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夫が自宅に居っぱなしで妻が病気に 

Reライフおすすめ講座「定年後の楽しみ方」その4

更新日:2018年02月27日

 Reライフおすすめ講座「もっと知りたい、定年後の楽しみ方」の採録シリーズ4回目です。「夫婦の距離と居場所づくり」と「元気なうちに整理すること」の秘訣について、放送大学客員教授の遠山紘司さんが伝授します。

■昼食づくりもストレスに

 定年後の人間関係は自宅を中心にしたものが多くなります。家族、地域の人たち、学校の同窓生、会社時代でも仲の良かった人たちです。なかでも大きいのが配偶者との関係ですが、定年を迎えた夫とその妻とでは考え方にずれがあって問題になることがあります。

 「家庭のことは妻に任せっきりだった。罪滅ぼしのつもりでもないが、定年後は妻と一緒に過ごしたい」と考える夫は7080%と言われます。ところが妻の方は、20年以上かかった子育てが一段落し、その間に周りの仲間同士の社会を作り上げている。夫は妻と一緒に過ごしたいが、妻は仲間と作り上げた世界を壊したくない。夫婦の思いが一致していないケースが多いのです。

 そうなると「夫源病」に陥る妻がいます。夫の言葉や行動がストレスになり、妻がめまいや動悸(どうき)など更年期障害と似たような症状を呈するのです。まじめな奥さんほど夫源病になりやすいと言われています。

 原因は夫と一緒にいる時間が増えたためでしょう。夫が在職中は自由に時間をコントロールできたのが、一緒にいることで制約を受けるようになり、気を使うからです。

 もう一つの原因は昼ご飯です。妻の昼食は残り物だったりあり合わせのものなど簡単なもので済んだ。たまには友人と外食を楽しむこともあった。ところが、夫が定年になると、朝食と夕食に加え昼食も作ることに。夫は仕事がなくなったが、妻は仕事が増えるのです。

 ましてや、「昨夜の残りか」とか「また、うどんか」という一言がものすごくこたえるようです。絶対に言わないようにしてください。妻に作ってもらう昼食は「サービスだ」と感謝するか、たまには気を利かせて一人で外食に出るのもいいでしょう。

 妻が嫌う夫の行動が三つあります。(1)家の中をうろうろ(2)テレビの前でごろごろしたり、ソファにずっと座っていたり(3)小言を言う。「できれば外出してほしい」というのが本音なのでしょう。

 ではどうすればいいのか。定年後は、「俺の名義の家だから」とか「俺が建てた家」という気持ちは捨てて、「新しい家庭をつくる」気にならないといけません。家庭の仕事は分担することです。自分のやることができると、住み心地が良くなり、自分の居場所が見つかります。

 また、少なくとも1日に56時間はお互い顔を合わせない時間を持ちたいものです。

■本は捨て、遺言書を残せ

 元気なうちにしておくことの一つに「整理」があります。基本的にはものを捨てることですが、なかなか捨てられない人が多い。背広やネクタイがたくさんあっても定年後はほとんど着ません。「もったいない」の心を捨てることです。

 捨てられないものに本があります。日本人の家庭には平均356冊の本があって、そのうち読んだことのない本が131冊、実に3分の1は未読だそうです。「いつか読みたい」と買い置いた本は残し、「得意な分野」の本から処分する。慣れ親しんだだけになかなか捨てきれないが、図書館や本屋に行けばまたほぼ同じものを見つけて読むことができます。

 残すもので大事なものに遺産相続があります。親からの遺産、子どもに残す財産。今、遺産相続で争うケースが家庭裁判所で増えています。「相続」が「争続」になると困ります。1億円よりも2000万円~5000万円の財産で争うケースが非常に多いそうです。家一軒ぐらいの財産なので分けるのに困るためです。

 争いをなくすには、遺言書を残しておくのがよいでしょう。お薦めは公正証書遺言です。本人が公証役場に出向いて弁護士らが作成することが条件の遺言書で、正式に認められたものとして公証役場で保管されます。いつでも書き換えが可能です。頭も身体も元気なうちに作りましょう。

遠山 紘司(とおやま・こうじ)

1942年生まれ。理学博士、工学博士。横浜国立大学、放送大学、文部省、神奈川工科大学を経て、現在、放送大学客員教授として「問題解決の進め方」を担当。2012年の定年を機に、「定年は2度目の人生のスタート」と位置付け、定年前後の現状や問題点と理想的な生き方を実地調査もしながら模索している。著書に「もっと知りたい! 定年の楽しみ方」(学文社)。

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