は上がっているが賃金が減額される場合も賃金にあわせて下がります。


 これまで年金は物価だけをみるものでしたが、以上の二つの柱から分かるように、今後は1番目に景気、2番目に賃金がポイントになります。

 年金制度を維持するため国がやっていることは年金給付改革のほかにもあります。5年ごとの財政検証です。その結果から今後変わる可能性が高いと思われる施策を私の独断と偏見で二つ選んでみました。

 一つは年金保険料の拠出期間の延長です。現行の年金制度では、20歳で国民年金に加入して60歳まで40年間保険料を支払うのが原則です。いまは民間企業に65歳までの再雇用が認められ、公務員も65歳まで定年延長が考えられています。そうすると「65歳まで働けるのに保険料の支払期間が60歳で終わるのはおかしいだろう」という議論が強まるのです。おそらく公務員の定年が65歳に延長されるのとセットで、保険料の支払期間が40年から45年に延長されるのではないかと思います。

 もう一つは年金の受給開始年齢の引き上げです。現在年金は65歳から受給できますが、実は受給開始時期を60歳から70歳の間で選ぶことも可能です。

 65歳より前にもらう「繰り上げ受給」だと、65歳を満額の100%とすると受給開始を1カ月前倒しするごとに0.5%ずつ減額されます。ちなみに60歳から受給すると、ずっと65歳の7割しかもらえません。逆に65歳より後で受け取りを始める「繰り下げ受給」だと、1カ月あたり0.7%の割り増しになります。一番遅い70歳の受給開始で65歳の142%増しの年金をもらうことができます。

 諸外国では60代後半の受給開始がトレンドなのです。日本は長寿国なのに65歳から受給を始めるのは早いのではという意見もあります。世界的なトレンドと年金財政からすると年金保険料の支払期間延長と受給開始年齢の引き上げは、今後導入される可能性が高いと思います。

深野 康彦(ふかの・やすひこ)

1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系ファイナンシャルプランナー(FP)会社に入社。金融資産運用設計を研究して1996年に独立。2006年、有限会社ファイナンシャルリサーチを設立する。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、税金や年金などお金周り全般についての相談業務や啓蒙(けいもう)を幅広く行っている。テレビ、ラジオにも多数出演している。著書に「55歳からはじめる長い人生後半のお金の習慣」(明日香出版)。

 この記事は、朝日カルチャーセンター新宿教室で2017年12月3日に開かれたReライフおすすめ講座「人生後半戦のお金の習慣~2018年以降の変化を見据えて~」の内容を採録したものです。

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