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47歳まで現役だった力士に学べ シコ踏みで股関節を動かそう 

Reライフおすすめ講座「シコトレ入門」後編

更新日:2018年09月10日

 47歳まで現役力士を貫いた高砂部屋マネージャー(元・一ノ矢)の松田哲博さんによる「シコトレ入門」。その後編は、「股割り」から「腰割り」を経て、「シコ踏み」へと進みます。

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 座った状態になって「股割り」をしてみましょう。

 「股割り」は股関節から体を動かすことを目的にします。股関節は体の奥の方にあるのでわかりにくいのですが、上半身の全体重がかかる重要な場所です。昔は、畑仕事や洗濯、お手洗いなど股関節を常に動かす動作が日本人の生活に自然にありました。しかし、いまは股関節から動かす動作が生活の中から消えています。だから、股関節を意識して体を動かすことが難しく感じるのかもしれません。


 上半身はまっすぐにして、背中は絶対曲げません。股関節から脚を開いていきます。骨盤から頭までを一直線にして、足の付け根から脚を開いていきます。ドアの蝶番(ちょうつがい)をたたむようなイメージをしてみてください。両手で少しひざを開いてあげてもいいです。この体勢で肩幅と同じ幅で手を前につくと相撲でいう「仕切り」になります。


 今度は立って「腰割り」をやってみましょう。自分の開きやすい足幅を決めて足を開いて立ちます。できれば肩幅より少し開いてください。120度ぐらいにつま先を開いて、つま先の向きにひざの向きをそろえます。すねも床と垂直にまっすぐ立てます。ひざが開くと股関節も開き、腰は下りていきます。これで「腰割り」になります。

 コツは無理に腰を下ろさないことです。腰を下ろすことが腰割りの目的ではありません。下ろすことよりもひざをしっかり外に開くことを意識してください。前からも見ても横から見てもひざが床と垂直になるようにします。

 このとき、重心はかかと、内くるぶしの真下です。ひざとつま先の向きはそろえたままです。上体はまっすぐ背筋を伸ばしたまま、「骨盤を立てる」状態で腰を下ろしていきます。天井からつり下げられている操り人形のようなイメージです。

 スクワットと腰割りは非常に似ていますが、まったく逆のことをやるわけです。スクワットは太ももの大腿(だいたい)四頭筋に負荷をかけて筋肉を鍛えますが、腰割りはなるべくどこにも力が入らないように体全体を鍛えられます。


 シコトレの休憩は蹲踞(そんきょ)です。

 ひざとつま先の向きをそろえて、しゃがんだ姿勢をとります。両足のかかとは拳一つか二つ分空けてください。肩の力を抜いて背筋を伸ばし、操り人形のように上からつられているイメージで、親指の付け根(母指球)で重心をしっかり保ってください。へその下三寸のところ(丹田)に力を入れて呼吸をします。


 次に「シコ」を踏んでみます。シコは腰割りの構えのまま重心を移動して、体を傾かせ、軸足を伸ばして、そのままストーンと足を落とします。最後は元の姿勢に戻ります。これを一動作として行います。

 最初は軸足を伸ばすのが難しいと思います。右足を上げますから、左足を軸に左足の方に右足を引きます。ヤジロベエと同じで倒れた分だけ反対側の足が上がります。軸足はしっかり伸ばし、無理に足を上げないことです。足を下ろすときは足首の力を抜いて、ストーンと着地させます。無理に下ろそうとすると前かがみになってしまいます。

 横綱だった大鵬さんは毎日シコを500回、テッポウを2000回繰り返したといいます。シコやテッポウという相撲の基本動作を繰り返して行うのは単に筋力を強くするためではありません。本来は病気にならないように気を整えて気の流れをよくするために同じ動作を繰り返していました。そうして充実感が生まれるのです。


 この話は、201862日、朝日カルチャーセンター新宿教室で開いたReライフおすすめ講座「シコトレ入門 お相撲さんに学ぶ」の採録です。

松田 哲博(まつだ・てつひろ) 
高砂部屋マネジャー。1960年生まれ。鹿児島県徳之島町出身。高砂部屋(入門時・若松部屋)の元大相撲力士・一ノ矢。琉球大学理学部物理学科卒。大学入学と同時に相撲部を興す。卒業後、国立大学出身力士として史上初の角界入りを果たす。最高位は東三段目6枚目(1991年7月場所)、序二段優勝2回。24年間現役として土俵に上がり、2007年11月場所引退。引退時点で現役最年長力士であり、昭和以降の最高年齢力士でもある。引退後は高砂部屋マネジャーとして陰から部屋を支え、相撲の物理的な探究を続けている。日本相撲協会・相撲指導員。著書に『シコふんじゃおう』(ベースボール・マガジン社)、『お相撲さんの腰割りトレーニングに隠されたすごい秘密』(実業之日本社)がある。
高砂部屋公式ホームぺ―ジ http://www2s.biglobe.ne.jp/~wakamatu/index.html

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