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元力士が実演指導 「シコトレ」でケガをしない体づくりを 

Reライフおすすめ講座「シコトレ入門」前編

更新日:2018年09月03日

 お相撲さんのしなやかな体、それは日本古来の身体技法から生まれます。47歳まで現役力士を貫いた高砂部屋マネジャー(元・一ノ矢)の松田哲博さんが、力士の強靱(きょうじん)なカラダを支えるための基礎運動を前後編の2回に分けて丁寧に解説します。前編は「『腰割り』とは何か」です。

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 シコ、テッポウは素晴らしい身体トレーニングです。江戸時代、日本人は江戸と大坂間をごく普通に歩いていたようです。飛脚はいまの五輪選手よりも速く走っていた記録も残っているそうです。不便な世の中だからこそ体をいかに合理的に使うのかを徹底的に研究していたのでしょう。

 その中でも江戸時代から続いている大相撲は、体の大きな運動神経が優れた人を集めていたのです。当時の土俵はいまよりも60センチほど狭い13尺(約3メートル90センチ)でした。そのなかで相手を出す、投げることをしながら、けがをしない体の使い方を学んでいました。

 昨今、インナーマッスルとか体の中の筋肉の重要性が指摘されています。相撲にはそうした言葉はありませんけれども、股関節とか大腰筋、肩甲骨を動かすための姿勢とか構えが基本動作に含まれています。

 その中心となるのが「腰割り」です。腰という言葉は、体の中心であり精神の中心でもあるのです。その腰を中心にして体を自在に使うための構えが「腰割り」です。腰割りを中心に江戸時代の身体運用の素晴らしさを感じていただきたいと思います。

 腰割りは腰を下ろすというイメージが強いのですが、決して下ろすことではありません。「腰を割る」は「腰を開く」という意味にとってかまいません。

 最初に椅子に座った状態で両足を90度ぐらい開いてみてください。少し椅子の前の方に座り背筋をまっすぐにします。「骨盤を立てる」という言葉がありますが、この状態です。

 「腰割り」で肝心なのは「骨の並びをそろえる」ことです。ひざとつま先の向き(角度)をそろえて股関節を開くという意味です。


 もう一つは、立った姿勢でも、すねはひざから下をまっすぐに保つことです。足首がひざの真下にくるようにします。

 骨に垂直に圧力をかけることでホルモンの分泌がよくなるといいます。シコを踏むというのはそれを繰り返すことになります。

 次に、動きを小さく、ゆっくり落として同じ動作を繰り返します。

 足の裏が接着剤で床にくっついたことを想像してみてください。それをゆっくりはがしながら、ゆっくり足をあげてすとーんと落とすようにします。股関節や仙骨も動かしています。こうして体の奥から動かして全身を使うのが特徴です。呼吸は足を上げながら息を吸い、下ろしながらはきます。


 この話は、2018年6月2日、朝日カルチャーセンター新宿教室で開いたReライフおすすめ講座「シコトレ入門 お相撲さんに学ぶ」の採録です。後編では、シコを踏むまで進みます。

松田 哲博(まつだ・てつひろ) 

高砂部屋マネジャー。1960年生まれ。鹿児島県徳之島町出身。高砂部屋(入門時・若松部屋)の元大相撲力士・一ノ矢。琉球大学理学部物理学科卒。大学入学と同時に相撲部を興す。卒業後、国立大学出身力士として史上初の角界入りを果たす。最高位は東三段目6枚目(1991年7月場所)、序二段優勝2回。24年間現役として土俵に上がり、2007年11月場所引退。引退時点で現役最年長力士であり、昭和以降の最高年齢力士でもある。引退後は高砂部屋マネジャーとして陰から部屋を支え、相撲の物理的な探究を続けている。日本相撲協会・相撲指導員。著書に『シコふんじゃおう』(ベースボール・マガジン社)、『お相撲さんの腰割りトレーニングに隠されたすごい秘密』(実業之日本社)がある。
高砂部屋公式ホームぺ―ジ http://www2s.biglobe.ne.jp/~wakamatu/index.html

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