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知っておきたいお墓の引越し手続き 「改葬」の5つのステップ 

なるほどマネー 葬儀・お墓を知る:10

更新日:2017年11月02日

(質問)自分の死後に、お墓を誰に継いでもらうか悩んでいます。別の場所に移すことを考えないといけないかも知れません。注意点を教えて下さい。

 お墓を別の場所に移すことを「改葬」といいます。別の霊園やお寺の墓地、納骨堂に移すだけでなく、樹木葬にしたり、散骨したりすることも含みます。

 東京都内に住む70代の男性は長男で、ほかにお墓を継ぐ人がおらず、関西にある先祖代々のお墓を、「祭祀(さいし)承継者」として継いでいます。最近、自分たち夫婦が入るお墓のことを考えると、どうしたものかと悩んでしまうそうです。2人いる娘はともに遠方に嫁いでおり、祭祀承継者になるのは難しいからです。
 祭祀承継者は、相続人には限定されず、一般的には、現在の承継者が生前に指定した人が次の承継者となります。指定する方法は、遺言書でなくても構いません。指定がない場合は地域の慣習に従い、それでもまとまらなければ、家庭裁判所による調停や審判で決まります。
 ちなみに、祭祀承継者はお墓に誰の遺骨を入れるかを決められるとされています。墓地の規約上、問題がなければ、名字の違うきょうだいや親戚、内縁の配偶者らを入れることもできます。
 祭祀承継者がいない、いても事情があって誰も務められない、ということもあるでしょう。その場合、いまの墓地に永代供養墓もあればそこに移す、別の場所にお墓を建てて移す、といった「改葬」が選択肢になります。

 改葬には、地方自治体での手続きが必要です。
 まず、元のお墓がある自治体の窓口で「改葬許可申請書」を入手します。自治体によってはホームページからダウンロードできます。お寺などの管理者に、現在埋葬していることの証明などを記入してもらい、自治体に提出します。別紙で「埋葬証明書」を出す管理者もいます。移転先のお墓の管理者が発行する「受入証明書」の提出が必要になる場合もあります。
 お金もかかります。散骨や手元供養でないなら、新しいお墓を購入しなければなりません。これまで使用してきた墓石をそのまま使いたいと思っても、民間霊園などに持ち込むことは不可能な場合がほとんどです。元のお墓は、区画を更地にして明け渡さなければならず、その費用もかかります。
 遺骨を移す際には、元のお墓では「閉眼供養(魂抜き)」、新しいお墓に納める際には「開眼供養(魂入れ)」もしてもらわないといけません。それぞれ僧侶へのお布施が必要になります。

 改葬は、必要な手続きを踏めば、祭祀承継者の意思で自由に行えます。ただ、元のお墓があるお寺に改葬を反対されたり、檀家(だんか)を離れる費用として「離檀料」を請求されたりすることもあります。希望する場合は、早めにいまのお墓があるお寺や霊園などに相談しましょう。
 これまでお世話になったことへの感謝の気持ちを忘れず、しこりが残らないようにしたいものです。=全10回

(2016年9月19日付け朝日新聞朝刊「Reライフ」面)

明石久美 ファイナンシャルプランナー。相続・終活セミナー講師。著書に「家族が亡くなる前にやっておくべきこと」など。


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