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100年人生時代の『食』について 

阪急生活楽校×朝日新聞Reライフ~こころもカラダも元気になろう!~

更新日:2019年03月06日

 生涯現役をかなえるために重要な「栄養・運動・生きがい」、中でも肉をよく食べ、良質な動物性たんぱく質を摂取することが大事とアンチエイジング研究の権威である白澤卓二医師が講演しました。(基調講演 白澤卓二さん)

■生涯現役をかなえる「栄養・運動・生きがい」

 今は生涯現役の時代であり、それを支える食事や運動、こころの持ち方が重要になってきています。80、85、90 歳でもどんどん新しいチャレンジをし、100 歳の誕生日には、自分の足で歩き自分の頭で判断し、家族に「おめでとう」と言ってもらえる。そんな100 歳を迎えるのが、ひとつのゴールであるという意味を込めて、私はそういった年のとり方を「サクセスフルエイジング」と呼んでいます。「サクセスフルエイジング」の達成には、「生きる目的」が頂点にあり、そのための3 点セット「栄養・運動・生きがい」がバランス良くそろう必要があります。今日はそのうちの「栄養」について三つのポイントをお話ししましょう。

■長生きの秘けつは肉をよく食べること

 ひとつ目のポイントは、動物性たんぱく質の摂取です。年を取ると筋肉の量が減り筋力が落ちていく「サルコペニア」という現象が起こることがありますが、サルコペニアは身体機能の低下や転倒、骨折を招き、寝たきりの原因にもなります。英国のボーンマス大学が65歳以上の高齢者を調査した研究によると、サルコペニアの予防には、動物性たんぱく質が豊富に含まれる四つの食品群「肉・魚・卵・乳製品」を、バランス良く定期的に食べることが重要と分かりました。
 70 歳で「世界最高齢でエベレストに登頂」というギネス記録を作り、その後も75 歳、80歳と自身の記録を書き換えた登山家の三浦雄一郎さんは大の肉好きで有名で、ステーキを好んでよく食べていました。雄一郎さんのお父様、三浦敬三さんも100 歳で、館山を山スキーで滑っていましたが、敬三さんも肉が好きで、圧力鍋でまるごと調理した鶏肉を骨まで食べていました。他にも私がこれまでにみてきた生涯現役の方々は、みなさん肉を好んでよく食べていましたね。
 東京都総合老人研究所の調査をみると、肉をよく食べ、良質な動物性たんぱく質を積極的に摂取している人は長生きだということが明らかです。厚生労働省も、高齢者は若者と比べて動物性たんぱく質の吸収率が悪いため、週2~3回は肉を食べるよう推奨しています。

■食欲は「健康長寿の予測因子」

 二つ目のポイントは食欲です。オーストラリアのモナッシュ大学と台湾国立防衛医科学センターの共同研究によると、高齢者に食欲があると長生きの傾向があることが明らかになりました。また別の研究で、対象の高齢者を食欲の低い群、中等群、高い群に分けて解析した結果、食欲の低い群は高い群に比べて死亡率が2倍以上高いことがわかりました。咀嚼(そしゃく)力の低下や薬の副作用、孤独感や抑圧など心理的な要因、家族の環境要因も食欲に悪影響を及ぼしますが、それらの要因を差し引いた後も死亡率は1.5 倍高かったのです。また食欲の高い群は低い群に比べて、肉、魚、卵、野菜、果物の摂取量が多く、ビタミンB1、ナイアシン、鉄、リンなどの栄養素の摂取量も多く、吸収率も良いことがわかっています。

■咀嚼(そしゃく)には認知機能を保つ働きがあると解明

 三つ目のポイントは咀嚼(そしゃく)です。オランダで115 歳まで生きた女性は、ニシンの塩漬けに玉ネギを添えた料理を毎日食べていました。ニシンは、鬱(うつ)を予防し認知機能の改善効果がある飽和脂肪酸オメガ3を含み、「ブレーンフード」と呼ばれています。噛(か)みごたえもあり、彼女はしっかりと噛むということを習慣としていました。彼女の死後、本人の希望で脳解剖の結果が医学誌に掲載されましたが、脳には老化の兆候が全くなく、記憶をつかさどる海馬という部分の萎縮もほとんど認められませんでした。ちなみに「噛む習慣」の有無は、子どもの頃に家庭でしっかり噛むという食育を受けたかによって決まります。まさに「三つ子の魂百までも」です。
 最近、神奈川歯科大学の研究では、咀嚼に認知機能を保つ働きがあることが明らかになりました。私の運営する高齢者施設では、認知機能の下がった人にも、玄米など硬いものを、時間をかけて食べてもらいます。朝昼晩1時間ずつそのような食事をすると、3時間の脳トレと同じことになるからです。
 高齢者と若者にそれぞれガムを噛んでもらいながら記憶テストを行うと、高齢者は噛むことによって正解率が上がりました。噛むことで脳が活性化され、正解率も上がったのです。つまり噛むことは、神経回路を活性化する「脳のジョギング」と言えるでしょう。
 以上のように、咀嚼力があり、肉をしっかり食べて良質のたんぱく質を取れた人が、結果として、100 歳になっても現役で活躍できるのだと思います。

(しらさわ・たくじ)1982 年、千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。90 年同大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007 年から15 年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。白澤抗加齢医学研究所所長。お茶の水健康長寿クリニック院長。Residence of Hope 館林代表。著書は「100 歳までボケない101 の方法」「老いに克(か)つ」「70 歳からの肉食革命」など300 冊以上。

 (企画制作:朝日新聞大阪本社メディアビジネス局)
(協賛:株式会社1&Dホールディングス)




■ イベント概要

概要 「阪急生活楽校」×「朝日新聞Reライフプロジェクト」
こころもカラダも元気になろう!
主催 阪急うめだ本店、朝日新聞Reライフプロジェクト
特別協賛 株式会社 1&D ホールディングス
日時 2019年1月5日(土)
場所 阪急うめだ本店 9階 阪急うめだホール

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