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まだまだ元気?それなら今が始めどき 家族で葬儀・墓の準備を 

(なるほどマネー)葬儀・お墓を知る:1

更新日:2017年10月05日

(質問)定年を迎えて老後を楽しみ始めたばかりです。まだまだ元気で、自分の葬儀やお墓と言われてもピンときません。今のうちから考えた方がいいのでしょうか。

 自分が死んだ時のことを、どれくらいの人が想像したことがあるでしょうか。この連載は「葬儀・お墓にどう備えるか」がテーマです。なぜ今のうちからそんなことを知る必要があるのでしょうか。

 例を挙げて考えていきたいと思います。生前に準備をしないまま急逝した関東地方の60代男性の場合です。
 男性はある日突然、心筋梗塞(こうそく)で倒れ、搬送先の病院で息を引き取りました。突然のことで奥さんは放心状態でしたが、周囲は待ってくれません。病院に「早めに霊安室から退去してほしい」と言われ、病院から教えられた葬儀社にあわてて連絡しました。
 葬儀社から葬儀の見積もりの説明を受けても、費用の相場も分からず、どうしたらいいか見当もつきません。結局、葬儀社にすすめられた内容で決めてしまいました。
 誰に声をかけたらいいのか分からず、葬儀は家族と親戚だけで行うことになりました。親戚が口をはさんできたり、お布施や喪服の準備もあったりで、悲しみに暮れる間もなく葬儀は終わりました。
 お布施を含め、費用は280万円ほどだったそうです。奥さんは「予想外に費用がかかってしまった」と後悔しましたが、もう遅いのです。
 お墓のことも考えないといけません。お墓をどうしたいか、ご主人ときちんと話したことはなく、どう選ぶべきか途方に暮れてしまいました。「もっと早くから備えていれば」と悔やんでいました。

 この男性のような例は、決して珍しいものではありません。葬儀の喪主になるのは一生に1、2回あるかどうか。準備不足のまま、葬儀を営むことになった家族は少なくありません。

 しかし、例えば、本人が元気なうちに複数の葬儀社から見積もりを取って検討し、万一の際にお願いする会社を決めておけば、残された家族はぐっと楽になるはずです。前もって流れを知っておき、費用の概算を把握しておくだけでもかなり安心です。
 家族を困らせないためにも、あらかじめ葬儀やお墓をどうするべきか考え、できる限りの備えをしておくことが大事です。「自分はまだ元気」と思うかも知れませんが、誰しも生きていれば年を取り、いつか必ず死を迎えます。葬儀などの話は、万一、病気になってからでは切り出しにくいものです。元気なうちに家族とよく話し合っておくことをおすすめします。

 注意して欲しいのは、せっかく準備しても、やり方によっては家族の負担を増やしてしまう、ということです。
 例えば、家族や親類だけの葬儀にしたために、あとで知人らが次々に弔問に来て個別に対応しなければならないこともあります。なかには、なぜ知らせてくれなかったのかと責める人もいたりします。

 次回以降は葬儀やお墓の種類、費用などについて説明していきます。今後のことを考えるのに少しでもお役に立てればと思います。=全10回

(2016年6月27日付け朝日新聞朝刊「Reライフ」面)

明石久美 ファイナンシャルプランナー。相続・終活セミナー講師。著書に「家族が亡くなる前にやっておくべきこと」など。


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